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ダービーへと続く道

2月1日から、プロ野球は12球団がキャンプイン。私も早速、取材で沖縄入りしています。現役時代だけで秋季キャンプも含めると30回以上沖縄に行っているので、人生のうち2年間は沖縄に住んでいる計算になります(笑)。
キャンプインのニュースを聞くと「球春到来!」といった印象ですが、競馬の方もきさらぎ賞ウィークなので、まさに春の到来を感じさせる節目のタイミングですね。

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春のPOG取材時、シャフリヤールを育成していた佐々木厩舎長は「京都の新馬戦でキレッキレの飛ぶ走りをみせて、そこから一息入れるイメージで…」と語っていましたが、その予言通り、デビュー戦は10月25日の京都5R。後に出世する馬が多くデビューする、菊花賞デーの新馬戦です。

フルゲートの18頭、素質馬と評されていた馬も出走しており、とても楽観できる状況ではありませんでしたが、1番人気に推されたシャフリヤールは、2番人気馬をクビ差退けてゴール。見事に新馬勝ちを果たしてくれました。

京都競馬場は改修工事を控えたため、次開催から阪神競馬場での代替が決まっていました。まさにギリギリのタイミングで、佐々木厩舎長の予言が実現したのです。
勝利を伝えるレポートの中で藤原調教師が「まだ非力なところがあるので京都の下り坂を利用したいと考えていました」と語っており、なるほどと唸らされました。

その後はデビュー戦の馬体重が450キロと小柄だったこともあり、これまた佐々木厩舎長の予言通りに一息入れることに。2戦目は、年明けの共同通信杯に目標を定められます。

キャリア1戦での重賞挑戦ではありましたが、この馬の素質に惚れ込んでいる身としては、勝つつもりでレース前からまさに“掛かり気味”。ですが、競馬は甘くありません。8枠11番という外目の枠を引いた瞬間、嫌な予感が頭をよぎったのですが、その懸念通り、後方から外を回って追い上げるものの、勝ち馬からは0.4秒、2着馬とはタイム差無しの3着まで追い上げるのが精一杯でした。

勝ち馬エフフォーリアはこの年にG1を3勝して年度代表馬になる馬ですし、2着馬ヴィクティファルスは次走のスプリングSに勝利。1番人気のステラヴェローチェには先着しているのですから悲観する内容ではなかったのですが、3着というのがとても痛い。
競馬に詳しい方はご存じだと思いますが、2着と3着では天と地ほどの差がありました。2着なら賞金が加算されるので、この後のレース選択がしやすくなるのですが、3着だと賞金が加算されないので出たいレースに除外されてしまうリスクがあるのです。

この敗戦により、皐月賞を経由して4戦目でダービーを目指すルートはなくなり、賞金加算が求められることになりました。
スプリングSか毎日杯か、はたまた青葉賞か。ただ、個人的には毎日杯という可能性は少ないと考えていました。確かに兄のアルアインが勝利したゲンのいいレースではありますが、ここには早くから、同じサンデーレーシングの素質馬であるグレートマジシャンが出走を表明していたからです。

グレートマジシャンは父ディープインパクト、母ナイトマジックという血統…って、聞き覚えがありませんか?
そうです。第5回のコラム「出資が叶わなかった“あの馬”」で触れた、フォイヤーヴェルクの全弟です。
あの馬の大人気が嘘のように、5年歳下の弟は2歳の春まで残口がありました。POGの取材時に実馬を見る機会もあり、出資をすべきかかなり悩んだという縁のある馬だったのです(最終的には出資を見送りました)。
同馬は新馬戦、セントポーリア賞とデビュー2連勝。特に2戦目の勝ち方は強力で、ダービー候補との呼び声も上がっていました。

陣営が出した答えは毎日杯への参戦。グレートマジシャンとの対決です。
レースで1番人気に支持されたのも、グレートマジシャンでした。
(次回更新は2月20日)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
X(ツイッター) @yamamoto34masa

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