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佐々木厩舎長との約束

前回のコラムで、どうやら現役続行のようだと書いたシャフリヤールですが、ドバイシーマクラシックへ予備登録を行ったとのこと。出走すれば3年連続となります。リバティアイランドも出走予定で、同じサンデーレーシングに最大のライバルがいるような状態ですが、何とか良い結果を出してもらいたいですね。

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私は2017年からPOGの取材で北海道を訪ねています。したがって、今年で8年目になりますね。
プロ野球のキャンプ取材を終えた後の恒例行事といった趣で、毎年、訪れていると牧場の皆さんとも顔馴染みになってきます。一年ごとの再会は、さながら同窓会のよう。

各厩舎を回り、厩舎長から2〜3頭ずつオススメ馬を紹介していただくスタイルなので、取材を続けていくうちに、厩舎長ごとの個性なんかもみえてきます。
例えば、ある厩舎長は言葉のチョイスがお上手で、取材しているこちらのテンションもアップします(その分、より良く見えてしまったり、肩入れしてしまったりしがちです)。逆に、いわゆるリップサービスが一切無い厩舎長もいらっしゃいます。その方がポジティブなコメントを発した時は見逃せません。よっぽどいいということですから。

ドバイマジェスティの18を育成していたR厩舎のトップは佐々木淳吏厩舎長。見た目は少し強面ですが(笑)、とても爽やかな好青年です。こちらが1を聞いたら10返ってくるほど、真摯に取材に対応してくださりますし、過去に育成を手掛けた馬の名前を聞けば、その手腕は疑いようがありません。そして何より、厩舎のムードがとてもいいんです。
取材が終わった後に、スタッフの皆さんと一緒に記念撮影をしたことがあったのですが、とにかく和気藹々といった感じで、風通しの良い雰囲気作りが出来ているのだと、すぐに感じ取ることができました。

昼過ぎから始まった取材、その大トリとしてドバイマジェスティの18が登場。
そこには、つい「何とも上品な佇まい」と口をついて出てしまうほど、まるで芸術品のような美しいサラブレッドが立っていました。

その直前に取材した馬が500キロを超える筋骨隆々とした馬体だっただけに、見ようによっては迫力不足に映るかもしれません。ですが、そのしなやかな動きに、私は、この馬が優秀なアスリートであることを確信。
それを裏付けるように、佐々木厩舎長の評価も「いかにもディープ(インパクト)。背中の良さも全身バネのようなところも」「しなやかに弾けるイメージ」という、運動神経の高さを感じさせるものでした。

実際に乗っているスタッフさんにも声をかけてみると「素晴らしい馬です。乗ったことのない背中をしています」という嬉しい評価が返ってきました。かつてアルアインを取材した編集者の方から、ノーザンファーム早来でアルアインを手掛けた厩舎長がアルアインについて「あまり感じたことがない柔らかさ」と評していたのを聞いていたので、これは期待せずにはいられません。

先の見通しについて、佐々木厩舎長は「10月京都の新馬戦でキレッキレの飛ぶ走りをみせて、そこから一息入れるイメージで…」と語っていましたが、予言者でしょうか!?(笑)

数多の活躍馬を送り出している佐々木厩舎長ですが、サトノダイヤモンド、スワーヴリチャード、ヴェロックスらの2着が最高で、ダービーのタイトルには手が届いていませんでした。
そこで取材の終わり、二人で握手をしているシーンを撮影して、私はこう締めくくりました。

来年のダービーデー、東京競馬場で、こうして握手を交わしましょう!

(次回更新は2月6日)

やまもとまさ
プロ通算219勝、3度の最多勝、沢村賞、史上最年長でのノーヒットノーラン、50歳での登板など、記録にも記憶にも残る活躍を果たした球界のレジェンド。現在は野球解説者・スポーツコメンテーターとして活動している。ラジコン、クワガタ飼育等、多趣味としても知られる。競馬への造詣も深く、一口馬主としてアルアイン、シャフリヤールに出資する相馬眼の持ち主。
X(ツイッター) @yamamoto34masa

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