新幹線の秋の速度

 薄暮に突然の豪雨を降らせたあの雲よりは、新幹線の方が速くこの平野を駆け抜けるだろう。北海道から来た編成であっても、日本海を目指す編成であっても、その速度に特筆すべき差異はないだろう。 
  
 僕を今乗せている各駅停車は、残念ながら雲より遅いだろう。
(それでも、空までの距離は等しいのだけれど。) 
 快速ならどうだろうか?

 夜になっている。秋が近い。雨は止んでいる。

 車体に施されたカラーリングから、その愛称を判別することは可能だが、制限時間がある。追い抜かれるまでの時間は短く、すれ違いに要する時間は更に短い。

*

鳥の名を冠した鉄の横顔が追い抜く鋭く長い瞬間

*

 今日は祝日なので、通勤快速は運行していない。そのため比較対象とはならない。

詩的散文・物語性の無い散文を創作・公開しています。何か心に残るものがありましたら、サポート頂けると嬉しいです。