みなさんキャッチーですか。ぬんです。

つってね！ 突然ごめんなさいね！ ちょっと前通りますよ！

私、ぬん（Twitter：@be_catchy）と申す者でして！
翻訳・編集・ルールライト・紹介記事作成等、ボードゲームに関するあれやこれやをお仕事にしています。


現在、ふるりん本舗さんよりご依頼をいただきまして、「ふるりん本舗さんの既発タイトル5作について紹介記事を書いていこうプロジェクト2022春」という企画モノ（？）を連載（？）中です。
経緯については、『ヒポクラテス』を紹介した第1弾記事を参照してくれよな！

古代の医療はめっちゃ意地悪！ 君も死んだ目に絶対になる！ 『ヒポクラテス』のご紹介。

先日は、第2弾となる『フォーセール オートラマ』の記事を公開しました。

競りの楽しさ1.5倍！もはや死角は一点もない！ 『フォーセール オートラマ』のご紹介。

本日はその第3弾！
2021年12月にリリースされた『ストロガノフ 日本語版』について、

・ざっくりどんなゲームなのか
・ざっくりどんなところが面白いのか

について書いていきたいと思います。
よろしくお付き合いください。

ストロガノフ／Stroganov
Andreas Steding作
1～4人用／12歳以上／90分

注意：
以下、フレイバーの紹介のためにロシアの歴史について触れます。
当然ですが、この記事を2022年3月現在の戦火と関連付ける意図は一切ありません。
「一応こういう注意書き置いておいた方がいいかな…」という心配が、一刻も早く不要になることを祈っています。

さて。みなさんは、タイトルにもなっている「ストロガノフ」をご存知でしょうか。
「はいはい、あの美味しい牛肉料理ね！……ってそれはビーフストロガノフか！ ガハハ！」という小粋なボケも実はイイセンいってて、ストロガノフは16世紀に栄えたロシアの家柄の名前なんですね。
ビーフストロガノフは、そのストロガノフ家に伝わるお馴染みの牛肉料理ってワケ（諸説あります）。

そんなストロガノフ家は、ロシアの支配を東の地シベリアまで及ぼすのに一役買ったとされています。
シベリアまでの道のりは複雑で困難。
それでもストロガノフ家に雇われたコサックたちは、狩りで得た毛皮を現地で取り引きしつつ東へ向かい、これを成し遂げました。
挙げ句にはその旅路を歌にまで残してて「あらロマンチストねえ」という感じなのですが、これは今で言う「ちょっと頑張った作業の成果や、遭遇したおもしろ出来事をツイートする」みたいな雰囲気なんじゃなかろうか（諸説あります）。

というわけで、ストロガノフ家の一員となり、自分の雇ったコサックのへっぽこ珍道中を見守るのが、この『ストロガノフ』というゲームです。

構造的には、ラウンドごとにふりだしに戻されるミニすごろくといった感じでしょうか。
メインボードを見てみると、様々な地形のタイルが並んでいる。
左から各自のコサック駒が出発して、右に行くほどシベリアです（？）

各ラウンドは春・夏・秋・冬の4つの季節から成ります。1ラウンド＝1年間ね。
春には、先頭に立っているコサック駒の持ち主が最初に手番を行います。
手番は、ざっくり言えばコサック駒を移動させてからアクション、って感じ。

以下、前のコサック駒から順に１回ずつ手番。

んで、夏がやってきます。春と同じことを繰り返すわけですが、春に行った手番によってコサック駒の順番（＝手番順）が入れ替わっている可能性があるので注意です。
秋も同じ要領で手番を1回ずつ行います。

冬は決算。
決算後には、すべてのコサック駒がふりだしに戻されちゃいます。なんで？？？
これを4ラウンド＝4年間繰り返し、最も多くの勝利点を稼ぐことを目指すぞ。

全体像がつかめたところで、春・夏・秋で行う手番の流れ、見ていきましょうか。

図示するとこんな感じ。

Ⅰ. 移動
↓
Ⅱ. 基本アクション
↓
Ⅲ. 基本アクションor上級アクション
↓
Ⅳ. 基本アクションor上級アクション

「めっちゃアクションやるやんけ」と思われるかも知れませんが、大丈夫です。こんなにアクションできません。

さて、まずはⅠ. 移動。
自分のコサック駒を、タイル1枚または2枚ぶん、右に向かって前進させましょう。
ダイスを振らないすごろくなんですね。

「そんなちまちま進んでられるかい！」というあなたのために、お馬さんを用意しました。
スーパーめちゃくちゃ大事リソースであるところのお馬さん、1／3／6頭払えば、追加でタイル1／2／3枚ぶんの移動を行うことができます。ﾊﾟｶﾗｯﾊﾟｶﾗｯ！

移動を終えたら、Ⅱ. 基本アクションですね。
以下の基本アクション5種類の中から1つを選んで実行します。

①コインを1枚取る

スーパーめちゃくちゃ大事リソースであるところのコインをゲットです。
使い方は後述。

②馬を取る

スーパーめちゃくちゃ大事リソースであるところのお馬さん4頭をゲットです。
濃い色のお馬さんは馬３頭ぶんとしてカウント。どんな馬やねん。

③移動

ちょっとまって基本アクションにも移動あるの？？？ すげえな。
タイル１枚ないし２枚ぶんの距離を前進もしくは後退できます。

④狩り

さっきからスーパーめちゃくちゃ大事リソースの安売り状態ですが、この狩りで得られる毛皮こそが、真のスーパーめちゃくちゃ大事リソースです。
移動後の基本アクション、8割近くはこれをやることになると思います。

自分のコサック駒がいる風景タイルをよく見ると、何枚かの毛皮が番号順に並んでいますね。
狩りでは、その一番上の毛皮1枚をゲットします。

うさぎさんかわいい。

「もっと大きな番号の毛皮が欲しい！」という方はお馬さんを、「もう1枚毛皮が欲しい！」という方はコインをお支払いいただければ、その夢は叶います。
やっぱりどれもスーパーめちゃくちゃ大事リソースやんけ。

⑤交易

毛皮には上述のとおり番号が振られているわけですが、ゲームごとに1つの番号が交易ナンバーに指定されます。

交易ナンバーを持つ毛皮を払うことで、細々したボーナスから2個を選んで実行できますよ、というのがこの交易アクションだ。
さよならうさぎさん。

「そんなに都合よく交易ナンバーの毛皮なんて持ってないよー！」というあなたも大丈夫。
ゲーム中いつでも、コイン1枚を支払うことで、任意の毛皮1枚を好きな番号のものとして支払うことができます。
やっぱりどれもスーパーめちゃくちゃ大事リｓ（以下略）

ボーナスは見慣れた感じのものが多いですが、「物語を歌にする」行為が初出です。ツイートです。

スーパーめちゃくちゃ大事トラックであるところの物語トラック上で、自分のマーカーを2マス進めましょう。これがどう活きてくるかは冬のお楽しみということで。

…という基本アクション5つのうち、1つを選んで終えました。
とすると次は、

Ⅰ. 移動
↓
Ⅱ. 基本アクション
↓
Ⅲ. 基本アクションor上級アクション
↓
Ⅳ. 基本アクションor上級アクション

そうそう、Ⅲ. 基本アクションor上級アクション。
ということで、基本アクションか上級アクションかのいずれかを1回行います。

基本アクションは既に説明したやつですね。
移動したければさらに移動したっていいということになります。すごい勢いだ。

では、このゲームのメインどころとなる上級アクション5種類を見てみましょう。1個だけ選んで1回だけやるのよ。
いずれも勝利点への道標となり、自分のコサック駒が置かれている場所に強く依存するアクションである、という共通点があります。

①村を訪問する

自分のコサック駒が立っているタイル！ のある地域！ にある村！
そこに示されている効果を解決します。

冬に収入としてもらえるお馬さんの量を増やしてくれる旗トークンがゲットできたり、共通の市場から毛皮を選んで取れたりと、良さげな効果が並びます。

中でも注目したいのがトロフィー！

特定の毛皮を支払うことで、自分の個人ボード上のマーカーを下に向かって進めることができる、という要素です。
マーカーを進めるたびにボーナスが貰える他、ゲーム終了時の勝利点にも繋がるぞ！

有用そうなのは分かったのですが、これいったい何のトロフィーなんだ。
大会ですか。全国大会ですか。校長室前のガラスケースに飾るんですか。

②ユルトタイルを使用する

自分のコサック駒が立っているタイル！ のある地域！ にあるユルトタイル！
そこに示されている効果を解決します。

先程の村タイルは効果を得てもその場に残るのですが、ユルトタイルは一度使われたら破棄。
冬に新たなユルトタイルが補充されます。

「そもそもユルトってなんやねん」ってなるのですが、遊牧民が住んでいる場所や土地、テント辺りを意味する守備範囲が広めの単語のようです。
本当は「定義がゆるっとしてるんですね。ユルトだけに」みたいなことを書きたかったんですけど、お金をいただいて書いている文章なのでここはグッと我慢です（我慢しなさいよ）

③皇帝の望みカードを取る

自分のコサック駒が立っているタイル！ のある地域！ にある皇帝の望みカード！
これをゲットします。

いわゆる目標カードですね。
指定の毛皮を所持したり捨てたりすることで、勝利点になったり冬の収入源になったり。
どんどん達成していきましょう（できるとは言っていない）

④風景タイルを獲得する

すごろくのマス代わりになっている風景タイル自体を取っちゃうという驚きのアクションです。
自分のコサック駒が立っているタイル！ のある地域！ にある任意の風景タイルが対象！

これにはコストとして毛皮の支払いが必要です。

枚数！
取りたいタイル上に残っている毛皮の枚数＋2枚！
狩りで毛皮減らしとくとハッピーね！

種類！
先ほど交易ナンバーの話をしましたが、実は各地域にも番号が1個割り振られているんですね。地域ナンバーです。

コストで支払う毛皮はすべて、タイルを取ろうとする地域に対応した番号のものである必要があります。ひえ～～！

風景タイルをゲットすると、示されているボーナスや乗っている毛皮がゲットできる他……

ゲーム終了時に異なる種類の風景タイルでセットコレクションみたいな話もあります。
色んな風景見たいもんな。

⑤砦を建設する

自分のコサック駒が立っているタイル！ のある地域！ にあるバッテンスペース！
コストとしてお馬さんを支払うことで、自分の手元にある砦をここに配置することができます。

この砦がまたルールブレイカーな存在。
ここまで説明した①～④の上級アクションは、

「自分のコサック駒が立っているタイル！ のある地域！」

で実行すると述べましたが、実は代わりに「自分の砦がある地域！」で実行することもできるんだね！

例えば、秋にここに砦立てとくとするじゃん？

次の年の春にここまで移動するとするじゃん？

上級アクションは、自分が今いる左の地域か、自分の砦がある右の地域で実行することになります。便利！

ところが、各地域のバッテンスペースの数には限りがある他、遅れて置く程よりたくさんのお馬さんを支払う羽目になります。

さらに、この砦駒自体もリソース扱い的な側面があると言うか、砦を配置したければ、あらかじめボーナス等で手元に砦駒を持ってきておかなければなりません。
スーパーめちゃくちゃ大事リソースまだあんのかよって感じだ。

上級アクションの履修を終えたところで、手番の流れを三度振り返ってみましょう。

Ⅰ. 移動
↓
Ⅱ. 基本アクション
↓
Ⅲ. 基本アクションor上級アクション
↓
Ⅳ. 基本アクションor上級アクション

Ⅲ. 基本アクションor上級アクション を終えた後には、もう一度 Ⅳ. 基本アクションor上級アクション がやってきます。アゲインです。


しかーし！ このⅣ.でアクションを実行するためには、追加のコストが必要！
ここで払わなきゃならないのが、真のスーパーめちゃくちゃ大事リソースこと毛皮！

Ⅳで基本アクションをやるなら任意の毛皮1枚。
上級アクションをやるなら、アクションをやる場所の地域ナンバーの毛皮1枚が必要です。辛すぎんか。

ここまで終えたら手番がおしまい！
全員が同じ手順を繰り返すと季節がおしまい！
春夏秋まで終わると、冬がはじまるよ ほらまた僕の側で！

冬はざっくり、

①収入をもらう
②物語トラックの成果を使ってボーナスを得る
③盤上に色々補充してコサック駒をスタート地点に戻す

の3本立て。

②の物語トラックは、特定のマス数ぶんマーカーを後退させることで、歌を作りボーナスをゲット、的な要素ですね。

コサック駒がシベリアに近いほどボーナスの選択肢が豊富なので、如何にコサック駒を右に進めておくかもとても大事なポイントだ。

4年目の冬が終わるとゲーム終了！
皇帝の望みカードや風景タイルのセットコレクション、トロフィートラック、建てた砦の個数、余った資源などなどから追加の勝利点を得て、最も多くの勝利点を持つプレイヤーの勝利です！

いや～～どうですか『ストロガノフ』！
出てくる要素は多めな印象ですが、移動してアクションしてアクションしてアクションするだけと、構造自体はシンプルなのがお分かりいただけたかと思います。

これだけではピンと来ない部分も多いかと思いますので、『ストロガノフ』のキャッチーポイント、ドドンと3点ご紹介だ。

キャッチーポイントその①！
数多の選択肢から最善の組み合わせを掴み取るスポ根感！

先程「構造自体はシンプル」という話をしましたが、シンプルなりに手番で3アクションとかしちゃうゲームなので、とにかくやれることの組み合わせがめちゃくちゃ多いんですよね。

基本アクション5種類、上級アクション5種類。上級アクションはどの場所で行うかも重要になりますし、それに応じて必要な移動数や毛皮の種類、リソースの数なんかも変わってきて、じゃあⅢでは基本アクションをしてからⅣで上級アクションかなとか考えるんですけど、それじゃあこの毛皮じゃ駄目じゃんみたいになってきたりして……

こんなんできるかー！

となっちゃいそうですが、逆にどこででも何でもできるゲームではないため、思い切って注力する場所を決める度胸こそが重要みたいな話もあります。

定めた道を信じ、足りないリソースも噛み合わない毛皮も無理やり工面して、手番をやっとこさ繋いで行く。
そして訪れるぶっ飛びの手番！
アレもしてコレもしておまけにこの目標カードを達成して…と一気にお話を進められたときの気持ちよさったらありません。

明確な正解が示されない中で、一筋縄では行かない手順を1つ1つ手繰り寄せてこなしていき、最終的に勝利点に繋げていくこの感じ！
カーッ！ 友情・努力・勝利ですね！ スポ根ですね！

スポ根と言えば私は『テニスの王子様』世代ですが、あれ何巻ぐらいまでスポ根って呼んでいいんでしょうか。
菊丸とラッキー千石が好き。

キャッチーポイントその②！
お茶目な毛皮ガチャ！

お気づきのとおりこのゲーム、毛皮の番号に並々ならぬこだわりを見せます。

Q1. 交易アクションをしたいんですが…
A1. はい交易ナンバーの毛皮払ってね！

Q2. もう1上級アクションしたいんですが…
A2. はい地域ナンバーの毛皮払ってね！

Q3. 風景タイルを買いたいんですが…
A3. はい地域ナンバーの毛皮で全部払ってね！

うーん毛皮を工面するかあ…となったときに、狩りをする以外の主要な方法として、メインボード上に市場と称して並べられている6枚の毛皮を利用する、というものがあるんですね。
市場に関して、フリーアクションとして以下の行動を行うことができます。

・馬5頭を払って、市場から任意の毛皮1枚を取る

・自分の持つ毛皮2枚を捨て、市場から任意の毛皮1枚を取る

・馬1頭を払い、自分の持つ毛皮1枚を捨て、市場にあるより番号が小さな毛皮1枚を取る

いやーコストが高ぇ。

それでも市場に望みの毛皮があるならまだいい方で、皆が好きなものを取っていくと、どうも面白くない毛皮ばかりが市場に滞留するのよ。
これは冬のタイミングでリセットされて、また市場にはランダムな毛皮6枚が置かれます。

そんなの待ってられない！ 今すぐうさぎさんが欲しい！ となったときのための最終手段として、こんなフリーアクションがあります。

・馬5頭を払って、袋から毛皮2枚を引き、そのうち1枚を得る

なるほどガチャじゃねーの

『ストロガノフ』は、一度春が始まってしまえば、運要素がほとんどないまま秋まで進行していくゲームなのですが…
しっかりと道筋を定めて色々考えた挙げ句、「絶対キツネ引くわ！ 絶対キツネ引く！」とか言いながらクマとヘラジカを引かされたりするお茶目さがあります。
最高のアクセントよ。絶対許せねえ。

キャッチーポイントその③！
心地よいインタラクション！

直接攻撃要素はないこのゲームですが、他プレイヤーの存在がたまにささくれ立って感じるのがこのゲームの好きなところです。

・そのユルトタイル私が取ろうと思ってたのに！

・そのバッテンスペース僕が使おうと思ってたのに！

・君が取ったその風景タイル、セットコレクション的に絶対必要だったのに！

小学生の喧嘩じゃないんだから。

特にアツいのは「どこまでシベリアに近づけたかな対決」。
自分のコサック駒が右に進んでいればいる程、各季節で先に手番が行える他、冬の物語トラックの精算でも優位に立てます。
こっちのタイルでアクションしたい……でも先のことを考えるとこの人は追い抜いておきたい……みたいな葛藤が楽しい。

この辺の妙味がしっかり味わえるのが3～4人プレイ。
ただし長考しやすいデザインでもあるため、プレイ時間とのバランスを考えると、3人プレイが色々ちょうどよくてオススメです。

そんな『ストロガノフ』、ふるりん本舗さんより日本語版が好評発売中だ！

https://fruhling.stores.jp/items/61b9e30ab8979f1e311afa05

税込6,600円！ このずっしり感で6,000円代はかなりいいお仕事だと思いますよ！

というわけで、シベリア毛皮争奪戦線『ストロガノフ』、ご紹介させていただきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました！

「ふるりん本舗さんの既発タイトル5作について紹介記事を書いていこうプロジェクト2022春」はまだまだ続きます～～次回もご期待ください！

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＊当ポストはふるりん本舗からの依頼により有償で作成されたPR記事です。