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Mリーグ2021-22シーズンについての所感

はじめに

私はMリーグ2021-22シーズンから見始めた、いわば新規視聴者であるが、1シーズンを通して思った率直な感想や提案を書き残しておきたいと思った。来シーズンでMリーグは5年目に突入し、2018年からみている方からすれば陳腐な感想かもしれないがどうしても残る形で言語化したいと思った。
ちなみに、近藤誠一に魅せられ、セガサミーフェニックスを応援していた。準優勝、おめでとうございます。あと一歩、届きませんでしたが、来季こそは必ず優勝してください。応援しています。

レギュラーシーズン

なんと言っても下位2チームの不調が目立ったレギュラーシーズンだったのではないか。村上の4連続箱ラスは麻雀の残酷さが嫌というほど現れた、村上と赤坂ドリブンズにとっては地獄のような瞬間だったであろう。チーム雷電もチーム全員が絶不調と最悪の状況でダントツの最下位となってしまい、負債を完済するより-1000ポイントに到達する方が簡単という状況にまでなってしまった。シーズン終了時にはさらに200ポイント沈み約-1200ポイントと、まさに萩原が言ったように忘れたいシーズンだったであろう。一方で、全ての負債を下位2チームが背負ったため、上位に座するチームはポイントが拮抗しており競り合いもあった。しかし、レギュラーシーズンで上位が競り合っても対して盛り上がらないことを実感した。おそらく今季のレギュラーシーズンはいささか盛り上がりに欠けたのではないか。過去何度も成就した役満も今季はレギュラーシーズン終了時には0和了であった。とはいえ、真剣勝負なのでこのような展開になることもある。長いレギュラーシーズンではアツい時と見守る時のメリハリを明確にする必要があろう。例えば、雷電が残留するためのデッドラインを実況・解説が明確に示せないと、ずるずるポイントを減らし応援のピークを迎えずに敗退、なんてことになってしまう。実際、雷電について「まだ行ける」「まだ見える」と繰り返し言っている間に復帰不可能なところまで沈んでイマイチピークがなかったように感じる。「今日トップを持ち帰らないとほぼ無理」や「今日負けた方が敗退すると言っても過言ではない」くらい断言してしまった方がメリハリがつき緊張感があるように思う。もちろん、こう断言して結果的にそうはならなかったとしても批判されるものではないが、ここぞという時くらいは強い表現を使ってほしいと思った。

クライマックスシリーズ

レギュラーシーズンで敗退した2チームが突出して沈んでいたため、セミファイナルに進出したチームは結構並びで序盤の方から条件戦が展開されていた印象があった。レギュラーシーズンの盛り上がりがクライマックスシリーズに全て持ち越された感じで、とても面白かった。フェニックスはセミファイナルシリーズ最終日は試合がなくボーダーの4位だったので気が気ではなかったが、麻雀でここまでギリギリでヒリヒリする戦いを見せられるとは思ってもいなかった。ファイナルの最終日もとても盛り上がったのではないか。2試合目ではほぼ三つ巴となって、近藤が倍満をツモり決め手としたと思ったら堀が意地の跳ツモでオーラスにもつれこむ条件戦に多井も狭い道をこじ開けようとしてとても白熱した。フェニックスは惜しくも敗れ準優勝となったが、近藤で負けたのなら仕方がないと思える(そして、最終局の純カラリーチはあの倍満ツモを思わせるもので満足した)。

チーム数と試合数について

今シーズンの振り返りはここまでとし、ここからはMリーグに対して思ったことを言語化してみようと思う。まずはチームとその数から書いていこうと思う。Mリーグの8チームはそれぞれチームの特色があり視聴者としては好みのチームや選手が見つけやすいことは良いことだと思う。私は近藤誠一からフェニックスを応援していたが、チームの雰囲気も自分好みでより応援したいと思っている。チームの数だが、麻雀は4の倍数である方が都合がいいゲームなので、現行の8チームをキープするか、或いはチームをさらに増やすか、その場合は何チーム増やすかは難しいと思う。仮に増やすなら、チームの数を倍にする以外の選択肢はあまり好ましくないように思う。半端に2チーム増やしてもスケジュールがややこしくなるので、全16チームにし、プロ野球でいうセ・リーグ、パ・リーグの2つに分けて同時進行で試合を行う方がいいようにも思う。メリットとしては、より多くのプロ雀士がMリーガーとして参加しMリーグの更なる盛り上がりに貢献することや、視聴者が応援したいと思う選択肢が増えることが挙げられるだろう。さらにチームを増やすことはすなわちスポンサーを増やすことになるので、「この熱狂を外へ」というMリーグの理念を企業を通してさらに実現することにつながるだろう。一方で、チームを増やすことは運営側にとっては負担増となり、仮にチームが16から15や14と減ってしまった時にスケジュール等をどう組むのかが課題であろう。また、チーム数が倍になると試合数も倍になるため、2試合同時進行が必要になるだろう。その時、ABEMAでの配信がどうなるのか、実況解説及びスタッフの確保ができるのか、視聴者は両方見れないなどについても検討する必要がある。
チームの数は置いておいても、試合数については十分検討の余地はあるように思う。野球やサッカーなどの運動系のスポーツはトレーニングや休養のためにもオフシーズンが必要であることは理解できる。麻雀はマインドスポーツではあるが、麻雀の勉強や鍛錬と休養のためにオフシーズンがあることは悪いことではない。だが、約半年間のオフシーズンが必要とは一概にはいえないのではないか。私の考えを記す前に確認しておきたいが、麻雀の公式対局等はMリーグ以外は試聴していないので、Mリーグ以外の対局での負担がどのくらいあるかはよく把握していない(というか、本人でない限りどのくらいMリーグを負担と感じているかはわからないはず)。そのため、Mリーグの負担に絞って検討する。
Mリーグのレギュラーシーズンの長さは現行ので良いと感じる。今季のように敗退するチームが明確になると後は消化試合になってしまうので、レギュラーシーズンよりもクライマックスシリーズの日程を伸ばせたら良いと思う。ファイナルは全試合直対になるので、セミファイナルの試合数を16から20や24に増やせたら良いのではないかと思う。
Mリーグはチーム戦だが、麻雀自体は個人で打つので、一日最大2選手しか登板できない。そのため、試合数が多いから休養のチャンスが少ないという問題にはローテーションなど、いかようにも工夫できる。半年間Mリーグがないのは、かなり長く感じてしまう。あと一月、二月長くやってもいいと思った。
一方、今日さやチャンネルの生配信を拝見していたところ、近藤は全く逆の意見を持っており、「もっと短くても良い」とおっしゃっていた。回数も日数も減らさないと限界であると嘆いていた。一方、茅森はどちらでも良さそうであり、現在のレギュレーションがちょうど良いと感じているようである。また、近藤曰く、園田は年間リーグを1000回やりたいようである。このように、選手によっても感じ方が大きく違うようである。Mリーグで麻雀を打つ緊張と負担はMリーガーにしかわかり得ないので、我々視聴者はもっと見たいと思っても簡単にそうはできない事情がありそうである。続けて、近藤は試合回数を増やすことについて、実力が収束しやすいのは事実だが、リーグ開催期間中にも実力は変動しうるため、どこかで区切りをつけて成績を確定させた方が良いと主張した。長年麻雀を打って麻雀の運の要素と実力の要素を深く理解したからこその考えであると感じた。

「この熱狂を外へ」について

Mリーグは見るけど他のプロ麻雀のリーグ戦や大会は見ないという層は非常に多いと思う(かくいう私もそのうちの一人である)。世間一般とプロリーグの間に位置付けられているのがMリーグと言っても過言ではないと思うし、Mリーグもそれを自覚しているのではと思う。選手やチームもそれを意識する必要があるし、Mリーガーとしての義務でもあるように思った。Mリーグは現地観戦が難しいため、ネット上(SNS)に視聴者が集まる。Mリーガーは「この熱狂を外へ」というスローガンをもとにSNSでの広報活動等もMリーガーの仕事の一つであろう。私の体感だが、サクラナイツやフェニックス、パイレーツや格闘倶楽部は活発にSNSを動かしている印象がある。おそらく多くの方が異論なく納得するのはEX風林火山の「静けさ」ではないだろうか。4選手ともSNSアカウントをさほど動かしていないしMリーグ関連はほぼTwitterのタイムラインに流れてきたことはない(私は選手は一切フォローしていないが、TLに流れてくるMリーガーはたくさんいる。チームの公式アカウントは全てフォローしている。強いていうなら松ヶ瀬選手の料理ツイくらいか)。良くも悪くも、風林火山の、特に男性陣の麻雀は「ガチ」でありいつも真剣勝負である。しかし、盛り上がり要素に欠けると感じる。淡々と強い麻雀を打つのは良いが、その興奮を外へ伝えようとする姿勢があまり感じられなかった。特に、EX風林火山のスポンサーはテレビ朝日であるため、他のチームスポンサーよりも一般層へ広く影響を与えることができるはずなのにあまりやる気を感じないのは気のせいだろうか。風林火山に限った話ではなく、Mリーガー全員このスローガンを是非常に頭の片隅に入れて活躍してほしいと思った。

Mリーグのエンタメ性について

「ガチ」なプロの麻雀を見たいのであれば、リーグ戦を見た方がいいと思ったのは私だけだろうか。そもそも実力差が激しい選手の組み合わせもある以上、Mリーグは「ガチ」な麻雀よりも麻雀の面白さを伝えるエンタメ性の要素が強いことを、今シーズン視聴して思った。もちろん、麻雀がものすごく強くない層からしたら十分「ガチ」な麻雀であると思うので大して気にする必要はないが、如何せんコメント欄がひどく早急に改善すべき事案であると感じた。

コメ欄達人について

上記と関連して、コメント欄の治安が非常に悪いと感じた。もちろん、節度ある使い方をしている視聴者がほとんどであると思うが、やはり過度な批判や中傷誹謗など見受けられることもあった。ネットを通して見ているため、他の人と一緒に見ている感の演出のためにもコメント欄はとても重要な要素であるように思う(cf. ニコニコのコメントシステム)。正当な批評はすべきであるし、それは視聴者も実況解説にも同じことが言える。疑問であるところは疑問であると明言した方が視聴層にも多少は勉強になるのではないかと思う。麻雀には絶対的な正解はないためむずかしいが、結果論と混同することには注意すべきである。
また、Mリーグに限らずある程度知名度がある一般素人が麻雀について語っている(それがメインコンテンツである)場合にも同じようなことが見受けられるというのが率直な印象である。麻雀勉強中の身からしたらとてもありがたいのだが、絶対的な自信と態度は少々気になる時もあった。自分の理論は絶対に良いという前提で他の雀士の打ち方を評価したりするとき、どうしても客観的な、多角的な視点がほしいと思った。麻雀の絶対的な正解は例え山が丸見えでもわからない(対戦相手を完全にコントロールする必要がある)ので、主観的な評価をされても受け取り方が難しいと感じた。また、Twitterではなかなか挑発的な態度を取っているような著名な非プロ雀士などもいて少々不快な思いをした。明らかに不適切・好ましくない発言を連発していて大丈夫なのかと不安になった。自分が見たかぎり、横柄で高圧的な態度を取っている方がそれなりの数目立っており、麻雀業界を閉鎖的なものにしているような感じがした。

「ゼロギャンブル宣言」について

Mリーグの設立時に一切の賭博行為を行わないことを宣言し、現在も実施されている「ゼロギャンブル宣言」はとても良いことだと思った。私自身麻雀をギャンブルとしてなら関わりたくないし、ギャンブルの印象が強いから麻雀を悪く見る人がたくさんいることは悲しい。その上、世間一般のイメージがよくないためあまり大っぴらに麻雀をしていることを言いにくいことはもどかしく感じる。Mリーガーは麻雀を用いたギャンブルを控えて「ゼロギャンブル宣言」を実践していることは喜ばしい。一方で、パチンコ・スロットや競馬・競艇・競輪などの公営ギャンブルの仕事をしていることは少々引っかかる。そう言った仕事をしているMリーガーを見た時、「あぁ・・・麻雀をやるような人はやっぱりギャンブル好きなんだなぁ・・・」と思った。確かに、「ゼロギャンブル宣言」を徹底することで「麻雀」そのものとギャンブルを切り離すことにつながるが、その他のギャンブルはやっているとなると麻雀(競技そのものだけではなくそれを取り巻くすべての要素)とギャンブルの関係性のイメージは払拭できないだろう。というより、公営ギャンブルの仕事にMリーグのユニフォームを着て行ったら、逆効果なのではないのだろうか。余計に麻雀とギャンブルを関連づけることにつながると思わざるを得ない。Mリーグ、ひいては麻雀業界が本気で健全化を目指しイメージの払拭を行いたいのであれば、中途半端な取り組みではなく革命的とも言えるような施策を行わないとこの先もイメージの払拭はなし得ないだろう。

Mリーグの審判制について

必要なのか、の一言に尽きる。
今シーズンは特に目立った疑問はなかったが、同時に特に活躍した場面もなかった。過去のシーズンを見ると審判の対応には素人目からも自信なさげで慣れていない、確立されていないものであった。審判制を導入するコストを考えるなら、審判の出番が来たらきちんと仕事がこなせるようにやり方を考えるものではないか。例えば、審判が堂々とした口調で、「①審判室の〇〇です。只今、〇〇選手が②第一ツモを取り忘れたため、③少牌となり④和了放棄となります。では、⑤東一局0本場、⑥〇〇選手のツモから再開してください。審判室からは以上です」(例)とアナウンスすれば視聴者としても審判の印象は良くなると思う。審議する事象に対して選手(というよりは視聴者)にアナウンスする内容を決め、はっきりした文言で簡潔に伝えることが重要であると考える。

その他(後日思ったことなど)

閉会式について
書こうと思って完璧に忘れていたことだが、閉会式を見ていて強く思ったことがある。「リハしなかったんかえ」。思わずエセツッコミをしたくなるほど段取りが悪かった。たとえば、卒業生は事前に卒業式の練習をする。それだけの話ではなかろうか。記憶が正しければ司会がある選手の名前を誤読していたが、司会としては事前に調べることくらいできるだろう(というか、司会なのだからそれも司会の準備のうちではなかろうか)。司会も突然知らない方で少々困惑したので、Mリーグに関わっている方(実況の方達)に司会を頼む方が望ましいと思った。とにかく、半年間戦って優勝したチームと熱戦を繰り広げたチームを労い、来シーズンへ向けての締めくくりとしての閉会式がぐだぐだで見ていて心配だったので、来年はしっかりリハをしてほしい。

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