ブラデリスに行ったら、なんか色々変わった話

乳がやる気を失っている。
ここ数年、如実に現れた変化である。
私はもともと乳がでかい方で、だいたいF75あたりをつけている。どっちかといえば外国人風な体系で、胸ドーン!尻ドーン!な感じ。マッサージとか行くと腰の位置も高い方だといわれる。

それが30歳を超えたあたりから、じりじりじりじりと胸が力を失い、本来乳があるべき場所から
ずり落ち、腰のくびれのすぐ上に乳首があるのではというくらい垂れた。
このあたりから、お店で服を試着しても「なんか似合わない」と思うことがかなり増えた。ネットで見て「これは絶対似合うだろう」と思って買う気満々で試着に行ったら変。すごいダサく見える。
顔つきや雰囲気には合ってると思う。けど、体がだめだった。
なにがおかしいのかな、とマネキンと比較してみて、ああ、乳の位置がおかしいんだとようやく分かった。なんとなく見ないふりをしていた気がするが、現実を直視すれば私の乳は本気でだらけていた。

「30歳を超えたら、色々変わるよ」

二十代の頃から言われてきた。みんな大概言われたことがあると思う。職場の先輩や、親戚。大概がこれを言う。
いざ30歳を超えて2年経ち、わかる〜って感じである。ほんとに変わる。
オールはきついし、なんかちょっといつも疲れてる気がするし、肌はくすむし、最近はマスクもせいか肌荒れもすごい。あと髭っぽいものも生えるようになった。これは私の女性ホルモンがないせいかも知れんけど。

汝のあるべき姿に戻れ!と叫びたくなる乳も、まさに加齢(と堕落した生活)によるものなのだ。

今まで、私は下着に1900円くらいしかかけてこなかった。あんまり必要性を感じなかったからだ。
安くても可愛いのなんていっぱいあるし、消耗品だし。出勤前にバーっとつけて、帰宅したらバッと脱ぎ捨てる。以上。そんな布に何千円、何万円も払えない。
それに、寄せて上げずともたわわな乳がある。そう思っていた。
けれど、そのたわわな乳は今や萎れたパイナップル。これはいけない。そこでふと思い出したのが「ブラデリス」だ。
Twitterで流れてきた「試着に一時間以上もかけてくれて、自分に合ったブラを見つけてくれる。すごい!」という内容を思い出した。体験漫画レポみたいなのだった気がする。
そのときは、へえーと思っていただけだったブラデリス。ここに来て俄然気になる存在になった。

しかし、いかんせんお高い。

1万円くらいする。1着1万円くらいする。
私が今つけているのはパンツとセットで1900円のブラだ。5セット分だ。気になったとしてもそう簡単に手が出せない気がした。
そこで、ふと、職場の先輩に「ブラデリスって知ってますか?」と聞いてみた。すると「使ってるよ!超いいよ!」と即答された。
先輩は40歳なのだが、とてもスタイルが良い。
そして美人で、コスメも大好き。私の知っている40歳は、太るのもおばさんになるのも当たり前〜みたいな人ばかりだったので、初めて見たときは「綺麗なお姉さんがおる…」とびっくりした。
私はこの人と同じ部署になって、こんな大人に憧れるなーと思っているうちにかなりのダイエットにも成功してしまった。そんな美人の先輩。ちなみに小沢真珠に似てる。

その人が、ブラデリスを勧めている。
これは行ってみるしかないなと思った。

幸い、帰宅途中に簡単に寄れる店舗があったので、私は早速ブラデリスに行ってみた。実は何回か、遠目に見ていたことはあるので、どんな雰囲気かは知っていたつもりだ。
基本的に、サイズ計測や試着は予約優先のようなので、私はその日は見るだけでもいいなというつもりだった。
綺麗に並んだブラたちは、普段つけている1900円のものとの違いは私にはわからない。レースとカップがついた布。でも、今の私にとっては希望への一歩だ。
平日の18時頃。お客さんは私ともう一人(試着していた)くらいしかいなかった。じっと見ていれば、店員さんが寄ってきて声をかけてくれた。
「なにかお探しでしたら」と微笑む店員さん。
「最近乳が垂れて……」と相談してみたところ、「よろしければ、サイズ計測と試着をしませんか?」と言ってくれた。
ちょうど他に予約が入っていなかったらしい。一時間以上かけてのフィッティングになりますが、と言われ、知ってます!よろしく!な感じでお願いすることに。

測る前に、まずはカウンセリングシート的なものを書く。どういう胸が理想か、悩みは、とか。あと、胸だけじゃなくて、腹とか尻に関する質問もあったので、尻も垂れてることを書いておく。胸については、垂れてるので元の位置にしたいってことで。あとは、デザインがどんなのが好きかとか書いてく感じだった。

書き終わると、シートをもとに店員さんからの説明がある。
ブラデリスは、乳を育てるために「STEP1」から「STEP3」までのブラが用意されているらしい。1から始め、乳がいい感じになってきたら2へ、みたいな。つまり、乳のレベル上げをする場所ということだ。
なるほどなーと思っているうちに、実際の計測へ。

これがすごいんですよ。

まず、今現在付けてるヨレヨレのブラのままの姿を店員さんに見せる。そして、店員さんの手によって、そのヨレヨレブラを正しく着け直してもらうんですけど……

この時点でかなり胸が上がっている。

ストラップの長さや、ワイヤーの位置を変え、背中などのはみ出した肉を詰め込まれたところ、ヨレヨレダメブラですら、私の乳を結構なんとかしてくれた。
プロの手腕…って感動してたら、
「じゃあ今からいろんなブラを試しましょう。合うのを探してきます」
って、店員さんが試着室を出て行った。

ここからが本番だ。

安いブラでも着け方次第で綺麗に見えるならそれでよくね? と思うかもしれない。実際に思った。
けど、それは違うんだと店員さんが持ってきてくれたブラにより思い知る。

最初に持ってきてくれたのは、確かG75、STEP1のやつだった。
店員さんの見事すぎる手際により、乳首を晒すこともなくそのブラに付け替える。背中の肉、腹の肉をカップにサーーーッと詰め込まれ、ストラップをピシッと引っ張られると、なんかもう……

すごい。

乳が、ちゃんと持ち上げられてる。
私があれだけ言ったのに持ち上がらなかった胸が、ちゃんと持ち上がっている。
なんやこれ、ブラの底力ってこんなんなの? ってびっくりした。
それでも店員さん的にはダメらしい。カップの上に入りきらなかった肉が気になるということで、ステップ2のブラを持ってきてくれたり、それも合わないと次、それもダメだと次、と計6-7着つけてもらった。
その都度、店員さんによる厳しいチェックがなされる。私にはもうなにがなんなのかわからない。ただ、胸がちゃんと持ち上がり、ふっくらと丸くなっているということしかわからない。プロに任せるべきなのだ。餅は餅屋。ブラはブラデリス。
結局、STEP2のベルブラ(だったはず)に決まった。
そのあとは、色を選んだり、手洗い用の洗剤を買ったりした。色は残念ながら二色しかなかったので、一着ずつ買って、使い回すことにした。

「セットでショーツのほうはいかがなさいますか?」と聞かれて即「セットじゃなくていいです」と答えておいた。誰にも見せる予定などない。

そうしてブラを買って、約2週間。

いろいろと変化があった。

まず、ブラをしていなくても、胸が垂れ下がらなくなってきた。
この変化は三日目くらいに感じるようになった。早くないです? すごいよ。取った後も、まだ乳が頑張っている。
クララが、クララが立った……! と感動するハイジのように、私も乳が立った……と呟いてしまった。
自分のいるべき場所を思い出したかのような乳に、感動しないわけがない。人間、何歳でも大切なことは忘れないもんだな。

それから、肩こりがほとんど無くなった。
昔からすごい肩こりもちで、デスクワークの上、趣味で同人活動までやってるバリインドア人間なもんだから、肩こりは親友レベルだったのに。月2くらいでマッサージ行かないと死ぬ……ってなってた現象がない。
肩軽い。まあきっと凝りはゼロにはなってないだろうけど、すっごい楽。
ブラひとつでこんなに!? ってびっくりする。

なにより見た目。
買った翌日、着けていたら上記の先輩に「違う……」って言われた。私も違う……って思ってたし、人から見てわかるレベルの変化。
裸にブラの時より、服着た時のほうが違いがわかりやすい気がする。スタイルよく見えるんですよ。
きちんとあるべき場所に乳があるし、すっごい形が綺麗。腹と乳が境界線で分離している。素晴らしい。
おかげで、鏡見るとワクワクするようになった。素敵おっぱい! ってなるし、試着も楽しい。ちゃんと似合うんだわ。だって胸がちゃんとしてるから。

あとどうでもいいけど、ブラホックをちゃんと後ろで留められるようになった。
今までどうしてもできなくて、まあでも困ることないしなと思って、胸の前で留めて、ぐるぐる回してたんだけどね。
こんなんでお高いブラがダメになったら嫌だ……と思って練習したら、時間はかかるけど、なんとかできるようになった。(失敗することもある)
ブラホックを後ろで留めるなんて、大人の女性感がすごい。進化した。
今度は一ヶ月後に来るように言われたので(ブラホックのたるみとか見てくれるらしい)それはそれで楽しみ。

というわけで、ブラデリスに行ったのは良い体験だったという話。

30代ともなると、こういうとこに金がかかるんだなーと嘆きたい気持ちもゼロじゃないけど、今の投資が10年後の自分に感謝されると信じて、私はまた良いブラを買おうと思う。

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