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ゆうこ(中山悠子)|FLY_031

26歳、ポートランドに留学する!

ゆうこ(中山悠子|留学生)自由大学では、「CREATIVE CAMP in ポートランド 2014」(以下、CREATIVE CAMP)を受講。2014年、CREATIVE CAMPに参加したことがキッカケで、ゆうこさんはポートランドへの留学を決めました。このインタビューは留学から1ヶ月経った2015年5月に聞いた話です。CREATIVE CAMPでの体験、そしてポートランドでの目標を語っていただいています。

Q.CREATIVE CAMPに行こうと思ったキッカケは?

行こうと思ったのはささいなきっかけで…会社を退職する1ヶ月程前に本当にたまたまCREATIVE CAMPの授業を見つけ、「2週間も異国の地で滞在か、面白そうだ。退職後に、行ってみるか。」ただ単にそう思いました。また「クリエイティブシティ」という言葉がひっかかったのもキッカケのひとつ。大学生の頃、「クリエイティブシティ」を目指している横浜市の研究を少ししていたこともあって、「ポートランドも『クリエイティブシティ』と言われているけれど、どうなのかな。実際に行って感じてみたいな」と思ったんです。

Q.ポートランドはどんな街?

何より「美味しいもの」がたくさんありました。美味しいものを食べることはダイレクトに幸せにつながると思っているので、私はめちゃくちゃ幸せでした。「知り尽くしたい!」という謎の欲求も芽生え、毎日どこかしらのお店を参加者の人たちと巡っていましたね。

そして、「街の雰囲気」が魅力的。歩いていて居心地がよかったんです。8月ということもあって、夜9時頃まで明るいんです。夕方から地元のブルワリーやワイナリーは人で賑わっていて、みんな楽しい時間の過ごし方を知っているようでした。

あとは「人」でしょうか。フレンドリーなんですよね、基本的に。スーパーのレジの人もお店の人も、道端で出会う人たちも。

ポートランドには、いいサイクルがあるんだと思うんです。小さなことからスタートしようという人がお店なり場所を構え、そしてそれを受け入れる人たちがいる。みんなそこにあるものが好きなのはもちろん、そこにいる人も好きだからこそ、そのお店に行くんだろうなって。

Q.CREATIVE CAMPの感想は?

正直なところ、クリエイティブシティが何なのか、自分の中でしっくりとくる定義は見つかりませんでした。でも、いい人たちに出会えたことは確かです。一緒に参加していた人たちは、みんな人生に対して何かを考えている人たちで、それぞれに哲学があって。とても居心地がよかった。

社会人になって新しい友達ができるなんて思っていなくって。自分の思っていることとか、こんなことに興味があるとか、変に構えることなく言い合い、耳を傾け合うことができる人たちと出会えたことは財産です。「また自分を形成する新しいコミュニティができたな」って帰国後に強く思いました。

いろんな人に会って、いろんな人の考えを聞いて、自分の知らなかった世界が広がっていく…臭いことを言うと、豊かな人生っていうのはより素敵だなと思える人たちに出会えるかどうかだなって思いましたね。

CREATIVE CAMPから帰国後、ゆうこさんはポートランドへの留学を決めました。

Q.留学を決めたキッカケは?

帰国したら転職活動をしようと思っていたんですよ。でも、ポートランドが気に入って、日本に帰ってきてから人とか街とかの雰囲気を比べちゃうようになった。もう、ポートランドがすごく恋しくて「暮らしてみたい!」と単純に思ったんです。

Q.迷いも、なく?

いや、その時は「日本でキャリアを積んでからいかなきゃ」とか、自分勝手に留学なんてダメだとか、思いましたよ。

26歳の私が今更留学なんて。働かなければ、お金を稼がなければ、自分と同じ世代にも社会にも置いていかれる恐怖心がありました。自分は今までそんな大したことをしてきてもいないのに、それにもう若くないし、今留学したら私の将来はどうなってしまうんだと、そういう葛藤がありました。

でも、CREATIVE CAMPの参加者には、全く逆のことを言われましたね。「まだ若い!なんでもできる!」と(笑)。もちろん親にも相談しました。「20代を越えたら難しいだろうから、行くなら若いうちに行ったほうがいい」と言ってもらえて。

あとは、勢いでしたね。もう親も承諾してくれたし、「行くしかない!」と。私が今ここにいることができるのも、両親の理解があったからこそなんです。

Q.留学して1ヶ月の心境は?

最初はただただ全てに圧倒されました。学校には、もちろんいろんな国の人たちがいて、それはそれで面白いことなんだけれど、自分の価値観や意見をうまく英語で表現できないことが多くて、ストレスを感じました。特に授業で英語を上手に話せる子と隣り合わせになり、ディスカッションをしてと言われた時には、それはもう嫌で嫌で。自分が惨めに思えて。つらくて1回トイレで泣きましたね(笑)。精神的にも身体的にも疲労していました。

でも、自転車を買って学校に通い始めてから少しずつ心境が変わってきた気がします。ポートランドは基本的に自転車で歩道を走ってはいけないので、道路か専用の自転車レーンを走ります。だから、最初は車の横を走ることだけでも、恐ろしくて。でもだんだんと風を感じることが気持ちよくてなっていって。初めて街の中心を流れる、ウィラメットリバーという大きな川を渡ったときに感じた爽快な気持ちと、目の前に広がる街と川の景色をみたときに感じた美しさは今でも忘れません。「今幸せだ!」と思えて涙腺が潤みました。学校の帰りには、家の近くの公園に寄り道をして、読書やヨガや昼寝などを楽しんでいる人たちを、自転車をこぎながら眺めています。今は自分が少しこの街の景色に溶け込めている気がして、うれしいです。

Q.留学中の目標は?

これといった大きな目標はないです。でも、自分の興味のあることや好きなことには、気負いせずチャレンジしてみたいなと思っています。例えば、私は自分が感じた事を言葉で表現する事が好きなので、今はポートランドで暮らしながら感じたことを英語で書き、それを学校の先生に添削してもらっています。最終的には、まとめてZINEを作ってみようかと。あとは好きだなと思った瞬間を写真に収めたり。なんも変哲もないことですよね(笑)。でも、それでいいんじゃないかなと思っています。

あとは、ここで自分の人生における「『幸せ』とはなんなのか」という基準をしっかりと掴んで、それを日本に持ち帰る! それでいいんじゃないかなと。だって幸せは自分の心が決めるものであるし。もちろん英語のスキルも多少はね。

この地で出会った人たちと関わり合いながら、自分を変化させながら、自分は社会に対してこういうことをしたいという明確な方向性が自然と見つかっていくといいかしらね。

【取材後記】ゆうこさんのお話を聞いたのは留学してすぐのこと。謙遜するお話しぶりでしたが、ポートランドでの生活を自分の歩みで進めている姿が印象的でした。2015年も後半になって、きっとまた心境の変化もあるのかな。留学当初の気持ちを聞けたことが何よりでした。

(フリユニピープル編集長 #新井優佑

【関連サイト】
KiBi of LIFE(ゆうこさんのフォトライブラリー)

FLY(フライ)は、自由大学の卒業生が登場するインタビューコーナー。自由大学に通い、新しく見つけた自分の姿。卒業して、踏み出した一歩は小さくても確かな手応えをもって、新しい日常の扉を押し広げます。卒業生が体験した、自分らしい転換期の話をお届けします。

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