現実と理想の狭間に。

この前、一時期推していたある少年が所属しているグループのライブに行ってきた。
きっかけは中島健人の脱退だ。
本当に「推しは推せるときに推せ」この言葉に尽きる。
たまたま近所でライブをしていたこともあり、約4年ぶりに当時大好きだった彼のステージを見てきた。

ある程度予想はしていたものの、想像以上だった。
何というか、私は一観客にすぎないけれど、相当メンタルをやられた。
それこそ、彼はすぐにステージから消えてしまうのではないかとさえ、思った。
昨今のオーディションブームの中。
もちろん、デビューできない人数の方が多い。
Twitterなどで、すぐに派生グループの話を上げる人も多い。
そんな無責任なことを言う前に過去のオーディション番組出身者が所属するグループのライブに行ってきて。
数多のグループがあるから、都会であればきっとすぐ見つかるはずだ。
現実を突きつけられる。

決して、彼の持っているポテンシャルや容姿、キャラクターはデビューできたメンバーと何ら変わらない。
けれど、選ばれたか否かでここまで環境や経験できることも変わってしまう。
頭ではわかっていたつもりだったけど、いざ現場に行ってみるとダメージを食らった。
彼のパフォーマンスは今でも大好きだし、4年前に好きになった当時と変わらず、ダイナミックな身体から織りなす低くて重めなダンスが得意なところは興奮がよみがえってきた。
ラップや歌も月日を経て、とても上手になっていた。

MCの途中で今年の目標を聞かれる場面があった。
他のアイドルは「アリーナツアーで全国を回る」「雑誌の連載をする」「ライブグッズ」を作る。
具体的な目標を口にする。
それはある程度、実現見込みがあるから。
でも、彼らは「活躍する」「もっとグループの知名度を上げる」などの抽象的な目標だった。
その場面を見た時に、彼の夢を潰してしまったのは私達なんだな。
と思った。
そうです。デビューできたら勝ち。非力だった。
胸が痛くなった。

そんな時、Twitterで同様にオーディションに脱落したけど、大きな会場でのライブやラッパーとのライブ共演をしている動画を見つけた。

特に海帆くんは、オーディションの時にこの曲を披露して、今はアイドルとしてデビューして、自作のリリックで本家と共演している。
多分、前述の推していた彼がしたかったことはこういうことだ。
でも彼のスキルが低いとかではなくて、全ては巡り合わせと運。
もしかしたら、海帆はこのライブがきっかけでラップ好きや他アーティストの目に留まり、更なる繋がりが生まれるかもしれない。
そう思うと、脱落した人は二度と人気になることはできないわけではなくて、余計切なくなる。
インファイトの歌詞を体現している元脱落生の4人が彼らにしか出せない魅力でパフォーマンスしているのがとても、とても嬉しかった。

話が逸れたが、自分も大人になって夢と理想と現実に折り合いをつけていくのが、当たり前になってきた。
夢を見つけたられなかった自分からすれば、彼は夢のために努力を続けていて本当に尊敬する。
けれど、4年ぶりにみた彼のステージから理想と現実の狭間の人生の闇や日陰を感じて、辛くなってしまった。
明るい曲なのに、みんな笑顔でパフォーマンスをしてくれているのに、私だけ泣いていた。
それは彼に対するデビューさせられなくてごめんね。という気持ちと彼に対する大きな尊敬を含めて。

きっと、これで私は4年間も亡霊も成仏できた。
今後、デビューしたグループと「推し」だった彼は全くの別物だとして、受け取るし、どんなに似合う曲があったとしても、彼が入っていたらな、なんてパラレルワールドの妄想はしない。

ふと、10年後とかに思い出して、検索した時に、彼が幸せでありますように。
回り道だったとしても、彼が幸せでありますように。

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