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小学校の卒業アルバムのために書いた文章

『小学校の思い出』

 「サイとゾウではどちらが好きかい。」
 と、四年生の時の友達の寺川君にきいてみたら、
 「う~ん、ぼくはねえ、サイゾウ君がいいな。」
 と、予想もしなかった返事が帰ってきました。ぼくは、寺川君がサイゾウと言ったわけを深く考えてみたけれど、どうせ深いわけはなく、ただサイとゾウをくっつけただけなんだろうと思ってきいて見ました。
 「ねえ、なんでさあ、サイゾウ君がいいなと言ったんだい。」
 すると、寺川君が自分のひみつをうちあけてくれました。
 「うっするどい。実はね、劇やるでしょ。それで、ぼくはゴキブリの役になっただろう。
 本当は、サイかゾウの役が良かったんだ。でもそんな動物は出せないから生徒の名前を一人サイゾウにしてくれと先生にたのんだけどムリだったのさ。だからね、サイとゾウのどちらかなんて選べないから、サイゾウ君がいいなといったのさ。」
 なにい、そんなに深い意味があったとは。すると、いきなり寺川君が逃るようにしてトイレに走って行ってしまいました。
 ついに四年の学習発表会の日になりました。寺川君はまだ悲しそうにスミの方でいじけていました。そこに、工藤君が現れて、
 「いじけるなよ。サイゾウなんて名前みとめてくれるはずがないじゃないか。君はゴキブリ君。わかるかい?」
 と、なぐさめていました。
 いろいろ出し物があって、ぼくたちの劇「ボロボロボロタン」をやる時が来ました。ゴキブリ役は、ぼくと、工藤君と寺川君に勝田君です。寺川君もあそこまで落ち込んでいたわりには生き生きとした演技を演じていました。
 思い出は他にもたくさんあるけれど、四年の劇を選んだのは寺川君の言葉が、深く心にきざみつけられたからです。

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『小学校の思い出』について

 実を言うと、ここに書かれている文章の8割がたは嘘です。『ボロボロボロタン』という演劇で、僕と寺川君と工藤君がゴキブリの役をやったのは本当ですが、寺川君が「サイゾウ君の役がいいな」などと言ったという事実はありません。この文章を読んだ人たちはみんな大笑いしていたけれど、よく事実を知っている人たちに怒られなかったなと思います。あと、小学生が演劇で「ゴキブリの役」をやらされるというのもすごいですね。今だったら絶対にありえないですよね。人権問題に発展しそうです。

 僕がどうしてこんな嘘の話を書いたかと言うと、面白い思い出話がまったく思いつかなかったからです。この頃から、僕にはオモシロを追求したがる傾向があったようです。今でもその傾向はありますが、事実について勘違いはあるかもしれないけれど、決して嘘はついていません。事実を盛ることもしていません。面白いと思える事実をありのままにツイッターなどに書いています。あるとき、僕は気付いたからです。人生で起きる出来事の多くは、ありのままであっても十分面白いことに。

卒業アルバムに書いた自己紹介

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 卒業アルバムの最後のほうに、それぞれが自己紹介を書いたページがあって、「僕は何を書いたっけなあ」と思いながら探してみると、「しゅみは、あめ玉をなめること」と書いてありました。当時の僕の趣味は「ファミコンで遊ぶこと」や「漫画本を読むこと」だったので、これも完全に嘘です。どうしてこんなつまらなく、かつ意味のない嘘を書いたのか、まったく分かりません。小学生のときの僕は、「趣味があめ玉をなめることだなんて、面白い!」と思って書いたのかもしれませんが、はっきり言って1ミリも面白くありません。今となってはとても恥ずかしいです。

卒業アルバムに書いた『六年間の思い出』

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 小学校の六年間の思い出を書くページが、そのあとにありました。僕が何を書いたのか探してみたところ、「すべての学年のえんそく」と書いてありました。すでに文集のほうで思い出について綴っていたので(8割がた嘘の内容だけど)、ネタがなかったのでしょう。それにしたって、まったくやる気が感じられません。「『えんそく』くらい漢字で書けよ! 六年生なんだから。みっともないなあ」と今となっては思います。じつに恥ずかしいです。ちなみに、田中(フ)となっているのは、同じ苗字の生徒が他にも一人いたためです。

卒業アルバムに書いた『ぼく、わたしのゆめ』

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 その次には、将来の夢を書くページがありました。「小学六年生の僕はどんな夢を抱いていたっけなあ」と思いながら探してみると、「たいやきやか、たこやきやか、しょくにんさんか、ラーメンやさん」と書いてありました。「夢は一つに絞れよ! 欲張りか!」と思いました。その頃の僕は『こち亀』の影響で警察官になりたいと考えていたはずです。どうやら僕はまた面白いと思って嘘を書いたようです。しかしぜんぜん面白くありません。どんズベリしています。そして、結局僕は警察官にはなりませんでした。いちばん上の兄が警察官になってしまったからです。「兄と同じ警察官になって、比べられるのは嫌だな」と思って、警察官になる夢はあきらめました。いまの僕はガチ恋カウンセラーなので、職人さんに近い存在ではあるかもしれません。カウンセリングは、下に載せた記事で行っています。ガチ恋で悩んでいる方は、下の記事のコメント欄にお悩みを書き込んでください。

卒業アルバムの『お父さん、お母さんの言葉』

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 さらにページをめくると、生徒たちの両親のどちらかから息子・娘に向けたメッセージが書かれています。僕の場合は、筆跡を見るに、母親がメッセージを書いたようです。「一日一日の積み重ねを大切に! 心にいつも輝きを!!」と書いてあります。日々の努力の積み重ねはとても大事だと日ごろから僕は思っていて、1日30分間のウォーキングは欠かさず行っております。また、「18分集中法」を使って毎日、英語の勉強と読書を行っています。

 「18分集中法」とは、どれだけ怠惰な人間でも18分なら頑張れるはずだから、18分は集中して勉強や仕事をしよう、というだけのものです。非常に怠惰な人間である僕にとってこの方法はちょうど良く、もう10年くらいこの方法を実践しています。「18分だけ集中して頑張ろう」と思って読書などを始めると、18分で終わらず20分以上続けることも多いです。何をしても三日坊主になってしまうような、非常に怠惰な人間には、この「18分集中法」という方法はとても役に立つメソッドだと思います。

 母親からの言葉に戻ると、「心にいつも輝きを!!」とのことですが、これに関してはまったく期待に応えられていません。心はぜんぜん輝いていません。いつもどんよりしています。母親は「心にいつも輝きを!!」と言いますが、個人的には、心がどんよりしていても別にかまわないと思います。日々最低限の努力をしながら、なんとか生きていければそれで良いのではないでしょうか。仕事でバリバリ活躍している意識の高い人びとは視界の外に置いて、無理せずぎりぎりのところで生きていきたいです。今の僕の夢は何かと訊かれれば、石川梨華ちゃんと結婚することでもなく、仕事で成功することでもなく、健康で文化的な最低限度の生活を送ることです。

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