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クラファンで1,800万円達成のUNIVRS、VR酔いを世界で唯一解決できた彼らが目指す世界観とは?

皆さんこんにちは。藤原です。第2回目となる今回はVRスタートアップのUNIVRS(ユニバースと発音)に登場いただきます。

UNIVRSは先日、国内向けにはCAMPFIREで、海外向けにはKICKSTARTERで新しいプロジェクトのクラウドファンディングを行い、見事成功させた気鋭のVRスタートアップで、僕がベンチャーキャピタリストだった時の出資先でもあります。元々EXPVRという割と言いにくい社名でしたが、最近UNIVRSというちょっとだけ言いやすい名前に社名変更し、また新たな事業構想があるとのことでお話しをうかがいました。UNIVRSはいいぞ。

この記事の登場人物

藤原弘之(質問内容を太字で記載)
UNIVRS CEO 藤川啓吾氏(下記写真中央・VR兄弟の兄)
UNIVRS CIO 藤川駿氏(下記写真左・VR兄弟の弟)
UNIVRS COO 小路直哉氏(下記写真右)

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意外と知らないVRを動かす仕組み

本日はよろしくお願いします。
藤川啓吾(以降「兄」)「お久しぶりです。よろしくお願いします。」
小路「ご無沙汰しております。よろしくお願いいたします。」

UNIVRSのVRって、VR酔いをせずに歩いたり走ったり飛んだりできるのが特長だと思うんですが、そもそもどうやって動かしているんですか?
兄「あまり知られてないことなんですが、ユーザーの動きを予測することが実は結構重要なんですよ。」

予測するというのは具体的にはどういう?
兄「VRデバイスから出てくるのって単なる位置を表す数値データなんです。頭に付けてるこれが今ここにあって、右手に持ってるこれがそこにあって、左手のはここですね、というのが数値データとしてあって、デバイスを動かすとその軌跡とか加速度のデータがだだだーっと取得できるだけなんですよ。」

数値しかないんだ
兄「はい、しかも弟の駿なんがよく言ってるのは、例えば暗闇で、頭と手先の動きだけが見えている人がいたとして、その人の全身の状態を予想して、その人がいったい何をしたいのか、というのをリアルタイムで描画する必要があるってことなんです。『この人は今走りたいんだな』みたいな。」

そうだったんですか。てっきりデバイスから何か良い感じのエンジンとかが提供されているんだと思っていました。
兄「いや、そういうのはないですね。ただの数値データの羅列です。しかもそれぞれの癖というのがVRデバイスごとにあって、それが結構大変なんですよ。」

えっ?じゃぁQuestとVIVEが微妙に違うとか?
兄「そうなんです。各社にわりと癖があって、それを僕らはうまくラップして、同じ動きはちゃんと同じ動きとして認識できるようにしているイメージですね。その辺はまさに職人技です。」

今後の事業展開

じゃぁこの技術を使って今後色々展開していくってことですね。
兄「まずは今回リトルウィッチアカデミアでクラウドファンディングもやりましたけど、IPのVRゲーム化というのが柱としてあります。」

そうでした。目標達成おめでとうございます!
兄「ありがとうございます!1,800万円をクリアしたんですが、これは実は最近PSVRでもヒットを飛ばしている『東京クロノス』がやったときとほぼ同額なんです。」
小路「VRにおけるクラウドファンディングの一定の成功ラインというか、ヒットがかなりの確度で見込めるラインとして1,800万円というのが、どうやらあるような気がします。」

そのマジックナンバー面白いですね。あとこのIPのVRゲーム化の他には、どんな展開があるんですか?
兄「エンタメ以外の領域でも僕らの技術って明らかに活用可能だったんですが、これまでは選択と集中でゲームしかやっていなかったんです。最近、社内の体制も少しずつ整ってきたんで、次は『訓練』の分野に進出しようと思っています。」

確かに、先行しているInstaVRなんかも結構そっち系やってますもんね
兄「はい。特に僕らの『酔わない移動』技術を使えばより効果があがると思っていて。例えば、ちゃんと正しく動かないとビルから落ちてしまうから気をつけようみたいな訓練だったとしても、本当に怖いと思ってくれて効果があったのか、酔って嫌な気分になったからなのかわからないんです。」
小路「どうしても"酔い"というものがノイズになってしまう。僕らの場合は"酔い"がそもそもないので、純粋に訓練コンテンツの効果が測定できるんですね。」

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例えばどういうところがお客さんになりますか?
兄「消防とか宇宙関係とかですね。案件自体が大きくなっていくので、日本の大手電機メーカーやグローバルの大手電機メーカーなどと協業すべくお話しを進めているところです。」
小路「さっそく明日海外出張に行くんですけど、その大手電機メーカーさんが僕らの酔わない移動技術にものすごく興味を持ってくださって、小さくても良いから何かコンテンツを一緒に出して関係を作っていきたいって言われています。僕らとしてもありがたいですし、将来的に資本業務提携のかたちでまとまったら良いなと思っています。」

なるほど。僕がピッチを受けた時に魅力を感じた、酔わないゲームエンジンのライセンシングはいかがです?
兄「そちらは『VR HUMAN UNIT』として人間の基本動作をパッケージにしてライセンス販売していく予定です。ワープとかではなく、ちゃんと自分の足で動きたいVRゲームを作るのでしたら、歩くとか走るとか、基本的な動作は絶対に必要になります。そこをいちいちデバイスごとに開発しなくても良いようにお手伝いできると思います。」

なるほど、ありがとうございます。事業進捗については理解しました。

創業時のビジネスプラン

では、起業当初の話を伺いたいのですが、そもそも創業時からこれらのビジネスを考えて起業を?
兄「いえ、当初はとりあえず弟と『VRで生きていこう』くらいなマインドでスタートしました。2016年の4月頃だったと思いますが、僕のRingのときの経験で、指先の動きを認識して技を出していくようなゲーム(忍VR)を開発してニコニコ超会議に出展したりしていました。チームとしてやっていたので、会社としてはまだなかったと思います。」

じゃぁ会社を創ろうって決心した契機は何ですか?
兄「当時スカイランドベンチャーズの木下さんから、ひたすら『起業しなさい。すぐしなさい』て言われていたり(笑)、あと、その頃に受託の案件が決まって、初めてビジネスが回り始めたので、箱が必要になりまして。」

今の構想とはまったく違うことで始まったんですね
兄「ただ、受託だけで食えてはいたけども、弟と『俺らはVRで世界を変えようとしてたんだよね』というのを徐々に考えるようになりまして。それで事業プランを考え始めたときに、Tokyo XR Startupsに出会ったんです。」

アクセラレーションプログラムには今の事業で応募を?
兄「いや、ちゃんとした事業計画なんか考えたことがなかったので、スタートアップには似つかわしくないような壮大なプランを作ったりしていました。しかも、やりたいことが2つもあったんです。それでよく分からなくなってしまって『どうしたらよいでしょうか?』って相談しに行った相手が当時Tokyo XR Startupsのアクセラレーションプログラムでスタッフをやっていた小路だったんです。」

小路さんは何てアドバイスを?
小路「当初彼らの事業プランにはロケーションベースで使う専用のハードウェアを開発するようなのも入っていたので、今とはかなり違いますよね。もちろん今のゲームの話もあったんですが、それはそれでかなり壮大なことを考えていて。僕のアドバイスとしては『とりあえず両方で応募してみてください』でした(笑)」

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とりあえず入れたら勝ちみたいな
小路「そうですね。入ってもらってからは、アクセラレーションプログラムのはじめの2ヶ月で、どういうものにするかを考えてもらってた感じです。ただのVRゲームだと埋もれてしまうので。」

国光さんからも何かアドバイスが?
兄「当初はVRのオープンワールドの中で、走り回ったり・戦ったり・ものを建てたりする世界観を創っていたんですが、あるとき国光さんから『君らがやってるゲームには重要な要素が3つある。それは移動・バトル・クラフト。この中で本当に君らがやりたいのはどれや?』と聞かれたんです。」

何気ない質問ですけど会社の方向性を決めてしまいそうな問いですね
兄「それは僕もすぐ思いました。これ、ちゃんと答えないとダメなやつだって(笑)。」

何て答えたんですか?
兄「やばい質問だというのはすぐ感じたんですが、僕の中では即決で『移動です』と答えましたね。いや、もともとはバトルがやりたかったんですけど、移動の問題を解決しないと、バトルもできないので。もう即答です。」

なるほど。それで今の酔わない移動テクノロジーがあるんですね

スタートアップへの転職

その後、小路さんをアクセラレーションプログラム運営側から引き抜いて自社のCOOにする訳ですよね?
兄「プログラム運営中から小路には色んな事を相談していて、僕ら兄弟で何でも『とりあえず分からなくなったら小路さんに聞こう』みたいになってたんです。そしたら、もうこれは一緒にやった方が早いんじゃないかと(笑)」

CEOがそう思っても相手が転職を決意してくれないといけませんよね。小路さんはなぜUNIVRSに移ろうと?
小路「Tokyo XR Startupsのアクセラレーションプログラムを立ち上げから第1期、第2期、そしてUNIVRSの第3期までやって、走りながら色々なことを勉強させていただいたりして、立ち上げ要員としてはいったんの役割を終えたかなと。ここから先は運用フェーズに入っていきますので、また別の立ち上げをやりたいなと思いまして。それが、まず出ようと思った理由です。」

立ち上げと運用だと求められるスキルが少し違いますもんね
小路「はい。あと、第2期までは割と皆さん年齢が高いというか、自分からは遠いコミュニティーだったのが、国光さんの思惑もあって第3期は一気に若くなって、僕と年齢が近い人が多くなったんですね。彼らに触発された部分も大きいのかなと思います。」

確かに、第3期はPretiaの牛尾さんもそうだし、MyDearestの岸上さんも若いし、ActEvolveの加藤さんも若い
小路「そんな中、VR兄弟の藤川たちと仕事をしていた時が、いちばん楽しかったので、居酒屋で『Joinしたいんだけど』と言ったら、藤川兄も『僕らもお願いしようと思ってました』とのことで、すぐ決まりました。」

良いですね。UNIVRSに参画する際に抱いていた想いみたいなのがもしあれば教えてください
小路「色々ありますが、特に"酔い"を解決できたところって、世界中探してもなかったので、ちょっと言い方はおこがましいかもしれませんが『これは自分がリスクを負ってプロデュースしていきたい』と思いましたね。」

ありがとうございます。こんな感じでスタートアップに参画してくれる優秀な人がもっと増えればよいのになって、僕個人的にも思っています。頑張ってください

後に続くVR起業家へのメッセージ

最後に、VRで起業しようかなと思っている方にメッセージがあればぜひ
兄「僕はVRに夢を見られる人がもっと増えて欲しいと思っています。VRって単なるひとつの技術ではなくて、中に入ると物理法則を超えて何でもできる世の中になる魔法じゃないですか。それこそ僕らがいま作ってるみたいに箒に乗って飛びまわることだって可能になりますよね。そこにワクワクして、そういう世界観を自分で作り出したいと少しでも思ったら、木下さんじゃないですけど、すぐ起業してほしいです(笑)」

とは言え自分で大丈夫かな?みたなこともありますよね
兄「僕も不安でしたけど、目指すべき山頂の場所さえちゃんといつも認識していれば、途中途中で道案内してくれる人が必ず現れてくれるんです。僕らもすごく助けられています。」
小路「そうですね。ロールプレイングゲームみたいに、危険な道を教えてくれたり、通るための武器をくれたりして、助けてくれる人が必ずいるので、一緒にその山の頂を目指して歩いていきたいと思っています。」

ありがとうございました。最後に確認なんですが、弟の駿さんがまだ一言も発言していませんが、大丈夫でしょうか?
兄・小路「大丈夫です!」

UNIVRSについて

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UNIVRSは独自開発した”VR酔いを防止する移動技術“(特許出願中)を採用し、従来のVRコンテンツでプレイヤーの動きに制限をかけてきた“VR酔い”を極限まで軽減することで、今までにないVR体験を実現するVR特化のテクノロジー企業です。 

最新作として、TRIGGER制作のアニメ『リトルウィッチアカデミア』のVRゲーム「リトルウィッチアカデミア -VRホウキレース-(仮)」を鋭意開発しています。それに伴い、現在、広報をはじめとした各職種を積極採用中とのことです。「VRの未来を一緒に切り拓いていきたい!」という方はpr@univrs.jpにメールするか、下記Twitterアカウントへお気軽にDMしてみてください。


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