あんなに愛のつまった「春田さんのことなんか好きじゃない」生まれて初めて聞いたから、お願い神様どうか牧を幸せにして。

昔、こんな言葉があった。

「愛とは信じることではない。疑わないことだ」

と。


そう。今我々は試されているのだ。公式がたとえどんな揺さぶり攻撃を仕掛けてきても、我々はビクともしないのだ、と。夏の暑さも、秋の嵐も、冬の吹雪も耐え凌ぎ、春になったらピンクの花を咲かせる桜のように。何があっても疑うことなく、その日が来るのを待ち続けるだけ。そう春田と牧が幸せになるその日を……!!


ということで、うっかりするとテレビ朝日に不幸の手紙を束で送ってしまいそうになるサタデーナイトですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

ん? ラスト1分? うわーっ! わー! 見てない! 見てない!(目元を高速パタパタ)。

第6話のラストシーンってあれでしょ? 春田の「俺だってさ、牧の家族ともっと仲良くなりたいもん」でスキマスイッチの『Revival』がかかって、牧が春田の膝蹴ってイチャコラしてるところでフェードアウトでしょ? 相変わらず公式はテーマソングかけるタイミングが上手いよね~。あっという間すぎて、40分の放送時間が28分39秒かと思った。



え?

違う?? 違うの??????


結構長いこと生きてきたけど、テレビ観てこんな精神状態ズタボロにされるの記憶にない。これ、ドラマという名のテロじゃない? ちょっと日本の人口減ってるんじゃない??

でも、どうせ召されるなら、僕は牧の幸福な笑顔を見て召されたい。たぶん今、24時間テレビのランナーよりも熱いエールが全国から送られているんじゃないだろうか。それくらい、ただただ牧に幸せになってほしい。


とりあえずあれだね、病気をすると人って色っぽくなるよね。熱にうなされる牧が、いつもより3倍増しで儚く見えた。小林製薬の宣伝部は熱さまシートのCMにいち早く林遣都を起用してほしい。あの彫刻みたいに整った顔に、熱さまシートが貼られているのが可愛すぎて、風邪ウィルスに感謝したわ。

しかも何だあの春田の顔ムギュは。よくやった。

春田が口つけた箸をそのまま牧が使っているの見て胸キュンするとか僕は中学生か。とてももうすぐ35歳を迎える男の心理状態とは思えない。この数週間で誰よりも人格を変えられたのは、春田でも牧でも部長でもなく、僕の方なんじゃないかと思う。

そしてあれね、冷蔵庫の前のキス。うるせーなと思って? うるせーなと思って?? 口封じでキスとか見るの新條まゆの漫画以来だわありがとうございます!!!

親に紹介したいと言われて混乱する春田。「別に春田さんが初めてなわけじゃないし(タメ口)」と平静を装う牧。その一言が春田は何となく面白くない。

春田が妬いた? 春田が妬いた!? 春田が妬いたー!!!!

もうね、ちょっとベルリンの壁でも崩れたかと思った。僕の頭の中で、民衆が大挙して拳を掲げてた。できるなら来年の教科書からそっと年表に忍ばせたい、春田がヤキモチ妬いた記念日と。

これは全シーンが永久保存版だな、と。辛いことがあったら僕はこれを見返して元気をもらおう、と。そう思ってた、途中までは。

でもどうしてだろう。もう今となっては、この何気ない日常が本当にかけがえのないものだったんだなって思えてきて胸が痛い。もう二度とこうしてふたりがテーブルを挟んでいるのを見られないかもしれないと思ったら、いっそ最初から出会わなければ良かったとさえ思う。

こんな悲しい想いするくらいなら好きにならなきゃ良かったし、こんな辛い想いするなら出会わなければ良かった。もう画面の中のふたりが、つくりものに見えない。このふたりに恋をしてしまった自分に気づいて、途方に暮れてしまう。


『おっさんずラブ』の素晴らしいところは、誰ひとりとして誰かを傷つけるつもりなんてないことだ。部長(吉田鋼太郎)も、ちず(内田理央)も、好きな人に好きだと伝えたい、ただそれだけ。

予告では病床の隙に襲いかかったように見えた武川さん(眞島秀和)だって、本当は不本意なアウティングをされた牧の内面を慮っての行動で。牧は春田の前では弱いところも見せないし本音も言えないのに、武川さんの前では素直に自分の気持ちをこぼしていて。春田は、牧がみかんゼリーが好きだなんてたぶん知らないだろうけど、武川さんはちゃんとわかってて用意してくれる。きっと武川さんと一緒にいた方が牧は幸せになれるし、傷つかずにすむ。それでも牧が嬉しいのは、みかんゼリーより、春田がつくったとても食べきれないお餅なんだから、恋はどうしようもない。


牧は言った。「結局、幸せじゃない」と。「春田さんと一緒にいても苦しいことばっかりです」と。

確かに牧が純粋に楽しそうだったのは第1話のルームシェアが始まって間もなくの頃だけで、それからはずっと言いたいことを隠して、傷ついたり悩んだりしていた。もちろん春田の母親が放った結婚発言や孫発言も応えただろうけど、いちばん辛かったのは、やっぱり春田がちずを抱きしめてしまったことだと思う。

自分は、あんなふうに真正面から抱きしめられたことはない。引き止めるように後ろから抱きしめられたことはあるけど、あんなふうに春田の体温を全身で受け止めて、身を預けられたことはない。それどころか一度だって春田から「好きだ」と言ってもらえたことさえない。ずっと不安で、不安で、不安だった。

たったひとつでいい。何か確信を持てるものがあれば、もっと我儘になれたのかもしれない。相手の幸せより、自分の幸せを優先できたのかもしれない。でも、優しすぎる牧が自分勝手になるには、春田は鈍感すぎた。子どもすぎたのだ。

もうお願いだからいい加減気づいてあげてほしい。牧の「大丈夫ですよ」は「大丈夫じゃない」っていうことを。ちずに告白だってしてほしいわけない。だけど、そこで「やめて」と言えるほど、牧は我儘じゃない。

もしかしたら心のどこかで期待をしている部分もあったのかもしれない。たとえちずが春田に想いを告げても、ちゃんと春田は自分を選んでくれる、と。そうしたらこの先何があっても、春田と一緒に歩んでいける未来を信じられたはずだ。両親に挨拶するよりも、ずっと確かに、ずっと強く。



昔、こんな言葉があった。

「愛とは信じることではない。疑わないことだ」

でも、それができないから、みんな苦しいのだ。

もしももう少し春田が大人だったら気づけたのかもしれない。今いちばん牧がほしかった言葉は、家事を手伝うことでも、父親に認めてもらえるように努力することでもないことを。

ただ一言、世界でいちばん牧が好きだ、と。

そう言ってくれるだけで良かったのに。でも、いつだって恋する者同士はわかり合えずに傷つけてしまう。

何回も言ったじゃないか。牧の「大丈夫」は、「大丈夫じゃない」んだって。だから、牧の「好きじゃない」は「大好き」なの。好きで、好きで、どうしようもないっていう意味なの。

あんなに愛のつまった「春田さんのことなんか好きじゃない」、聞いたことないよ。めちゃくちゃ好きじゃん。大好きじゃん。なのに、結ばれないふたりが苦しくて、今すぐ画面の中に飛び込んで、春田に「わかってやれよ!」と掴みかかりたかったし、牧に「素直になれよ!」と言いたかった。泣いているふたりに何もできない自分が恨めしくて仕方なかった。



最終回は、どうなるんだろう。正直想像がつかない。今、出回っているいろんな要素もどこまでが引っかけで、どこからがリアルなのか、とても判断がつかない。

もし本当に部長と春田が同棲していて結婚という流れなら、仮にそこで牧が割って入って春田をかっさらっても、それじゃあ今度は部長が可哀相すぎて素直に祝福はできなくなってしまった。

結局、それだと春田は単に押しに弱い人で、部長のことも、牧のことも、ちずのことも、本気で好きじゃないように見えてしまう。

きっとこれは、優柔不断でお人好しでダサくてモテない春田が、ちゃんと初めて誰かを好きになる物語なんだと思う。「付き合ってください」って言われたから「はい」って言うんじゃなくて、「春田のことが好きなんだってば」って告白されたから「そんなの俺だって」って思わず抱きしめるんじゃなくて。

自分の人生にとって、絶対に失ってはいけない人は誰なのか。いちばん大切な人は誰なのか。そのことに気づき、向き合い、ちゃんと「好きだ」と真正面から想いを伝える。そのための成長物語なんだと思っている。

そういう意味では、もしかしたらまだ恋は始まっていないのかもしれない。牧への気持ちだって、意地悪な言い方をすると、現時点では正直恋というよりも、自分のことを好きだと言ってくれる人をただ失いたくないだけのようにも見える。

きっとここから、春田はちゃんと人を好きになる。優しさでも、同情でもなく、愛するということを覚えていく。好きになられたから好きになるんじゃなく、ちゃんと自分から好きになる。

最後に春田が誰を選ぶのかは正直わからない。でもせめてそういう春田創一が見たい。自分に似合う服さえわからない春田が、本当に人を好きになるとはどういうことなのかを知る。その姿を見せてほしい。そのために必要な時間が「1年間」だったのだと信じたい。

そして同じように、最後は我儘を言える牧が見たい。いつも本音は心にしまって、真逆の言葉で笑顔を繕う牧のことが大好きだったけど、でも最後は相手の幸せじゃなくて、自分の幸せを優先できる牧が見たい。そのために必要な時間が「1年間」だったのだと信じたい。

33歳の春田と25歳の牧は結ばれなかったけれど、ひとつ年を重ねて、大人になって、34歳になった春田と26歳になった牧がもう一度本当の恋を始め直す。そんな結末が見られたら、もう何も言うことはない。あとは疑わずに待つだけだ。

たくさんのときめきと痛みと笑顔と涙を乗せて、6月2日(土)23:15から最終回が始まる。すべての人が幸せになれる最高のハッピーエンドが、そこにある。



ですよね、公式さん!!!!!!!!!(脅迫)

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横川良明

ライター・横川良明のテレビドラマ雑感

テレビドラマの感想などを気の向くままに書いています。
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コメント5件

今週もまだ観てなくて。でも小心者のあたしは6話も最終回まで観ないでおきます。゚(゚´Д`゚)゚。 だから、最終回見終わったらここも見に来ますうぇうぇ。゚(゚´Д`゚)゚。
横川さん初めまして。
冒頭の言葉「愛とは信じることではない。疑わないことだ」に救われた思いがしました。
一方的で幼いと思っていた私の思い出の中の恋は、ちゃんと愛せていたのかもしれないと。
自分語りですみません。ただ感謝のメッセージを残したかったのです。
春田と牧くん、まだあと最終話が残っています。まだ過去になっていない二人。ちゃんと見届けたいと思います。
とりとめの無い文章ですみません。六話後寝てないもので(笑)
みかんゼリーの件、私も思いました。多分春田は牧が何を好きかも知っていない事を。
今回もステキな感想ありがとうございました。
やっと、読みに来る事が出来ました。うっかり第6話を観てしまいました。情報が勝手に入りこんできて、第6話を観てしまったら生活に支障をきたす恐れがあったので。録画を観て号泣して、やっぱり支障をきたして、さらにここに来て号泣しました。あなたは何者ですか?笑笑この文章にどうすれば投票出来ますか?本当にすごい。凄いドラマとセットで凄いです。あたしは役40年腐女子をやってますが、こんなにキャラクターの心情を細かく分析した一般の人との出会いは初めてです。最終話の後も楽しいにしてます。おっさんずラブが終わってしまっても、必ずとは断言出来ませんが、読みに来ます(^ ^)ありがとうございました。
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