とりあえず春田のことをはるたんって呼ぶのはやめる。だってそれは部長がつけた呼び名だから。って面倒臭いこと言いはじめるくらいに牧春勢。

困る。非常に困っている。もう仕事が全然手につかない。朝起きたら知らん間に動画見たり、検索かけたりしている。何のことか。

『おっさんずラブ』のことである。

第5話は、好きという気持ちがどういうことなのかわからない春田(田中圭)が、自分の中にある好きという気持ちを自覚する回だった。

もう牧(林遣都)がいじらしくて見てられない。今、日本中の切なさが元気玉みたいに牧に送られてんじゃないかってくらい切ない。切ないオブ切ない。

ちずについて陽気に喋る春田の話を遮るようにしてデートに誘う牧の気持ちを考えたら、春田にはとりあえず別マを年間購読するところから始めてほしい。

せっかくのデートなのに、牧が撮った写真をちず(内田理央)に送るとか、その情報流出は絶対ダメ。そこはふたりだけの秘密の写真にして? あと、近くにいるからって合流していいわけない。牧の「いいですよ」は「全然よくない」ということをいい加減そろそろわかってほしい。これが恋のから騒ぎなら、毎週愛の説教部屋に呼び出してる。動画を一緒に振り返りチェックしながら「ここがダメ」ってくどくど言いたい。

ちずはちずで、ようやく気づいた恋心を無残に滅多打ちにされてるし。何で好きな人に、好きな人の話をされなくてはならないのか。可哀相、ちず。もう人を傷つける天才なんじゃないか、春田は。

結局、春田の太陽性はみんなを温かくするけれど、太陽は誰のものにもならないから、みんながちょっとずつ悲しい。ぐああああ、これが恋。恋ってツラい。

そう思うと、牧が春田の服を選ぶ行為は、牧ができるたったひとつの「好きな人を思い通りにすること」なのかもしれない。正直に言うと、春田にハットは似合わない気がする(ごめん)。あの牧が選んだ春田の服装は、やっぱりどこか「好きな人にこんな服を着てほしい」という牧の願望がにじんでいて。でもあの買い物デートが、鈍感な春田にもどかしい想いをしっぱなしの牧が、唯一自分色に春田を染め上げられる時間だったんだって思うと、会社も世間も全部滅びて、このままふたりを永遠に原宿に放牧させたい。

でも、そんな思い通りにならない相手が、たまーに自分の予想を遥かに超えたことをしてくるから、やっぱり恋は最高なのだ。

何なの? 「牧とさ、行ってみたい店があったんだよ」って??? つまりそれはあれですよね、ラーメン食べながら、「これ牧にも食べさせてやりてえな」って思ったことがあるってことですよね???? あるいは、テレビか雑誌で特集されているのを見て、牧のことを思い出したっていうことですよね????? よーく覚えておいてください、何か美味しいものを食べたり、綺麗な景色を見たときに、真っ先にこの人が隣にいたらいいのにと思ったら、それは恋です。恋なのです。

この短いワンフレーズで鈍感なところも無神経なところも全部許させてしまう春田の可愛さは完全アルテマウェポン。難しい和平会議とかも春田に行かせたら全部解決するんじゃないかっていうくらい、春田は人の心を平和にさせてしまう。

あと、あの終盤の帽子ポンは何。そうね、そのためのハットだったのね。たぶんだけど、あのハット、牧は一生大事にしまっているんじゃないだろうか。もう春田にもかぶらせない。丁寧に箱の中にしまって、神棚の上にでも置いておく。普段は全然モテ要素がないくせに、たまに予想の上を行く男らしさを見せてくるから、もう8回くらい心停止してる。

きっとそれは春田自身もこの恋を経験しながら少しずつ成長しているからで。

引き止めた理由を「料理とか家事に困るから」って自分を家政婦代わりだと自虐する牧に対して「勝手に決めるなよ」って春田は怒鳴る。胸の中で疼きはじめたその感情に、まだ名前はつけられなくて、でもだからと言って簡単に誰かに定義づけされたくもない。

それが、「俺はアイツじゃないとダメなんだ」って土下座をする武川(眞島秀和)の強い気持ちにふれて、自分にとって代用のきかないものは何なのかを考えはじめ、「正直でいたいっていう剣崎さんの気持ちもわかります」って語る牧を見て、今の自分とって一番大事なものは何かに気づく。

その結論が「牧と一緒にいることは、俺にとって全然恥ずかしいことじゃないから」なんだと思うと、にやけるより先に涙が出る。良かったね牧……!

あと、ついでに言うと、その後、1回俯いてから照れ臭そうに笑う田中圭の表情が良すぎて、こんな田中圭を産み育てたご両親に感謝の気持ちを込めて毎年お歳暮を贈りたい。

人を好きになるということを、丁寧にわかりやすく描いていて、見終わったあとの至福感は悶絶を超えて悟りの境地。『おっさんずラブ』がある世界がありがたすぎて、日頃からちょっと徳とか積みはじめてる。ゴミとか拾う。

日々の生活に疲れていたり、何かイライラが止まらないっていう人は、ぜひ『おっさんずラブ』を観てほしい。きっとほんの少しだけ世界に優しい気持ちになれるから。

追伸、何か展開が目まぐるしすぎてついていけてないんだけど、ふたつほど気になることがあります。ひとつは、次回もキスシーンが出てきたけど、あくまで牧が強引に奪っている感じで、結局まだ春田から牧にキスをするというくだりはないんですよね。お願いですから、最終回までに春田から牧にキスをするというシーンを入れてください、公式様。

ふたつめは、田中圭はすでにバンバン脱いでるし、何なら吉田鋼太郎ですら脱いでいるんだけど、何気に林遣都はまだ脱いでいない。これは、最終回までのジラしだと考えて…よい……の…でしょ………う…か……(想像したら死んだ)。

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横川良明

フリーライター。得意領域:演劇および働くこと。小劇場探求webマガジン『ゲキオシ!』編集長。 東住吉高校演劇部コーチ。演劇ユニット「少年眼鏡」主宰。

ライター・横川良明のテレビドラマ雑感

テレビドラマの感想などを気の向くままに書いています。
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コメント10件

おっさんずラブ大好きで、読みにきました!愛の溢れるわかりやすい内容に、わかんなかったこと気づかないコトに対して、「おーそうだったのか!なるほどー」って思ったとこ、めちゃくちゃありました。わたしは完全に春田的思考の人間で(太陽族ではなく人の気持ちわかんないって意味です!)、正直「合流しよう」とか「写真送る」とかダメでしょっていうコメント見て、「え?だめなの?」ってなったんです。これはあの人に、あれはこの人に、ってそれぞれ違う人を思い描いて、喜ぶことをしてあげたいと思うのを正当化はやっぱりなかなかできないのかーと。わたしは女なのですが、彼氏持ちの女の子にだいたい嫌われますね 笑。春田と通して自分を見てる感じなので、横川さんのコメントから学ぶものめちゃんこ多かったです!なんかもう、とってもありがとうございました!次回も楽しみにしてます^^
はじめてコメしますが、おっさんずラブと関係なくてほんと申し訳ないんですが、横川さんのnote、めっちゃ面白いっす!!!久々にすべてのポストを読みたいと思いました。おっさんずラブとか牧とかの事言えなくてごめんなさい。でも黒沢部長のインスタはフォローしてます。結局、何を言いたいかと言うと、これからもnote、楽しみにしてます☆
横川さん
ありがとうございます。ありがとうございます。
牧春にハマり過ぎて食欲もなくなるほどの重症っぷり。しかし周りは不倫ドラマにハマる環境のため…この気持ちをどこにぶつけて良いやらで毎日モヤモヤしていました。
それが!横川さんのこの文章を読んで、スッキリしました!私の気持ちを素晴らしい文章力で代弁していただき涙が出るほど嬉しかったです。感謝しかありません!
どうか…そんな牧春ファンのために、またお願いいたします!
はるたんは傷つけてる自分にちゃんと気付いてそれに傷ついて泣いちゃうんだよね、そこがまた太陽ポイントなので悔しいけどやっぱりはるたん好きなままでいい自分。
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