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レストラン向けVertical SaaS Toast(米)

今日は、Vertical SaaSのマーケティング戦略において参考になるレストラン向けSaaSのToastを紹介します。Toastは、SMBが多いかつデジタルマーケティングでの顧客獲得が難しい飲食店を対象としたサービスのため、同様にオンラインでの顧客獲得が難しいサービスの参考になるかと思います。

Toastとは?

https://pos.toasttab.com/

Toastは、飲食店向けのPOSレジを中心としたAll in Oneの飲食店管理システムを提供しています。
クレジットカード等での決済処理、メニューごとの売上管理、在庫管理、従業員の管理、モバイルオーダーの仕組み、フードデリバリーの仕組みなど多彩な機能です。

2011年設立で、2021年にIPOしました。IPO時の時価総額は約$17B、2021年12月期の売上は$1,705Mと巨大IPOとなりました。(直近は、株価が低迷しており$9Bまで時価総額は下がっていますが)

Toastの業績推移

Toast Capitalについて

Toastの興味深いサービスとして、飲食店向けの融資を行うToast Capitalがあります。
Toastは、POSレジをおさえているので、各飲食店の売上など与信に必要なデータを把握しています。また、決済の領域もおさえているので、売上に課金して一部を返済+手数料をいただくことも容易に実現できます。

Vertical SaaSは、導入企業の経営状態をデータで把握できること、決済をおさえているので課金しやすいことからファイナンスとの相性がよいと考えられます。

Vertical SaaS+Fintech

Vertical SaaSの中でも、エンタープライズだけで一定の売上規模を形成することが難しく、多数のSMBを顧客にする必要があるサービスの場合、平均的なSMBの顧客の月のサブスクリプションは2桁万円の前半が限度だとすると、チャーンレート(解約率)が低いサービスだとしてもLTVはそこまで大きくなりません。また、ソフトウェア(SaaS)への支出にそこまで大きな金額を避けない以上、導入後のアップセルも限界があります。
そこで、 FinTechを利用することで、顧客の従来のソフトウェアの支出だけでなく、従業員や金融サービスの支出も取り込むことができます。
具体的には、FinTechの機会 - 支払い、カード、融資、銀行口座、コンプライアンス、福利厚生、給与計算などの金融サービスを追加します。
金融商品を追加したり、組み込んだりするSaaSは、ソフトウェア支出としてのサブスクリプションよりも金融サービスの支出が大きくなる傾向があり、顧客1人当たりの収益を約5倍と大きく伸ばせる可能性があります。


Toastのマーケティング戦略

Toastの特徴として、対象となる顧客はSMBが多く、しかもデジタルマーケティングでのリーチが難しいという点が挙げられます。
そのため、通常デジタルマーケティングで効率的にリード獲得するところからスタートすることが多いSaaSとは初期のマーケティングが異なってきます。

結論から言うと、当たり前ですが、オフライン施策やセールス(パートナーセールス含む)に注力する必要があるということです。
セミナーや展示会出展、ポスティングやOOHなどのオフライン広告、販売代理店による紹介網の構築などを早い段階からマーケティング施策に組み込みます。

また、反響(インバウンド)での顧客獲得が難しい業種でもあるので、インサイドセールスやセールスによるアウトバウンド施策も重要です。そのため、人員計画に占めるセールスの比率は高くなりがちで高いところでは50%弱がセールスということもあります。セールスの人件費のどの程度を顧客獲得コスト(CAC)に見込むのかにもよりますが、通常のSaaSよりもCACは高くなる傾向にありますので、それを考慮しながらユニットエコノミクスがあっているかを判断する必要があります。

ただ、手元に十分なキャッシュがない初期から固定費に大きく影響してくるセールス人員の強化や実施コストが高いオフラインのマーケティング施策に予算を割くのはあまり現実的ではありません。
そのため、初期の戦略は業界内で一定予算を割いてもらいやすい大手企業と高単価な取引をつくる(初期はプロダクトも十分ではないので、コンサルティングも組み合わせてカバーしつつ、顧客の声を開発に反映して高速アップデートする。)という戦い方をおすすめします。

最後に少し宣伝です。
今回は、SMBを対象としてVertical SaaSの事例としてToastを紹介しました。限られたエンタープライズ顧客をおさえるタイプのVertical SaaSは、マーケティングよりもフィールドセールスに注力すべきなので、SmartApproachとは相性が良くないのですが、オフラインも含めてマーケティング戦略を描いていく必要のあるSMBも対象となるVertical SaaSはSmartApproachと非常に相性が良いです。無料から利用できますので、一度お試しください。

SmartApproachとは?

よいサービス、製品が、きちんと世に広まる社会の実現を目指して、これからサービス、製品を広めていくスタートアップ(挑戦者)のマーケティングとその資金をサポートするSaaSプロダクトです。


SmartApproachのテスト利用に付き合ってもいいよ(無料です)という企業さんや、事業立ち上げ手伝ってもいいよ(今6人ですが、ほぼ副業メンバーです)という方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただけますと嬉しいです。よろしくお願いいたします。