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簡易的なラブホみたいな。

昨日買った108円の洗剤で今朝、洗濯機をまわした。
108円で洗剤が買えてそれなりに汚れを落としてくれるなら何でもいい。
粉洗剤のため、矢じるしが記された通り箱の紙を平行に破いてく。
よくあるそれなりの粉洗剤なら、開封した後もちゃんと蓋としての役目はあるのだが
108円の洗剤は破いてしまったら蓋としての役割には足らず、破いた部分が隙間となりちゃんと閉まらなくなってしまった。
ついでにスプーンも付いてない。

そっか。そうだよね、それが108円だよね。なんとなく腑に落ちた。

スプーンがないので洗濯機に直接、目分量で洗剤をふりかける。
フライパンの上の野菜炒めに調味料をふりかけるように。

108円の洗濯機洗剤。
あたしはきみに期待してはいけなかったのに。

いつか新宿で安い男に勧められた簡易的な新宿のラブホを思い出した。もう今は壊されて別の建物があるけど、部屋は四畳もなくて、大きなダブルベットがどーやって入ったのかってなくらい部屋にハメられてて、トイレもシャワーも共同で、アメニティなんてない。
あんなヤルだけに作られたラブホ、今思えばよくあんな場所にあったなと感心する。

108円の洗剤と、あの日の簡易的なラブホと重なった。

慣れるものなのか。
生活の基準はいくらでも下げることができる。
でも少しは自分を大切にしたい。
あの夜、新宿南口で見つめあった白い目をした、まあるい月。
あいつの顔を今でも忘れられない。

お前は108円の洗剤を使うのか?って。

あたしだってこんな人生ごめんだ。

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