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我が家の猫ラックスと獣医さん

 私の家から獣医さんの所まで 歩いて15分もかからない。
けれど、辿り着くまでに急な坂がある。
そう、獣医さんは坂の上で私んチは 坂の下

 娘の猫ラックスを預かって4年目になる。
娘のこともご存じで、猫の爪を切りにいった時
「今日は?(お母さんだけ)」と 聞かれ
娘が亡くなったことを言うと
「何で 急に?」
「多発性骨髄腫で・・」
「あ~、あれは 痛いでしょう!?」と言われ
この先生は あの病気を知ってはったんや~!と、驚いた。
その時 猫ラックスの右目の異常に気付かれ
「しばらく様子をみましょう」ということになった。
2か月に一回診察と爪切りに通ううち「腫瘍」が発見され、瞬く間に大小の腫瘍が増えていった。
けれど 先生の「年齢がいくと こんなのが出来てくるんですわ、取ってもええんですけど、又違う所に出よるんです。どうしますか?」の言葉に
「先生 もう15年(当時)なんで、メスは入れないでおきます」と私は答えた。

 私は 先生に黙ってまん丸のコロンとした腫瘍に 私の湿疹の薬をつけてみた。私自身にはあんまり効かない薬だったけど、猫には効いたようで次第に小さくしぼんでいった。が、又別のところに現れる。
先生の言われる通りイタチごっこだ。
獣医さんは その薬をつけることを黙認してくださり、その後も腫瘍は私の湿疹の薬でしぼんだり又出て来たりをくりかえしている。
その上、1年ほど前から腎臓の数値があがり、薬とサプリメントをいただくことになった。
薬は錠剤を半分に割ってくださっているので、私は朝その錠剤をすりつぶして置きタイミングの良い時に サプリメントを注射器のような道具で吸い上げてすりつぶした薬の小さなお皿に入れその上から少々のチヤウチュールを 丁寧に混ぜ合わせ、ラックスの口元に持っていくと とても美味しそうにお皿をきれいにする。
そんな時 私は1日の大仕事を成し遂げたような気持ちになってホッとして
「いや~、きれいに食べられたなぁ!」と頭を撫でるのだ。

 昨年6月、私が1mほど上から落ちて「右肩脱臼と右肩腱板断裂」した
事情を獣医さんに知ってもらってから、往診になった。
往診の時、始めは自転車で来られたが、急な坂道が辛かったのか、その後は キュートな車(車種は記憶にない)で かわいい看護師さんと一緒に来てくださるようになった。

獣医さんは 私の息子より少し若いかな?!
いつも 柄模様のバンダナで頭をしばり、又それが似合っているのがほほえましい。
 1年ほど前から往診時、爪切りをしてもらい採血と腎臓の薬とサプリメントをもらっているが、飲みはじめて2か月くらいした時 ラックスのウンチがゆるくなった。
1度は「まあ、そんな時もあるか!」と気にしていなかった。が
しばらく日を置いて 2回目は 朝早く用を達したしたらしく 気が付いて掃除した時はある程度固まっていたので「?」と思ったが3回目で心配になって獣医さんへ連絡した。
「この前 往診に行ったとき聞いてましたあ?」
「いえ、この前は 初めての事だったんで、私らもこんなこともあると思って言い忘れてたんです」
「う~ん、一回サプリメントを止めてみましょかあ、1週間後状態を報告してもらえますかあ?」との決断にいたった。

 それから1週間、私は「小水、お便、固形の食べた分量」をメモった。
いよいよ、報告する前夜 このメモを見て気がついた。
サプリメントの量を減らせばいいのじゃない?か と・・

 翌日、電話のおねえさんに報告すると先生がお出になって
「1回 診せてほしいなあ、連れてこれますか?」といわれて、
「え? 連れて行くんですかあ? いや~、ドやろなア~」とあわてた私にすぐ先生が反応しくださり
「無理か!そんなら 今日 昼から往診いきますわ、それまでに 体重を 計っといてください」と言われ、私は又「ええ、計れるやろかあ? うちの体重計タニタの体重計なんでえ、いや、1回やってみますう」

「タニタの体重計」は「身長、年齢、生年月日、性別」を入力すれば、乗るだけで体重は勿論のこと「BMI、体脂肪率、筋肉量、内脂肪率、基礎代謝、推定骨量、カルシュウム、体内年齢、足腰年齢、体型、体型判定」なるものが 即座に出て来る便利なもの。しかし、猫を計るのはどうなんやろ・・?
ま、とにかくやってみることにした。

 それからが大変、引き出しを開けて「タニタの体重計の説明書」を探す
「確か、この引き出しにあるはずやけど・・ないなあ、あ、もひとつの引き出しやろかあ?」と 電気製品等のファイルサッシを何冊も出し、その間に挟まっていないかしらべて、ようやく「あ、あった これや!よかったあ、なんでも置いとくもんやなあ」と胸をなでおろし、早速 説明書きを開いて読むが・・ない!
人は計れるけど、猫は 計れ・・・ない!?と、わかった。が、
何を考えたか 私は 新しい測定表に猫を子供に置き換えてなにかしらを打ちこんで、猫を抱っこして乗ってみた。
数字が出る!そして、その後 私が服のまま乗って計ってみる。(数字は内緒!)
その差4・4kg
私は その数字を全うにラックスの体重だと信じていた。

ところが、先生って えらいもんやなあ?!
ラックスを手に取ると
「4.4? いやいやいや、そんなことないわ、軽い!」とおっしゃる。
あわてて私が「40.4?」と言うと、きれいなお姉さんが「そんなことないわあ」と笑った。私も「そんなことないは なあ!」と笑う。
先生だけが真剣な顔して「5kgは あるでえ」と言いながらお姉さんの手に渡して「タニタやから計られへんのや」といった。

 昔の体重計なら 猫を抱っこして体重計に乗り、後で自分の体重を引けば出たんだけれど、最近 妙に機械が進歩して これだけの細かいことを一瞬に出してくれるのに それは「人間」だけだということが分かり、便利なのか不便なのか分からなくなってしまった。

 採血の結果は又 Faxで送られてくるが、触診の結果は やはりサプリメントにあったようだ。
「1回サプリメントを見せてくれますか?」と言われたので そそくさと サプリメントを取りに行き持ってくると、
先生は注射器型の計量器をながめ、私の目の前に持って来られ
「どっちの数字で 計ってます?」と聞かれた。
私は 即座に「こっちの目盛り一つまで」と指す。先生は計量器を見つめて
「これはワンちゃんようですわ 猫はこっち!」と示されたのだ。
「ええ~!」目を凝らしてよく見ると小さな犬の絵がついている。ちょっと回して見ると黒猫が描いてある目盛りがあった。
「ああ、こっちですかあ? それでえ・・ 分量が多かったんですねえ」
「このサプリもココナッツオイル等で溶かしてあるから・・・」
なるほど なるほど!
「チヤウチュールも 油分があるから、なるべくあげないように!」
先生は おおらかな声だった。先生もホッとされたんでしょう!

私のサプリの分量が多いという判断は間違っていなかった。が、ワンちゃんの分量と間違うなんて・・・
やっぱり そそっかしい私は 年をとっても治るどころか、益々そそっかしくなっているようだった。
これからは 気をつけよ!と思いながら、大したことがなかったので 私の気持ちが 軽くなっているのを感じた。





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