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凍える考察②

前回は『ラルフってどんな人物?』について
今回は『ラルフとアニータの関係』について考察したいな、と。

前回の話ですが
ラルフとは虐待により精神的、身体的に過度なストレスが与えられ、脳に異常が現れ、結果殺人鬼となってしまった人物です。

前回のブログでも話しましたが、ラルフはあくまで親の虐待により精神異常者となり殺人をさせられていた被害者と考えられます。(この表現が正しいかは分かりませんが…)
なので、アニータもラルフに「あなたは悪くない」と言ったのかな、と。

ラルフのことを細部まで情報を集め、研究するアニータ。
ラルフにとって、ここまで自分のことを知り、理解しようとしてくれる人物は初めてだったのではないでしょうか。
それまで母親にも、父親にも、虐待をされてきたラルフ。そんな両親はラルフの言葉を聞き、受け入れてくれたとは思えません。
また、部屋の大家だってシロだと言われたのにも関わらず警察が訪ねてきただけで追い出すわけですし。(まあ、これに関しては大家さんは正常な判断でしょう。)
ラルフに“友達”といえる関係性の人がいたとも思えませんしそんな表現もなかったような気がします。
つまり、ここまでラルフに興味関心を持ち、関わり、知り尽くしてくれているアニータは彼にとって初めての心を開く存在、安心できる存在だったのではないでしょうか。

アニータと初めて会ったラルフは自分の名前を知っていることに驚き、心なしか嬉しそうな表情であった気がします。
「俺の名前を知っているの?やったことも?」
のところです。

最初は警戒心いっぱいでしたが、だんだんと素直になって行った気がしませんか?
最後なんかは録音を止めさせ心が痛い、病気であることを訴えるんですから。
主治医でも治せなかったモノも、アニータなら治せると判断したから訴えたのでは?なんて思います。



また、アニータにとってラルフはどんな存在だったのか。

一度、アニータはデイビットの嫁と電話をするシーンがありますね。
そこで最後、異性との交流の話になり「男?ないない。彼だけよ。バリバリの精神異常者」と言っています。が、アニータはラルフを読み解くうちに何かしらのが湧いたのかな、と。

でも、ちょっとアニータの気持ちも分かりませんか?

凶悪殺人鬼だしバリバリの精神異常者だけど
これからすること、今行ったことの意味、などちゃんと説明すれば嫌とも言わず素直に従ってくれる。
悪い奴じゃないんです、ラルフ。
素直なところがたくさんある。ただ、虐待による脳の異常から精神異常なだけで。
痛みも苦しみも人一倍知ってる。過度な身体的虐待、性的虐待を受けてきてるから。
ラルフ、読み解けば読み解くほど悪い奴じゃないんですよね。
素直に動くラルフ、私はだんだんと可愛らしく見えてきましたもん。

どうでしょうか。ちょっとずつラルフの印象が良くなったというか、凶悪なだけではない気がしてきませんか?

最後、アニータはナンシーに「なぜラルフの方を持ったのか」と訪ねられた時、「自分のため」と言い切りましたね。
そこからも、アニータはラルフに何かしらのがあり、世の中のように責めきれなかった、なにかラルフを守りたかったように感じます。

私には、ラルフとアニータは、お互いが生きていくために依存し合っていた、というか、2人にとって互いにちょっとした心の落ち着く場所、のような空間だったのではないかな、なんて思います。

だからなのか、ラルフとアニータの最後の面会のシーン。
ラルフのもとを去るアニータの姿を見て私は「行かないで、行っちゃだめだよ、だって、そしたらラルフはこれから誰に縋って生きていけばいいの…?」と、心が痛くなりました。
どこか、ラルフがアニータに懐き、生き生きとし始めた気がしたんですよね。多分。


と、ふと書きたくなった私の思いの丈というか、ラルフとアニータの関係の考察でした。
あくまでこれは私の考えであって、真相はわかりません。演出家の栗山さんが伝えたかったこと、演じる坂本さん、長野さん、鈴木さんが伝えたかったこと、とは違うかもしれません。
観劇した者の一意見として読んでいけただけたら、と思います(笑)
感じ方は人それぞれだと思うので。

ちょっと短いですが、目を通していただきありがとうございました。
またなんか湧き上がったら書きたいな、なんて。(笑)

ふじ

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