写真_2019-08-18_12_07_00

文楽の現場#0 文楽へ行くときの持ち物 7つ道具

文楽を観に行くとき、自分が重視している7つのアイテムについて。

1. バッグ

持ち物で一番難しいのが、バッグ。
小さなクラッチバッグで格好よく決めたいところだが、文楽公演のパンフレットはデカい。グラビアページわずかしかないくせに、なんであんなにデカいねん。
バッグは小さいものにして、パンフレットはそのまま素手で鷲掴みするスタイルもあるけれど、いかんせん東京公演はパンフレットの表紙に覇気がありすぎる。人形の癖にヘン顔写りというか「こんな写りあるか?」という苦味走りすぎのド悪人顔の松王丸、表紙写真なのにブレてて瞬間移動しているようにしか見えない忠兵衛など、クセが鬼のように強いため、電車で剥き出し運搬することは憚られる。
そうなるとパンフレットを格納するためにA4より大きいバッグが必要になるが、大きいバッグで自分の気に入るデザインのものを探すのはなかなか難しい。多少高くてもいいと思ったものを見つけたらすぐ買っといたほうがいい気がする! と思っていたところ、最近「これいいな」と思ったバッグが偶然A4強のサイズで、「こういう出会いは滅多にない!」とすかさず購入。
ということを🙊回繰り返してしまった。自分に甘すぎた。
と、いろいろ書いておいてナンだが、パンフはその公演へ行った初回に購入し、2回目以降には持っていかないので、2回からは好き勝手なバッグで行っています。
(写真は身バレ防止用ダミーで、今年のDiscover BUNRAKUの来場記念品でもらったトートですが、恥ずかしいからこういう文楽グッズでは絶っっっっっっっ対に行きません。でも、あるとき🥚🍙様がDiscover BUNRAKUバッグで往来を歩いておられたことを知ってしまい、なんで!?!?!?!?!?!?そんなことありえる!?!?!?!?!?!?とめちゃくちゃ驚きました。でも、バンドマンが自分とこのTシャツ着てるようなもんだと思えば、ありえるかー。文楽劇場の紙袋持ってうろついてる太夫さんとかもたまに見かけるし……)

2. オペラグラス

実はあんまり持っていかない。なぜなら、はじめから人形を見る目的でかなりの前方席を取っていることが多いから……。
後列のときは、6倍 or 4倍のものを持っていく。倍率的にはこれで十分。小さいバッグに入るよう、コンパクトサイズであることが肝要だと思っている。6倍はVixen Saqras 6x16、4倍はNikon 遊 4x10。ほかの人が使っているものを見ると、Vixen アリーナシリーズをお使いの方が多いような。
オペラグラスでは、主に人形の衣装・髪型・小道具を見る。よく見ると、お人形さんが持っているちっちゃな手紙にも、ちゃんと読み上げる通りの文章が書いてあったりして、可愛い。『桂川』の六角堂でお絹が長吉にあげるお小遣いも、オペラグラスで見ると包み紙にお金(銀紙ですが)が貼り付いていて、ゲイコマ。それと、太夫さんの見台の装飾観察。三味線さんの三味線の皮を見て、いぬかねこかを判定したり。あと、具体的には言えないけど、技芸員さんの髪型を見るのにも有用。
6倍で十分こと足りているものの、なんとなく、8倍のものも欲しい。自分が行く舞台ものはほぼ文楽で、能楽ときどき、歌舞伎を稀に、くらいなんだけど、実際にオペラグラスが必要なのは、安い後列席にすることが多い能楽と歌舞伎。でも、人間はでかいから、いらないような気もする。
レンズ拭きには、燕三さんのお話し会でもらった『仮名手本忠臣蔵』の切り絵イラスト入りメガネ拭きか、文楽劇場友の会の観劇ラリーでもらったオフクチャンのかしらのイラスト入りメガネ拭きを愛用している。

3. 10円玉

ロビーにあるコインロッカーへ荷物を預ける用。荷物をたくさん持っている状態が苦手なのと、国立劇場・文楽劇場とも座席が狭いため、上着や不要な荷物はロッカーに預けている。
用意し忘れたときは、売店で飲み物を買って「すみませんが10円玉でお釣りいただけますか😭」と頼む。売店のおばちゃんもわかっているので、「わかってますわかってます、そうですよね」と応じてくれる。
文楽劇場なら自販機で何か買う。文楽劇場の場内自販機(通用口前にあるやつ)で好きな飲み物は、バヤリースオレンジの200mlペットボトル。

4. ポーチ

高保湿のリップクリーム、口紅、目薬、清涼菓子などを入れてある。冬場はこれに加えてのど飴(ヴィックス)、マスクを持っていく。国立劇場・文楽劇場とも空気の乾燥がすごいので、保湿系アイテムは必須。
最近使っている「C.O.Bigelow」というブランドの「リップシャイン バニラミント2X」というリップクリームは、バニラの香りとともに砂糖味がついていて、おやつを食べた気分になる。バニラの香り付きコスメって外資にはよくあるけど、これは本当に砂糖めいた強い甘味がする。さすがメイド・イン・USA。品質的には同価格帯の国産ブランドの高保湿グロスのほうが良いとは思うも、甘さがだんだんクセになってきた。
宝塚や一般演劇のファンの方だと、前方の席はステージから見えるからという理由でちゃんと化粧に気をつけていると聞くことがあるが、文楽はみんなあんまり気にしてない感じがする。公演時間4時間以上もあるのに、お手洗いでも化粧直ししてる人をあんまり見かけない。自分は見えてようが構わんので、化粧直し用コスメは口紅1本程度しか持って行かない。むしろ普段より中身を抜いていく。どんな顔か誰も気にしない、ツメ人形みたいな外見に生まれついてよかったと思う。三人遣いの人形みたいな顔だったら、美しさを保つため頑張って化粧直ししなきゃいけないところだった。

5. 水筒(飲み物)

長時間にわたる上演でもずっと冷たい or 暖かい飲み物を飲みたいので、水筒を持っていく。Tiger SAHARA 夢重力 350ml。これを使ってる人は、場内でも結構見かける。ものすごく軽くて、デザインがシンプルで、構造が単純で洗いやすいので、お気に入り。

6. モバイルバッテリー

モバイルバッテリーはなんだか好きで、いくつか持っている。移動距離や外出時間に合わせて容量を選び、東京公演なら手軽なcheero Power Plus 3 stick(3350mAh)、大阪公演なら容量大きめのAnker PowerCore Slim 5000(5000mAh)など。
本公演は電池切れてもそこまで困らないけど、地方公演や単発公演では注意をする。会場が地図アプリがないとたどり着けないような立地だったり、入場待ちや幕間が異様に長時間だったり、いちばんやばいのは電子チケットの会場、スマホの電源が落ちたら死なので、気をつける。

7. コーヒー

正確には持っていくものではないが、休憩時間にコーヒーを用意するのは必須。理由は「上演中に寝ないように」。
さきほど、ステージから見えようがどうでもいいと書いた先から何だが、さすがに寝ているのが見えるのは無礼なので、売店や自販機、近隣のコンビニ等でコーヒーを買って、カフェインを補給する。飲み物を飲むのが遅いため、できればペットボトルを購入。
ステージから客席がよく見えるのは本当だ。文楽劇場主催のバックステージツアーに行ったとき、幕を上げた状態のステージに上げてもらえたのだが、客席の丸見え具合に血の気が引いた。「これ寝とったらめっちゃ見えんのとちゃう?」「いまは客席の全部電気つけとるから見えとるだけで、上演中は見えへんて!」と参加者みんなで言い合っていたら、アテンドの人形遣いさんがひまわりのような笑顔で
「見えますよぉ🌻」
と言ってきたので、全員で謝った。そして、こないだ読んだ玉男様インタビュー(というか座談会)でも玉男様が
「(「あ、このお客さん、寝てはるなあ」って)分かりますねえ。」
とおっしゃっていたので、より一層気を引き締めて参りたいと、そういう思いでございます。



憧れる持ち物。ある公演で、文箱を持っている方がいらっしゃった。中には技芸員さんへのファンレターを入れておられた。鳩居堂の封筒に、筆書きで宛名。鳩居堂や榛原で売られている高級便箋ってこういうシチュエーションで使うんだなと知った。おそらく技芸員さんご本人のお知り合いだと思う。文楽公演ではロビーで手紙を書いている人等は見かけたことがないので、ファンレ文化がない世界なんだと思うけど、あれがいちばんいい持ち物だと思う。技芸員で不特定多数の人からファンレターもらう人って、いるのかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?