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『男である』ことを止められない男性たちとその事情:イベントのお知らせ

またまた千駄木の往来堂書店でトークイベントをやります。今度のお相手は、各メディアでご活躍中で男性学がご専門の田中俊之先生。2月21(金)の19時半から。イベントタイトルは、「『男である』ことを止められない男性たちとその事情」。興味のある方は、往来堂書店のホームページから申し込みができます。

さて、今回のイベントを企画したきっかけは、昨年10月、同じく往来堂書店での中村淳彦さんとの対談であった。そこで中村さんから、「平成の時代における貧困問題の中心は女性であったが、令和の時代では50代以上の男性が会社から追い払われ、家族から見放され、貧困のうちに路上で野垂れ死ぬことになる」という衝撃的な予測が語られた(内容の詳細はこちらを参照)。

「衝撃的」などという少々大げさな言葉で形容したものの、この予測はもっともだ。企業ではますます居場所がなく、50代での退職が現実になりつつある中、父親や夫としての威厳に固執し続けるあまり家族に愛想をつかされ、仕事ばかりで地域社会にも繋がりを持ってこなかったオジサンたちが、路傍で孤独な死を迎えることがあっても全く不思議ではない。とはいえ、こうした事態が私たちの社会において望ましいものであるかといえば、当然、そうではあるまい。まして、まもなく50代に突入する筆者からすると、他人事とは思えない。とするなら、どうしたらこの不吉な予測の実現を避けることができるのか。

中村淳彦さんの話によれば、どうやら、この男性たちの苦境の一端はこの社会において「男であること」と深くかかわるようだ。つまり、オジサンたちの振る舞いや思考、メンタリティを規定している「男であること」という社会・文化的な規範が、彼らを「社畜」であることに誇りを持たせ、妻や子供たちに威張り散らすだけで関心を示さず、かつての肩書を鼻にかけては地域の人間関係をぶっ壊してしまう情けない存在にしてしまうというわけだ。とすれば、この不吉な予測に対処するためには、「男であること」というジェンダー規範から考えてみる必要がありそうだ。

そこで、田中俊之先生の登場である。ご存じのように、テレビから書籍、ネットまで様々なメディアをとおして、子供から若者そして中高年の男性たちに向けて「男であること」という自明視された規範に疑問を投げかけ、そこから抜け出す手引きをしているのが、この先生なのである。

今回のトークショウでは、まず田中先生に昭和から平成、そして現在の「男であること」という規範の変遷について具体例を交えてお話しいただこうかと考えている。そのうえで、そうした規範を生み出す社会のあり方について議論する予定だ。オジサンたちの悲惨な末路を自己責任論で片づけても、多くの人たちの留意を下げることになるだけで、事の本質に迫ることはできまい。だからこそ、今回は「ジェンダー/アイデンティティ」、「ネオリベ」、「ルサンチマン」というキーワードを手掛かりに、社会の構造から「男であること」をダイナミックに掘り下げてみたい。

イベントの概要はこちら

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