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【考察】BtoB SaaSにおける「CXとブランディング」が新規顧客獲得のヒントになりそう

どうも、ふじじゅんです。横文字ばかりのタイトルで恐縮です。

いきなりですが、今回のnoteの結論を私見として申し上げると、新規顧客獲得における取り組みとして、デジタル広告やTVCMなどのプロモーションに加え、優良顧客が新規顧客を連れてくる仕組みづくりにも注力する必要があるのではないか、という思いが強くなりつつあります。

その元となった、最近読んだ文献をいくつかキュレーションしつつ、思考を整理します。


「CX」と「ブランド」が新規顧客獲得の起点に?

皆さん、こちらの長橋 明子さんのnoteはご覧になりましたでしょうか。

まだの方はぜひご覧いただきたいんですが、いわゆるCXやCS領域のみならず、新規顧客獲得におけるマーケティングの文脈でも重要になりうると感じる記事でした。

特にグッときたのは以下の部分です。

サービスの良いところや注意が必要なところ、導入のコツや運用上のTipsなど、使っているユーザーにしか知り得ない様々な情報を知ってほしい人はたくさんいるのに、自分たち(販売パートナーも含む)からの発信だけでは、結局私たちが直接リーチできる人にしか伝わらない。10→100にスケールさせるためには、ユーザーさん自身で他の人に伝えてもらい、私たちが直接リーチできない人にも届けてもらう必要がある、ということに気づいた。
(引用元:B2B SaaSスタートアップでCXのために3年間やってきたこと / 長橋 明子)

さらに、「ユーザー自身で他の人に伝える」という観点では「ブランドが言語化」されている必要があります。以下に海外での先行事例を抜粋します。

ARR 10億円達成に近づいたら、ブランドへの投資を積極的に行うべき。最初は馬鹿げた話に思えるかもしれない。でも、これが70%以上のアーリーアダプターでない企業がベンダーを選ぶ判断基準になる。
(引用元:SaaStr シリーズ:ARR 1億円から10億円へ 〜 ストレス無く成長する方法 / hiromaeda.com )

※ アメリカ最大のSaaSコミュニティ「SaaStr」から翻訳掲載した、前田ヒロさんの記事。Jason Lemkinによる元記事はこちら


ブランドとは「●●と言えば?」の逆引きで想起されるもの

では、どのような状態であれば、顧客に対して「ブランド」が浸透したと言えるのか?

著名なマーケター jigen_1さんの下記の言葉にヒントがありそうです。

・吉野家と言えば牛丼→企業からのメッセージ
・牛丼と言えば吉野家→お客様に伝わったメッセージ

「吉野家と言えば牛丼」を逆引きすると、「牛丼と言えば○○」。ここに「すき家」が選択肢として入ってこない場合、そのギャップこそが「すき家」の埋めるべき課題となります。(※牛丼でイメージしてもらう戦略であればの前提。たぶん、そこではない)

(引用元:口コミ拡散のためにはコンテンツが1番、では2番は何に?|jigen_1さんが語るツイートが拡散する仕組みとは / Marketeer(マーケティア))

このように、顧客に伝えたい企業からのメッセージが、顧客自ら想起される場合に、ブランドが浸透していると言えるのではないでしょうか。

逆に言えば、その想起に至らない場合、浸透としては不十分。競合との差を埋めていく必要があるでしょう。


ブランドの言語化と浸透を促進する「サクセス事例」

さて、 jigen_1 さんの例ではBtoC、SNSマーケティングの文脈でした。

一方、比較的SNSマーケティングの難易度が高いBtoBですが、「●●といえば■■」を言語化するヒントとして、導入事例インタビューという強力な武器があります。

より効果的な取り組みとして、「サクセス事例」の有用性についてSansanの山田ひさのりさんが言及しています。

セグメントごとに提供するコンテンツのうち、最も重要なのが事例である。ただし、よくある導入事例ではなく、「Sansanを導入することで会社に対してどのぐらいの価値を提供できているかをテーマとする『サクセス事例』の提供に重きを置いている」と山田氏は語る。

その理由は、優良顧客に新規顧客を連れてきてもらう際、最も効果的なのが既存顧客のサクセス事例であるためだ。カスタマーサクセスドリブンの購買プロセスは通常のファネル型とは異なり、サクセスできた既存顧客が集まってコミュニティを作り、新規顧客を連れてくるホルン型のものになる。このプロセスでは、コミュニティがリファラル導入を活性化させる重要な役割を果たす。
(引用元:Sansanが解き明かす、カスタマーサクセスからの既存顧客マーケティングの仕組み page.2 / MarkeZine)

「サクセス事例」では、サクセスストーリーを顧客自身の言葉としてブランドが言語化されます。

顧客自身の言葉となって発現するブランドは、コミュニティマーケティングや口コミを通して、新規顧客の興味獲得へと繋がるループを生み出すと考えられるでしょう。


CXが顧客のEXを内包する場合、ULSSASもヒントに

ここまでの内容は、BtoB SaaS企業と導入企業担当者がおおよその主語でした。

一方で、ひとくちにBtoB SaaSといっても様々で、人事システムやグループウェアなど、顧客の従業員がエンドユーザーになるケースもあります。

このような場合、CXには「導入企業における従業員体験(EX)の向上」が内包されるはずです。先述の「サクセス事例」とも関わるでしょう。

例えば代表的なサービスとして「Slack」がありますが、Twitterで「Slack 嬉しい」と検索すると、導入を喜ぶ声や機能アップデートに満足する声など、CX・EXの向上がUGC発生に繋がっている様子を伺えます。

このように、従業員側の利用満足度が高ければ、UGCの発生やULSSASモデルでのアテンション獲得から指名検索増に繋がる可能性もありそうです。

UGCやULSSASについては、下記に引用する図やムロヤさんのnoteをご覧ください。

引用元:


おわりに

この考察をお読みいただいて、CX起点に生まれるブランドの重要性が、職種としてのカスタマーサクセスのみならず、新規顧客獲得文脈におけるマーケティング領域にも問われるだろうことが、なんとなく理解いただけたかなと思います。

僕個人としても、日ごろ導入事例インタビューを手がけることが多いため、意識的に取り組んでいきたいです。

とかなんとか小難しい感じで書いておりますが、顧客体験やその満足からブランドが確立され、新たな顧客獲得に繋がる仕組みづくりってサービス提供者側からしてもめっちゃワクワクします。

いつもお読みいただきありがとうございます! 笑顔で生きる糧になります😍 今後とも🍢ふじじゅん🍢をよろしくお願いします!