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75歳にして「高倉町珈琲」を起業した横川竟氏のきびしい言葉

 2018年9月に取材し、夕刊フジ「定年起業への挑戦実践編」に寄稿した記事を一部編集して届ける。とても大切な言葉をたくさんいただいたから。

 75歳を過ぎて敢然と起業に挑戦する人がいる。外食チェーンすかいらーくの創業者、横川竟(よこかわ・きわむ)さん、その人だ。

 横川さんの人生は起業への挑戦の連続だった。2008年にすかいらーくの代表取締役を退任した後の13年、75歳の時に高倉町(たかくらまち)珈琲第1号店を東京・八王子に出店。2021年4月現在、フランチャイズ店を含めて全国に30店舗以上展開している。

 その横川さんに起業について聞いてみると、きびしい言葉が待っていた。

みなさん、簡単に起業と言いますが、大変なことです。それは現実として知ってください」と前置きした。そんな大変な起業を75歳になってまだはじめようというのはどういうことですか? と伺わずにはいられなかった。

でも、どうしてぼくがこの年齢になっても会社をつくるのかというと、仕事をしている時こそ生きているって感じがするからなんです。仕事をするということは仲間を作るということじゃないですか。ぼくは仲間と一緒に目標に向かって進むのが好きなんですよ」

 多くのサラリーマンも同じ経験をしているような気がするが。

「サラリーマンは人に使われることには慣れていますが、仲間と一緒に何か新しい価値を作るということには慣れていません。そういう人たちがいきなり起業しても難しい」

そこで、起業には以下の2つの方法が現実的だと続ける。

1つは仲間の起業に参画することです。誰でも起業できるわけじゃない。起業する人を見つけてそこに参画するというのが現実的でしょう。自分の経験や技術を生かしてもらい、成功に向けて一緒に頑張ること。もう1つは起業にこだわらず、何かの形で社会貢献、ボランティアに参加すること。仕事をしないと、ただの老人になっちゃいますよ」

 横川さんは大いに笑った。起業とかんたんに言うが、横川さんはその厳しさをよく知っている。知っているからこそ、自分で起業することにこだわらず、仲間の企業に参画するのもいいし、社会貢献やボランティアでがんばるのもいいと言っているのだ。

 会社を辞めたいと考えても、いきなり起業・独立と走らないで、自分のことをしっかり見つめ直して、いろんな選択肢を考えることが現実的だろう。

人によって幸せの基準はいろいろ違うと思いますが、「仕事が楽しい」というのはかなり幸せの中でも大切なところにあると思います。どうしたら仕事が楽しくなるかを毎日考えてきた小さな会社の代表です。