漫画のコマ割、つれづれ

自分は漫画作業においてコマ割が壊滅的に苦手で、担当に小学生みたいと言われたことすらあります(結構ショックでした)

しかしネームを一年没にされ続けた結果、わかったことをたらたら書きます。多分当たり前のことばかりですが、自分にとっては世紀の大発見だったのです。

そもそもコマ割とは、、

コマに割ることです。
しかし、必要な情報を必要な場面に必要な順番で入れる。
これがなかなか難しくてほんとやんなります。

ちまたでよく言われていること

不要なコマを減らす。
これがしょーじき全然わからなかったです。
だって全部必要だと思ってるから描いてんのよ、こっちは。

重要なコマは大きく!
大きくってどのくらい??

まあ今でも完全に克服できたわけではないのですが、頭では理解できるようになりました。

ではまず①から

①不要なコマを減らす

シーンとしての省略法っていうのは、なんとなく理解していました。
例えば、
主人公が買い物から帰ったことを伝えるために、
わざわざスーパーに寄った描写は描かなくてよい。ただ、買い物袋持って「ただいまー」と言わせればいいのである。
とかそういうことです。

こういうのは割とわかる。
でも、わからないのはその次で、
なんというか、コマを細かく割りすぎちゃうのです。
しかし、それらは自分にとっては全てリアリティを出すための必要な情報。
2コマで終わらせることもできるシーンでも、3~4コマかけて描いてしまうのです。
つまり例えば、帰ったときに傘の雫をふるい落とすシーンとかそういう鬱々とした描写をどうしても入れたくなる時があるのです、後は主人公の感情アップのコマとかも。

しかしまあそういうコマは不要と言えば不要なのですが、
別に削る必要もないのです。

言われてみれば当たり前のことなのですが、漫画の中で時間が流れるのは、コマとコマの間だけではなく、コマの中でも同じことなのです。

漫画は右から左へと読むので、
例えば入れたい情報が五個あるけど、2コマに納めたい場合、
右から順に、①②③を1コマ目に、④⑤を2コマ目に入れればいいわけです。
実に単純です。

また、①②③の情報を1コマの中で展開する時、例えば一番重要なのが②の時、②を大きく描いて、他を小さくする。
まず、この時点で、
コマの中の物の順番、そして大きさが決まるので、その様に描けるだいたいのアングルや配置が絞られます。
そこに、視線誘導や他の要素(白黒の見やすさとか)、全体の中のそのコマのバランスを加味すると、おのずと構図は決まってきます。

②重要なコマは大きく!

自分が困っていた(いる)ことのひとつに
そもそもコマの大きさは重要度と言われても、
どのくらい大きくすればいいのかわからない、ということがありました。

それに、実際なんと!
他の漫画を見ても、必ずしも重要なコマが大きいとは限らないのです。

では、コマの大きさとは何なのか、
それは

「体感時間」

です。

映画も同じなのですが、映画のワンカットと漫画の1コマというのは非常に似ています。
例えば、試合のゴールが決まる瞬間、
実際には一瞬ですが、
とても長く描かれたりするのは、こういう法則に乗っ取ってです。
重苦しい沈黙のシーンも同様です。こういう瞬間は永遠のため、大きく描かれることが多いです。

逆にあっけない死、といったシーンの場合はそのコマはあまり大きくかきません。それは唐突な一瞬なので、特段長い体感時間ではないからです。ただしその余韻を大きく描くことはおおいです。

とにかく、この体感時間の感覚は実際に映画を見てみるとよくわかります。
カットの切り替わる秒数を比較して、その長さをもとに漫画のコマを割ってみたら、多分かなりわかりやすくなると思います。

この映画のカット感覚は、漫画の場面転換の際の大きな背景の1コマでも説明できます。
映画も場面転換の際は同様に、
最初の舞台背景のカットを長く取るからです。

だから、頭の中で映像化をしてからコマを割る人は、その時間感覚をコマ割に反映させればよいというわけです。

今日のところは以上!