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競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁R2.7.21開札①

今回から神戸地裁本庁は新たな競売物件の入札閲覧が始まりました。

入札期間は令和2年7月8日~7月15日まで
開札期日は令和2年7月21日となっています。

さて今回取り上げる物件は、

事件番号 令和01年(ヌ)第75号
売却基準価額 1,350,000円
買受申出保証額 270,000円
買受可能価額 1,080,000円

種別:土地 持分売り
物件番号:1
所在地:神戸市北区花山台
地目(登記):宅地
土地面積(登記):100.55m2
用途地域:第一種低層住居専用地域
建ぺい率:50%
容積率:100%
持分:2分の1
種別:建物 持分売り
物件番号:2
所在地:神戸市北区花山台
構造(登記):木造スレート葺2階建
床面積(登記):
1階:48.60m2
2階:40.50m2
間取り:4LDK
敷地利用権:所有権・その他
占有者:債務者・所有者
築年月:平成4年10月
持分:2分の1

こちらの物件です。
ご覧の通り持ち分のみの売却物件です。
持ち分のみの入札、入札シミュレーションを今までしたことがなかったので、入札件数は何件入るのか?落札されるのか?などなど今後の参考として活用するために取り上げています。

■ポイント■
★物件明細書より
・物件の占有状況等に関する特記事項より
【物件番号2】
ない客対象外の共有持ち分を有する共有者が占有しているとコメントがあります。
つまり、共有者の内、持ち分を持っている方がご自身の所有権に基づき住んでいらっしゃいます。
・その他買受の参考となる事項より
【物件番号1,2】
本件土地・建物は共有持ち分についての売却であり、買受人は、当該物件を当然に使用収益できるとは限らない。
つまり、落札した買受人であっても現在他の共有者が生活をされているので所有権を取得しても利用方法については制限がかかってくると言うことです。

★現況調査報告書より

1.建物共有者(申立債権者)と記載があります。
この表記を見ると、競売の申し立てをしたのが、共有名義で所有されていた相方が行ったと言うことです。

※関係人の陳述等より
1.以前は債務者が住んでいたようですが既に退去されていて、それに代わって建物共有者が使用されているようです。
2.雨漏りがあった箇所を補修してその後、雨漏りが止まっているようです。

※執行官の意見より
1.関係人の陳述に矛盾するところはなかったので、占有者及び占有状況は資料の通り思料した。
2.建物の外壁にはクラックの補修跡が存在している。建物内部に著しい損傷個所は見当たらず、経年劣化程度の損傷具合とであろうと思料された。
3.本件土地は、土砂災害警戒区域内に位置している。

※間取り及び室内写真より
1.4LDKの間取りです。
2.居室は和室が3部屋と洋室が1部屋になっています。
3.トイレは1階と2階に各一つあります。
4.家の前に車を止めるスペースがあります。
5.室内は生活感があり現在も住まわれているのがわかります。
6.お部屋もきれいに片付いている印象です。

★評価書より

1.最寄駅から徒歩3分の場所にあります。
2.南傾斜のため前面道路の北側と高低差がある。北側は約3m程度の擁壁である。
恐らく、道路を挟んだ北側のお家の擁壁の高さが3m程度ということだと思われます。
3.土砂災害警戒区域にある。
土石流などに注意が必要な地域です。
4.経済的残存耐用年数は約5年程度となっています。
5.基礎となる価格として土地193万円、建物87万円。合計280万円が評価額として算出されています。
6.家賃についてはレインズに登録されている成約事例を参考に手堅いラインで7万円とします。年間で84万円です。

【では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。】

持ち分での売却となっているため、単純にいつものようにまずは計算をしていきます。

計算式1【売却基準価額での計算】
84万円÷135万円×100=62.22%(表面利回り)

計算式2【基礎価額での計算】
84万円÷280万円×100=30%(表面利回り)

計算式3【計算式2より2割減で求める計算】
84万円÷224万円×100=37.5%(表面利回り)

上記のような数字となりました。
実際には共有者が住まわれているため収益性を生み出すことはすぐにはできません。
このような場合は一般的には落札した方が他の共有者に対して持ち分の買取をしていくのが多いです。

ここではあくまで投資として捉えていますので、例えば、現在の共有者から賃料目安7万円の半分を家賃として受け取りしたとしたら?で、考えると、

計算式1
42万円÷135万円×100=31.11%(表面利回り)

計算式2
42万円÷280万円×100=15%(表面利回り)

計算式3
42万円÷224万円×100=18.75%(表面利回り)
このようになりました。

気になるポイントとしては、

他の共有者が競売の申し立てをしている点です。もしかするとご自身が落札してご自身の単独名義にする意向があるのかもしれません。

そうなるとご自身が落札する必要性がでてくるので、資金をお持ちであれば多少高めでも入札されるかもしれませんね。

入札する場合は、どのようなことがあるかわかりませんので、売却基準価額で入札くらいでよいのではないでしょうか?

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて読んで頂けたら幸いです。


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