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競売入札シミュレーション 神戸地裁本庁R2.6.23開札②

今回も神戸地裁本庁の不動産投資用収益物件を見ていきたいと思います。

今回取り上げるのは店舗として貸し出ししている連棟式の建物です。

早速見ていきましょう。

事件番号 令和02年(ケ)第12号
売却基準価額 1,150,000円
買受申出保証額 230,000円
買受可能価額 920,000円

種別:土地
物件番号:1
所在地:神戸市北区鈴蘭台南町五丁目
地目(登記):宅地
土地面積(登記):48.13m2
用途地域:第一種低層住居専用地域
建ぺい率:40%
容積率:80%
種別:区分所有建物
物件番号:2
所在地:神戸市北区鈴蘭台南町五丁目
種類(登記):店舗・居宅
構造(登記):木造瓦葺2階建
専有面積(登記):
1階 :33.04m2
2階 :24.99m2
間取り
バルコニー面積:不明
管理費等:
敷地利用権:所有権
占有者:あり
築年月:昭和53年7月
階:1階と2階

このようになっています。
では、3点セットを見ていきましょう。

■ポイント■
★物件明細書より
・賃借人が入っています。
・賃料は毎月5万円
・期限の定めなし
・敷金130万円
・敷引き100万円
・特約はなし
※上記賃借権は抵当権設定後の賃借権である。
いわゆる6か月猶予の物件となります。
・売却対象外の土地を通行のため無償で利用している。
※通行のために無償で利用させてもらっている通路、道路があると言うことです。将来的に通行料を請求される可能性もあります。

★現況調査報告書より
・賃借人が店舗として利用し、時より住宅部分で泊まることがあるようです。
・平成11年から借りています。
※関係人の陳述等より
・賃借人のコメント
1.私は平成11年より店舗を経営している。帰りが遅くなった時に建物2階部分で泊まっている。
2.家賃は、父兄なこともあり、現在は5万円に値下げしてもらっている。その代わり、什器備品に不都合が生じたら自費で修繕している。
3.数年前に地中に埋設されている水道管から水漏れを起こし修繕している。修繕後の水道管は建物内部に設置されている。
4.建物の2階のベランダが腐っている。
5.大雨の時に2階の和室にて雨漏りがある。
6.浴室の出入り口付近の柱。シロアリにやられてボロボロになっている。浴室の浴槽に不具合があり、シャワーしか使えない。
7.1階店舗に設置している台下冷蔵庫や冷凍庫は故障していて使えない。
8.店舗の壁に設置されているエアコン取り換えしようとしたが、電気屋で運ぶことができず、取り外しもできないと言われたまま残っている。
9.他人地の通行に関しては、近隣の人から苦情を言われたことはない。


・所有者の子供のコメント
1.賃貸当時は父親が対応していたが亡くなっており不明。
2.母親も体調不良のため私には詳細がわかならい。
3.賃借人は契約した方で間違いないが契約書が見当たらない。

※執行官の意見より
1.本件建物と土地の他に共有持ち分の土地があるがその土地の共有分は今回の競売の対象となっていない。
2.1階店舗の床はかなり沈み込みが感じられた。
3.浴室出入り口付近の柱などにはシロアリが原因と思われる穴が確認できた。
4.本件建物には相当な劣化が生じている可能性が極めて高いものと思料された。
5.占有者から賃貸借契約書の提示をうけて、内容を確認してこの度の占有を思料した。
※今回の競売対象となっていない共有持ち分の土地があります。
公図を見ると、そこが建物の裏側の出入りに利用している通路のように見受けられます。恐らく持ち分を有していることから通行に関して苦情等がでることがないのだろうと思われます。

※室内の写真及び間取りより
1.間取りについて
1階が店舗と浴室、2階には和室が二間とべランダとなっています。
2.室内写真の店舗写真は綺麗にされているのがわかりますが、その他問題ある箇所については写真ではわかりにくい状況です。
浴室は古い在来の浴槽です。

★評価書より

・建物の経済的残存耐用年数は満了している。
・建蔽率、容積率ともにオーバーしている。
・基準の㎡価格を72,900円として採用。その後市場調整率で調整。土地のみの評価。

では、入札時のシミュレーションを見ていきましょう。

現在の賃料で売却基準価格で購入するとした場合

賃料5万円×12ヵ月=60万円
60万円÷115万円×100=52.17%(表面利回り)
売却基準価額で購入できたなら2年で回収です。

しかし!マイナスポイントをどう考えるか?それも忘れないでくださいね。
シロアリ、雨漏り、競売の対象となっていない土地共有持ち分の取得。

次に鑑定人が使用している基準価額である㎡72,900円×48.13㎡からの市場調整価格=約262万円です。あくまでも土地の評価かつ、建物が存在することでの評価です。

これで計算すると
60万円÷262万円×100=22.9%となりました。

ここまで価格を上げなくても落札できそうな感じがしますが、何分、神戸は未開です。これはまた開札結果を見て今後の参考資料としたいところです。

個人的には基準価額より少し上げて150万円位であれば入札してみても良さそうかと感じます。

60万円÷150万円×100=40%となりました。

諸々の問題があるのでそのあとにかかるお金のことを考えておかないといけませんのでこの辺りで良さそうだと私は思いました。

初めて競売される方には少しヘビーなので入札参加はお勧めしません。

開札結果が6月23日なのでそれ以降でまたご報告しますね!

※筆者の紹介

前職の会社で約2年半で競売物件60件程度の落札、占有者交渉、リフォームプランニング、売却を手掛ける。

勤め先の会社では強制執行をしなくても良いように占有者との交渉で対話を重ねる。結果、自身担当での強制執行は0件。現地調査、裁判所記録閲覧、3点資料の読み込みにより写真から占有者の性格等を読み込み、入札する、しないなどを選別する。反社会的勢力の所有が疑わしい物件を写真から判断。そして現地管理人へのヒアリングで確認すると的中するように至る。

やり方がわかれば簡単です。何か難しそうであったり、落札後のリスクが読めないため入札を躊躇される方も多くいらっしゃると思います。ですが、しっかりと注意点を抑えていけば何も難しくもなく参加できるので、安く買いたいとお考えの方は一度競売を考えてみてはいかがでしょう?

現在下記のホームページでも競売投資のお話も書いています。

併せて呼んで頂けたら幸いです。


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