見出し画像

オルタナティブスクールOBインタビュー Vol.1

西宮サドベリースクール かなこさん 2022年3月27日(土)

「オルタナティブスクール入る前と後」

さる3月27日、西宮サドベリースクール(以下、西宮サドベリー)で半期ごとに行われるスクール総会に参加させていただきました。
総会が終わったあと、西宮サドベリースクールのOBであり、現在西宮サドベリーのスタッフを勤められているかなこさんにお話を伺いました。

かなこさんは14歳から20歳の誕生日直前までの約6年間、西宮サドベリーに生徒として通われていたスクールOB。在籍していた当時は子供の数が少なく、10人程度だったとのこと。(現在は約20人)
スクールを出てからは、フリーターをしながらやりたいことを目指していた期間があり、その後西宮サドベリーのサポーターとしての活動を経て、スクールのスタッフに立候補され、現在スタッフとして3年目を迎えられています。

※サドベリースクールではスタッフは子供たちの選挙によって選出されます。
選挙は毎年行われるため、かなこさんは4月から3期目となります。

かなこさんが入学前と通学中に感じていたこと。スタッフとして西宮サドベリーにどんな思いで携わっているかなど、生徒とスタッフの両方を体験されているかなこさんのことをお伝えすることで、西宮サドベリースクールに関心のある方が、スクールの中の様子を身近に感じ、検討を進めていただくための一助になればと思います。

<インタビュー>

(藤本)西宮サドベリーへの入学のきっかけはどんなことでしたか?

(かなこ)中二の時に学校には通わなくなり、西宮サドベリーを知り、自分に合ってると思い入学しました。

(藤本)入学前に、不安なことはありましたか?

(かなこ)特になかったです。
事前に説明を聞き、体験入学もして、「やることは自分で決めれるけれど、全て自己責任」ということを理解していたので。

(藤本)入ってから戸惑ったことやギャップを感じたことはありましたか?

(かなこ)特になかったです。入学前に思っていたとおりだったので。
平日の朝遅い時間に通学してるときとか、人の目が気になることがないこともなかったのですが平気でした。

(藤本)西宮サドベリーに通っていて、大変だなと思ったことはありますか?

(かなこ)「自己責任」の意味の大きさについて、体感したことです。

(藤本)どんなときにそう感じましたか?何か印象に残っているエピソードなどはありますか?

(かなこ)過去にハロウィンパーティーをするプロジェクトに参加したことがあるんですが、その時そのプロジェクトの会計として参加していたんです。
学校から貰った予算を管理して、幾ら使ったか記入して、レシートや領収書もノートにまとめてとしていた時に自分の役割に対する「自己の責任」を感じたのは印象に残っています。

(藤本)通っている間はどんなふうに過ごしていましたか?

(かなこ)もともと好きだった絵をずっと描いていました。
その後、小説も書き始めたので創作をしていた、という感じです。

(藤本)それはどれくらい描いていましたか?朝から晩まで、一年中ずっとですか?

(かなこ)多分ずっと描いてましたね。学校に行くと他の生徒やスタッフと話すのが好きだったので話をしたりもありましたけど

(藤本)今、スクールのスタッフを職業にされているわけなのですが、通学期間中の創作活動は今の自分にどう影響していますか?

(かなこ)知識は豊富になりました。あとは絵を描いてる生徒と創作話をしたり、話の幅は大きくなったなとは感じます。

(藤本)かなこさんが感じる西宮サドベリーの良い点と悪い点について教えてください。

(かなこ)良いところは、自由で、自分で責任を持って何でもできるところ。自分で考える必要があるところ、といったことです。
悪いところというか、生徒にとってハードルになるところですが、自分から求めないと何も得られないところです。

(藤本)どうしてスクールのスタッフになろうと思ったのですか?もともと子供の教育に興味があったのですか?

(かなこ)最初はサポーターとして手伝って欲しいと言われたのがスクールに携わるきっかけです。
もともと子どもの教育に特に興味があるわけではなかったのですが、サドベリースクールと出会って自分が「こういう場所が良い」と思っている所に関わりたいと思ってスタッフに立候補しました。

(藤本)スタッフとして心がけていることや目指していることはありますか?

(かなこ)サドベリーのスタッフは(教える人ではなく)「子供たちの学びを助ける人」なので、学びの環境を充実させることを心がけています。
学びのための備品を充実させるといったことの他、個人的には自分が詳しいことを増やすことを目標にしています。

サドベリースクールではスタッフも生徒の選挙で決まるため、スタッフであり続けるためには子供たちに「この大人は自分たちにとって有益だ」と思ってもらう必要があります。なので、自分が詳しいことを増やして、子供たちから聞かれたり相談されたときに少しでも多く答えられるようになってスタッフとしての存在意義を高めていきたいと思っています。

また、普段の活動では、子供たちから聞かれない限り声はかけないようにしています。自分も興味があることをしていれば「それってどんなの?」と聞くことはありますが、こちらからアドバイスしたりして邪魔をしないようにしています。

(藤本)今、西宮サドベリースクールへの入学を検討している人に声をかけるとすると、どんな言葉をかけますか?

(かなこ)声はかけないですね。説明を聞いてもらって、自分で判断してもらうことが一番よいと思うので。
ただ、西宮サドベリーは日本のサドベリースクールの中で一番サドベリーらしいと思っています。

サドベリーのを名前がついたスクールはいくつもありますが、サドベリースクールには定義やメソッドがあるわけではないので、中には本来のサドベリースクールの理念や運営方針から外れているところもあるのですが、西宮サドベリーは本来の理念に添っていて、それも高いレベルで実現できていると思います。

(藤本)入学時のお話や、現在の仕事に対するスタンスなどから、「自己責任で行動している」、「自分の判断に腹をくくっている」、「自分のことは自分で何とかしていくという覚悟と自信を持っている」という印象を受けました。それはかなこさんのもともとの性格なのでしょうか?もしくは西宮サドベリーでの経験からそうなったのでしょうか?
また、もしも西宮サドベリーでの経験からそうなったとすると、入学すると誰でもそうなるものなのでしょうか?

(かなこ)入学してからだと思います。私は公立校からの転校と言う形でサドベリーに入りましたが公立では自己責任という重さは特になかったので、あくまで決められたことを淡々とこなして何かあっても自分の責任と言うよりは学校の責任とか親の責任と言う流れになる場所に元々いたのでその段階ではその覚悟と自信は私にはありませんでした。

自己責任とか自分の頭で考えると言う感覚がそもそもなかったと思います。ただやっぱりサドベリーはそういう場所ではないので、私自身が見学をして入学を決める間に変わったと思います。

インタビューは以上です。
本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。

かなこさん、ご協力いただきありがとうございました!

<インタビューを終えて>

かなこさんのお話を伺いながら感じていたことが、「迷いがない」「腹がすわっている」ということでした。
サドベリースクールという、まだまだ一般的にはなじみが薄く、大胆な学びの場に身を置くことや、生徒の選挙結果によっては職を失うかもしれないという不安定な立場に就くことに迷いや葛藤、決断があったのでは?と思って質問をしたのですが、拍子抜けするほど自然体で気負いのない答えでした。
そして「この自然体な感じがサドベリースクールで学んだ人の特徴なのでは?」と思うようになりました。

また、オルタナティブスクールへを選ぶことは迷いや葛藤を伴うのでは?という思いが私の中にあったのですが、それも外から見ている大人の先入観だったなと感じたのでした。通うのは本人なので、本人が納得していればそれで良いんだなと。

これからも沢山のOBの方のお話を伺い、サドベリースクールのことを広めていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?