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もはや・・・幻になりつつある、桜色の木


この桜色は この木が元々持っている色
この木は 桜色の花が咲く やまぼうしの木

表の皮の風情もそのまま楽しんで頂きたくて、中の桜色の風情とは
程遠い、この味わいのある表皮を工夫と根気で残し仕立てています。

今更ですが・・・
木の作品を作る時、表の皮、つまり幹の一番外側の皮を取り外すのと
残すのと、どちらの方が手間暇を必要とするか、それをご存じでしょうか?

答えは、表皮を残す方。

表皮を取り外すのは案外簡単。これを残し、そのまま問題なく
楽しめるように、作品の素材として活用をする、これは案外至難の技なのです。

表皮と言っても、木の種類により、また私の手元へ辿りつくまでの経緯により
その状態は様々ですから、何もかも全ての木の表皮を残せるというものでも
ありません。

趣があるもの、残した方が、きっとその風情をお楽しみ頂けるもの
そういうものはなるべく、残して活用をしたい・・・
自然素材、そもそも唯一無二のもの、その存在を尊重したいのです。

さて、この巻頭の写真のもの、その全体はこちら↓

表皮を楽しむ


表皮ではなく 桜色を楽しむ

表と裏
くるりと移動させれば 木のどちらからの風情もおたのしみ頂けます。

桜色のやまぼうし。
富士山の木。

初めて見た時から忘れられない色。
だって、桜色。
本当に、ピンク。

木の皮、この写真のゴツゴツとした表皮のすぐ内側が、桜色なのです。

今となっては、もう幻。ただ一度の縁。その後、縁のあった、やまぼうしに
桜色はありません。
桜色の花が咲く、やまぼうしの木、それだけが中の木の色も桜色なのです。

身近な野の花をそっと一輪拝借、そっと一輪挿しへ。
ほんのわずかなちいさな植物がもたらしてくれる、その存在からの癒しは
案外少なくは無いと、そう思われるのです。

植物が、自然が、好きです。