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■必死に生きる【第五話】

■喘息持ちの方、もしくは喘息を患っているお子さんのご両親の方へお伝えしたいメッセージ

 小学校4年の冬、一年以上お休みしていた私は学校に登校した。その日は、どんよりと曇った、今にも雨が降りそうな悪天候だった。一階にあった3年生の時の教室から、いきなり校舎最上階の4年生の教室に移動していた。久しぶりの登校で最初の授業は国語の授業だった。しかし、私にはこれ以上のことはほとんど記憶がない。何故なら、次の日から喘息の発作とガンの後遺症で体調が良くない日が長く続いた為である。また以前と同じように、学校を休む日々が続いた。ガンになり、手術成功のお陰で、大切な命と右足を取りとめたが、手術で腹部に大きくメスを入れた後遺症は、小学生の私にはかなり大きなダメージとなっていた。手術をしたその年の冬は、腹部の傷口がズキズキ傷んだ。しかし、傷みを感じることが出来るということは、右足があるからであり、命があるからである。私は、小学生ながら、生きている実感を噛み締めた。そして、家での自宅療養中は部屋の窓から見えた、庭にある植栽の葉っぱが落葉していく様子を見ながら、亡くなっていく人の存在を感じ、自分自身の命がつながった理由を考えていた。 第6話に続く

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