フミコフミオさんと『BLOGOS』と『はてな』の話

拝啓、BLOGOS様(Everything you've ever Dreamed)

ああ、フミコフミオさんも、『BLOGOS』の洗礼を……などと思いつつも、個人的にはちょっともったいないな、という気がしてはいるんですよね。

BLOGOSって、けっこう政治家とか言論人、ジャーナリストの寄稿者が多いじゃないですか。だからこそ、ポジショントークみたいなのとか、ちょっと堅苦しい話が多くなる。政治家さんのエントリとか、ド派手なタイトルで、寸止めの内容、みたいなのがけっこう多いですし。長谷川豊さん、ベッキーのLINEの出所の話はどうなったんだ……

まあ、それはさておき、フミコフミオさんの場合は、ある意味、『はてな』では浸透し尽くした感もあるので、新たに読者を開拓しようとするのであれば、BLOGOSというのは、「ソリが合わなさそうな空間」なだけに、かえって可能性があるんじゃないか、と僕は思うんですよね。

ほら、有名な逸話があるじゃないですか。

ある未開の地に2人の靴のセールスマンがやってきた。
原住民がみんな裸足であるのをみて、1人は、「誰も靴なんか履いてない。こんなところで靴が売れるわけがない」と嘆いたのに対して、もう1人は、「おお、まだ靴を履いていない人が、こんなにたくさんいる!ここは宝の山だ!」と驚喜した。

政治的な色彩が強くみえるBLOGOSだからこそ、かえって、フミコさんのテキストで気晴らしができる人も多いはず。

僕もけっこう長くBLOGOSにはお世話になっているのですが、あのコメント欄には何度もムカついていますし、Twitterで愚痴っていたら、担当の方が気を遣ってくれて、閉鎖してくれたこともあります。

少なくとも、僕に関しては、BLOGOSの担当の方はいつも良くしてくれているし、泡沫ブログを見つけてくれて、応援してくれてありがたい、と思っているんですよ。

僕はそんなに儲からなくても、たくさんの人に書いたものを読んでもらえるほうが嬉しいので、BLOGOSに載ると、『はてな』だけでは届かないところに伝わっているような気がするし。

現実的な話をすると、検索順位とかでは、BLOGOSに転載されたもののほうが、大本のブログよりも上に来ていて、「うーむ」とか思うことも無きにしもあらず、なのですが、まあ、どっちで読まれても同じかな、と。

個人的には、誤字脱字がある状態で転載されて、そのままになっているのをみるのが心苦しいくらいです。

いやでもほんと、あのコメント欄って、けっこう「きっつー」ですよ。

「fujiponは書いてあることを何でも信じる。鳩山由紀夫と同じだ」とか「オウムと一緒(これは別件だったかな)」的なコメントも珍しくない。もちろん、お願いすればコメント欄も閉鎖してはくれるのです。ただ、『はてな』もそうなんですが、火事と喧嘩は江戸の華。あれを楽しみにしている人もいるのだろうし、そこが入り口になって、僕が書いたものを読んでくれた人のなかにも、ごくわずかでも、好きになってくれる人がいるんじゃないかな、と。

だから逆に、僕はイケダハヤトさんのことを叩いて「バズった!」とか言って喜んでいるブロガーをみて、「なんだかなあ」と思っているのです。ああいうのは、拡散すればするほど、一定の割合で影響を受ける人がいるのだから。だいたい、信仰や恋愛なんて、止めろと言われればかえって燃え上がるものですよ。世の中には「邪悪な連中にとっては真理が広まったら困るから弾圧されているんだ」とか、大真面目に解釈しちゃう人っているのです。ほんとうに。

そもそも、『はてな』のブックマークコメントだって、制限字数がもっと長かったら、BLOGOSのコメント欄と、そんなに変わんないんじゃないかな。

それに、BLOGOSにも、この人おもしろいな、っていうコメントを書いてくれる人もけっこういます。いや、けっこう、はいないか。

ただし、僕は原則的にBLOGOSもはてなブックマークもコメントは読みません。というか、読んでいない、ということにしています。

純粋に「営業上の戦略と自分自身の精神の安定」ということを考えれば「自由に書いてもらって、自分は読まない」のがいちばん良いです。これはまちがいない。ブックマークコメントにどんなひどいことを書かれても、そのエントリを書いた人以上に気にする人なんていないですよ。だから、日頃の行いがよっぽど悪くなければ、見ないのがいちばんいい。

あれ、何書こうかと思っていたんだっけ。

あんまり読まれない場所なんであえて書きますが、最近のフミコさん、イケダハヤトさんとかPVとかBLOGOSとかの話が多いですよね。僕基準でいうと、ブログの話ばかりしているブロガー(僕の嫌いな言葉だ!)って、ネタが尽きたか多忙かプライベートになんらかのトラブルが発生しているか、なんですよ。

それが、フミコさんにあてはまるとはかぎらないのだけれど、率直に言うと「イケダハヤトさんのことなんか、放っておけばいいのに」と。

イケダハヤトネタじゃ、天井が見えてますぜ。

あと、『はてな』と『BLOGOS』でウケるのって、けっこう違うのです。

というか、『BLOGOS』って、「戦争」とか「嫌韓」「貧困」の話がウケやすい(炎上しやすい、とも言う)。


『ネットの炎上力』(蜷川真夫著・文春新書)という本のなかで、こんなエピソードが紹介されています。

(「ヤフートピックス」について)

 トピックス編集チームは約20人で編成されているという。3交代シフトで24時間カバーしている。大阪支社にも2人配置し、いざという場合に東京を補完できる態勢だという。ほとんどが新聞記者、放送記者の出身で、30代が中心となっている。J-CASTでも同じ問題を抱えているが、編集者としてはもう少し経験を積んだほうが好ましい。新聞社でいうと、デスクの経験者だ。しかし、年代が40代以上となると、よほどの人でない限り、ネットに弱く、過去の経験に引きずられてしまい、ネットならではの編集に向かない。
 トピックスチームの責任者は読売新聞の大阪経済部記者出身の奥村倫弘氏である。40歳。新聞社でいうとデスク直前の年代である。1998年に転職しており、ヤフーの中ではベテランである。98年といえば、ヤフーの草創期で、トピックスが誕生したのが98年7月。まだ、海のものとも山のものとも分からない時代の転職決断だったと思う。私が新聞社を退職したのも同じころで、ネットの将来は期待できたが、いつ、ネットメディアがブレークするかは分からない時代だった。奥村氏に先見の明があったというより、転職決断の勇気が素晴らしかったと言ったほうがよいだろう。
 奥村氏が2009年7月に日本記者クラブで「ネット・ニュース、報道機関の社会的責任とモラル」と題するレクチャーをおこなった。集まった記者が聞きたいことの一つが、トピックスにどんな選択基準があるのかである。文章化されているような基準は無いようだった。新聞社にも、ニュースを掲載する基準が細かく文章化されているわけではないから、当然と言える。
「ニュースの価値判断が出来る人間がニュース選定に当たるべきだ」との考えて記者経験者を採用しているということが、「ヤフートピックス」の記事選択基準を示している。新聞、放送のニュース価値判断に近いということである。しかし、現場には、読まれる記事を選ぶか、読ませる記事を選ぶかの葛藤があるという。アクセス数が大きければ、広告売り上げにつながる。会社のためになる。「会社のために、読まれれば読まれるほどお金になるのだから、読まれる記事を選んで何が悪いのだ」という誘惑が怖いという。
 ヤフーで読まれている記事のジャンル別シェアを見ると、誘惑がよく分かる。
 2009年5月の統計では、エンターテインメントが31%、国内ニュースが17%、スポーツが16%。この三つのジャンルで60%を占める。奥村氏は「海外ニュースは7%」だと嘆いた。海外ニュースがいかに読まれないかとの例で、「ヤフーニュースでは、コソボは独立しなかった」と社内では言っているのだという。コソボの独立は2008年の2月。独立の日、一番読まれた記事はお笑いのR-1ぐらんぷりで「なだぎ武が2連覇」だった。コソボ独立記事のアクセス数はR-1ぐらんぷり記事の50分の1だった。
 こういう奥村氏の話を聞いて、ある質問者は「奥村さんはヤフーニュースに絶望して、また、新聞に戻るのではないか」と皮肉な感想を述べた。
 編集の現場には、悩みや葛藤もあることが分かるが、「ヤフートピックス」はヤフーのニュース感覚、編集感覚の真髄といってよい。新聞的バランス感覚もあるが、一方で、新聞とは違った編集にしたいという意思もうかがえる。

 実際のところ、『はてな』も『BLOGOS』も、いろんなジレンマを抱えつつ、運営されているんじゃないかと思うんですよ。

 出版社がベストセラーの利益で、あまり売れない専門書とかを出すのと、原理としては同じだよね。

 ベッキーや清原よりも、TPPのほうが、よっぽど個人個人の生活に直接の影響を与えるはずなのに。長谷川豊さんの育児法なんて、「世の中には、ああいう人もいる」というくらいのことなのに。

 まあでも、ネタっていうのは「適度にどうでもいいものほど、話題にしやすい」のだよね。だから、「なんであんなどうでもいいことがブックマークを集めているんだ!」っていうのは、考え違いってものなんですよ。

 ああいうのがブックマークを集めて、PVを稼いでくれているので、僕のような泡沫ブロガーが無料で(『はてなPro』だけど!)書ける。ありがたやありがたや。

 ああ、フミコさんもったいないなあ、という話をちょっとだけ書こうと思ったのに、またこんな長々とほとんど読まれない文章を綴ってしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?