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漫才論| ⁶⁰「内輪ウケ」ってダメなの❓

「内輪ウケ」というのは,外から見るとまったくおもしろくなかったり,まったく意味が分からないことさえありますが,「内輪」ではものすごくウケます。中にいる人にとっては,「M-1王者の漫才なんかよりもずっとおもしろい」と感じたりします

外から見ると「くだらない」と思えることでも異常にウケることがある「内輪ウケ」をバカにする人もいますが,内輪ウケ自体はまったく悪いものでありません。ただ,「取扱注意」の代物であることは間違いないと思います

ファンが「内輪ウケ」を好むのは当然のこと

ファンはその芸人のことをよく知っていますし,「もっと知りたい」と思っていますし,ファン以外の人には興味がないような話も「聞きたい」と思っています。外から見ると「くだらない」と思えることでも,ファンにとっては貴重な話ですし,「楽しい」「おもしろい」と感じます。だから笑います

これ自体は何も悪いことではありません。ごくごく自然な反応です。「下手な漫才より仲のいいグループ内での『内輪ウケ』のほうが断然おもしろい」と感じるのと同じです。ファンが「内輪ウケ」を好むのは当然のことです

内輪の「サイズ」を把握する

芸人側について言えば,たとえ爆笑をとっていたとしても,それがどのサイズの「内輪ウケ」なのかを把握している必要があると思います。これを把握できていないと,勘違いしたり,痛い目を見たりします

「笑い」というは,ただサイズが違うだけで,すべて内輪ウケなのかもしれません。仮に,日本国民全員を爆笑させるような「笑い」があったとしても,それが世界ではまったく通用しないなら,「日本」というサイズの内輪ウケに過ぎません

しかも実際には,「日本国民全員を爆笑させるような笑い」などおそらくなく,「漫才好き」「M-1好き」という内輪の大半の人を満足させる漫才ができれば十分すぎるほどの出来で,ほとんどの漫才はそれよりももっともっと小さいサイズの「内輪ウケ」です

どのサイズの「内輪」で勝負するか

あとは,自分たちがどのサイズの「内輪」で勝負するのかという話になります。「あえて小さいサイズで勝負する」という方法ももちろんあると思いますが,小さいサイズの内輪で爆笑を取っているだけで満足しているうちは,M-1では大抵上には行けません

どのサイズで勝負するのかによってネタの内容も変える必要があるので,今自分たちは「どのサイズの内輪でウケているのか」,そして,「どのサイズを目指しているのか」を把握するのはとても重要なことだと思います

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