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漫才論| ¹⁴⁴アンタッチャブルのような漫才をするにはどうすればいいの❓

以前,アンタッチャブルは二人とも「相方を笑わせたい」と思っているのではないかという記事を書きました

「相方を笑わせたい」と思っているのかどうかを本人に確かめる機会はなかなかないのではないかと思っていましたが,柴田さんがテレビでこんな貴重な発言をされていました

「俺は,単純に山崎のファンだから。やっぱり笑わしててほしいですもんね」
「山崎も,お客さん笑うより『俺を笑わせたい』っていう気持ちでやってると思いますから漫才」

柴田さんは「相方を笑わせたい」というより,「相方に笑わせてほしい」と思っていたんですね。そして,自分は「山崎さんのファンだ」という発言もかなり貴重です

安易に真似しないほうがいい

アンタッチャブルのスタイルは特殊です。台本は「箇条書きのメモ」のようなかんじで,話の筋といくつかのボケだけが決まっていて,あとはアドリブでやるというかんじです。そして,山崎さんはアドリブで柴田さんを笑わせにかかり,柴田さんは笑いながらもそのすべてにアドリブでツッコみ,結果山崎さんも笑う

これは,二人ともセンスがあり,二人とも"天才的"な場合にのみ成立する漫才スタイルなので,安易に真似しないほうがいいと思います。もちろん,練習で試しにやってみるのはいいことだと思いますが,このスタイルでコンスタントにおもしろい漫才をやるのはかなり難易度が高いです

どうしてもこのスタイルでやりたい場合

「どうがんばってもこのスタイルでやるのは無理」というパターンもあるので,まずは,がんばればできるのか,絶対に無理なのかを見極める必要があります。二人とも同じくらいの"アドリブりょく"がないとうまくいきません。相方のほうがアドリブりょくがない場合,無理強むりじいしてこれをやろうとすると,相方との関係が微妙になる可能性があるので注意が必要です

二人とも同じくらいのアドリブりょくがあるのであれば,「話の筋と毎回言うボケ」さえ強いものにできれば成立するのではないかと思います。「話の筋と毎回言うボケ」というのは,アドリブではなく前もって準備しておく台本のようなものです。これがありきたりのものだと,どれだけアドリブに自信があってもうまくいかない可能性が高いです

このスタイルの最大のメリット

アンタッチャブルは本当に楽しそうに漫才をします。あれは演技ではなく,本当に楽しんでいるのだと思います

二人とも確かな「腕」があれば,二人でものすごく楽しんで漫才をしながらも,決してグダグダになったりしません。その「楽しさ」はお客さんにも伝わり,お客さんも楽しい気分になります。これがこのスタイルの最大のメリットです

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THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】