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[漫才台本の書き方]ボケやツッコミって,どのようにして思いつくものなの?

「しゃべくり漫才台本(ネタ)の書き方」を読んでくださった方から,「漫才台本の書き方は分かっても,ボケやツッコミがどのように閃くものなのかが分からないので教えてほしい」というコメントをいただきました。新型コロナウイルスの影響で自粛していて時間があるので,ネタを作りたいそうです。そこで今回は,ボケとツッコミはどのようにして思いつくものなのかを書いてみたいと思います。

「しゃべくり漫才台本の書き方」で使用した台本例を使用して解説します。漫才台本のベースになる会話がこちらです。

A:好きな食べ物ってあります?
B:もちろんあります
A:一番好きな食べ物は?
B:「一番」というのは難しいね。寿司とか,焼肉とか,ラーメンとか,いろいろあるじゃないですか
A:強いて言えば?
B:強いて言えば…,焼肉
A:やっぱり肉ですよね

まず,なんでもいいのでこういう「普通の会話」を書き出してみてください。そして,どこにボケを入れられそうかを考えてみます

最初のボケをどのように思いつくのかは,コツというよりそれぞれのセンスが出る部分でもありますが,数をこなせばこなすほど思いつくようになると思います。

コツがあるとすれば,自分でも「くだらない」と思うボケでも,まず思いついたものを書いてみることです。書き出してみると,そこからどんどんボケが広がり,おもしろいボケに辿り着くことも結構あります。頭の中で「くだらない」と決めつけないで,書き出してみてください。本当に「くだらない」ボケでもとにかく書いてみると,そこから何かがみつかることがあります。

例えば,「一番好きな食べ物は?」のあとにボケるとしたら,どんなボケが思いつきますか?思いついたボケをいくつでも書き出してみてください。

A:一番好きな食べ物は?
B:「一番」はないね。「二番」ならあるけど

わたしはこういうボケを書いてみました。どんなボケでもいいので書いてみると,大抵ツッコミも思いつきます。いいツッコミではなくてもいいので,とにかく自分が思いついたツッコミを書き出してみます

B:「一番」はないね。「二番」ならあるけど
A:どいう状況なんだよそれ。「一番がない」って

例えばこういうツッコミを書いたとします。すると,「一番がない状況ってどういうことだろう?」と,自ら書いたツッコミに対する疑問が湧いてくるので,その答えを考えてみます。

A:どいう状況なんだよそれ。「一番がない」って
B:「同率二位」とかあるだろ。両方とも「二位」みたいな

ツッコミにある意味「まじめ」に答えようとすると,元々おかしなことを言ってることに対する説明を加える形になるので,結果的に新たなボケが生まれます。そしてさらにツッコミます。

B:「同率二位」とかあるだろ。両方とも「二位」みたいな
A:「一位」あるだろ,だとしたら。「一位」あっての「同率二位」だよ。もしくは「同率一位」かもしれないけど

ツッコミのAはまともなことを言っていますが,元々おかしなことを言ってるBの感覚で,Aのツッコミにある意味「まじめ」に答えてみてください。

A:「一位」あるだろ,だとしたら。「一位」あっての「同率二位」だよ。もしくは「同率一位」かもしれないけど
B:数学の話?

ボケの人は,最初のボケに沿って「まじめ」に受け答えをしていくと,結果的に連続でボケる形になります。このやり取りを繰り返し,話題が途切れるまで書いてみるといいと思います。

今回は例なので,ここはそれほど引っ張らず普通のツッコミを入れて,先に進みます。

B:数学の話?
A:違うわ。「一位がない」ってことはあり得ないんだよ
B:「一番」って決められないでしょ。寿司とか,焼肉とか,ラーメンとか,いろいろありますからね
A:それはそうだよ。でも,強いて言えばだよ

この部分は「普通の会話」です。話が展開する上で必要であれば,無理してボケを入れなくてもいい箇所もあります。ただ,「普通の会話」が長くなりすぎると漫才としてみるのがきつくなるので,これくらい「普通の会話」が続いたら,そろそろボケを入れたいところです。これに続くボケを考えてみてください。

A:それはそうだよ。でも,強いて言えばだよ
B:強いて言えば…,煮豆かな

一番好きな食べ物に一度も選ばれたことがなさそうな「煮豆」をボケとして入れてみました。これに対するツッコミを書きます。

B:強いて言えば…,煮豆かな
A:「煮豆」ってなんだよ

このボケに対するツッコミはいろいろ思いつくと思いますが,次の定番のボケ方につなげるために,今回はこのツッコミにしてみました。

A:「煮豆」ってなんだよ
B:煮豆とは,「大豆や小豆やえんどう豆などの乾燥豆を水でもどし甘い味付けでやわらかく煮た煮物料理のひとつ」だろ

言葉の意味を聞いているわけではないのに言葉の意味を説明するというよくあるボケです。そしてこれにツッコミます。

B:煮豆とは,「大豆や小豆やえんどう豆などの乾燥豆を水でもどし甘い味付けでやわらかく煮た煮物料理のひとつ」だろ
A:分かってるわ。ウィキペディアか!

このように,「普通の会話」がだいぶ漫才っぽくなりました。

A:好きな食べ物ってあります?
B:もちろんありますよ
A:一番好きな食べ物は?
B:「一番」はないね。「二番」ならあるけど
A:どいう状況なんだよそれ。「一番がない」って
B:「同率二位」とかあるだろ。両方とも「二位」みたいな
A:「一位」あるだろ,だとしたら。「一位」あっての「同率二位」だよ。もしくは「同率一位」かもしれないけど
B:数学の話?
A:違うわ。「一位がない」ってことはあり得ないんだよ
B:「一番」って決められないでしょ。寿司とか,焼肉とか,ラーメンとか,いろいろありますからね
A:それはそうだよ。でも,強いて言えばだよ
B:強いて言えば…,煮豆かな
A:「煮豆」ってなんだよ
B:煮豆とは,「大豆や小豆やえんどう豆などの乾燥豆を水でもどし甘い味付けでやわらかく煮た煮物料理のひとつ」だろ
A:分かってるわ。ウィキペディアか!

これは,「普通の会話」からまず一つのボケを考え出し,そこから生じる流れに沿ってツッコミとボケをどんどん加えていくというやり方です。この方法でたくさん書けば書くほど,コツが分かってくると思います。ポイントは,「書き出すこと」と「数をこなすこと」です。良かったら試してみてください!

ここからさらに漫才らしくする「相槌の入れ方」や,4種類の「オチのつけ方」については,「しゃべくり漫才台本の書き方」をご覧ください。

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