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漫才論| ¹⁴¹自然体で漫才をする方法③ 「"漫才師っぽい"話し方をしない」

「しゃべりも掛け合いもかなりうまくなってきているのに『何かが違う』という違和感がある場合は,自分が自然体かどうかを検証したほうがいい」という点についてはこの記事で書きました

今回は,①②の記事で取り上げた点とは別の理由で「自然体な漫才ができない」ケースについて,つまり,「普段は自然体なのに,漫才となると自然体ではなくなってしまう」ケースについてです


「普段の話し方」がベースに
なっているのがうまい漫才

本当に漫才がうまい漫才師はみんな自然体です。比べてみると分かりますが,「普段の話し方」と「漫才での話し方」の違いがそれほどありません。もちろん,声を張るとか,多少漫才口調になるということはありますが,「普段の話し方」がベースになっています

この点を理解せず,うまい漫才師の真似をして"漫才師っぽく"話そうとすると,「コント師が演じる漫才師」のようになってしまいます。実際,コントが得意なコンビが漫才をする場合,不自然になってしまうことがありますが,それは「漫才師を演じている」からです。漫才師を演じているかぎり,いくら技術的にうまくなっても「自然体の漫才」はできません。自分の普段の話し方をベースにしないと,「自然体の漫才」はできません

漫才師らしく話せない原因

「普段の話し方でやってしまうと全然漫才っぽくならない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが,それはまた別の問題だと思います。例えば,「声が小さい」とか,「しゃべりが下手」とか,「発声の仕方に問題がある」などです。これらは,「しゃべり方」そのものを訓練して根本的に解決すべき問題であって,「"漫才師っぽく"話す」ことによってなんとかしようとしても,大抵うまくいきません。「漫才師を演じている感」が出てしまうからです

うまい漫才師の真似をするのであれば,「話し方」よりも「相槌」を真似したほうがいいと思います。漫才には独特の「相槌」があるので,それを真似して自分の話し方でやってみると,より「漫才らしく」なります

「普段は自然体なのに,漫才となると自然体ではなくなってしまう」別の原因についてはまた書きたいと思います(④につづく)

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みんなで作る漫才の教科書とは,テーマ別に分類した「漫才論」にみなさんから「質問」「意見」「反論」などをいただいて,それに答えるという形式で教科書を作っていこうというプロジェクトです

THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

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あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】