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漫才論| ¹³²「夢路いとし・喜味こいし」の"後継者"を目指す漫才師に必要なこととは❓

2003年に解散した漫才師であるにもかかわらず,いまだに多くの漫才師に影響を与え続けている「夢路いとし・喜味こいし」

「いとこいさんのような漫才がしたい」と思っている漫才師は,年齢を問わず大勢います。「後継者になるのでは?」と言われるコンビもいて,中川家,和牛,ミキなどの名前が挙がることもあります

そこで今回は,いとこい漫才の"後継者"になるために最低限必要なことを挙げてみたいと思います

テンポのいい掛け合い

いとこいさんの漫才のイメージといえば,「ゆっくり」「ゆったり」というかんじかもしれませんが,テンポはものすごく速いです。片方が話し終わるか終わらないかくらいでもう片方が話し始めたり相槌を入れたりするというやり取りを,(をとるところ以外)絶え間なく続けています

いとこい漫才を目指すのであれば,「凄まじいテンポの掛け合いでありながらゆったりと話し,まるで普通の会話をしているようにみせる」という話芸を身につける必要があります

品のよさ

「品」というのは,「人柄のよさ」からくるものだと思います。「もしいとこい先生が誰かとめていたら,文句なく相手が悪い」と言われるほど,お二人は人柄がよかったようです

「人柄」は,顔の表情にも,話し方にも,ネタにも,そのすべてに反映されます。性格が悪いと,それも全部漫才に出てしまいますし,そういうネタはみていてあまり気持ちのよいものではありません。いとこいさんの漫才はその逆で,本当に心地よくて癒されます。ほのぼのします。これもおそらく「人柄」からくるものだと思います。ですから,いとこい漫才の"後継者"を目指すのであれば,人格も磨く必要があります

漫才を楽しむ

特にこいしさんの表情を見るとよく分かりますが,何回もやっているネタでもいつも楽しそうに漫才をしています。いとこい漫才の"後継者"になるためには,この楽しそうな雰囲気も欠かせないと思います

これは,「楽しそうな雰囲気を作る」ということではなく,「心から漫才を楽しむ」ということです。これには,漫才がどれくらい好きか,相方のボケやツッコミや反応がどれくらい好きかが関係していると思います。いとしさんはかなりアドリブを入れていたようですが,こいしさんはそれを心から楽しんでいるように見えます

いとこいさんの場合は実の兄弟ですから,お互い言いたいことは言えて,喧嘩もできるという関係だったようですが,楽しく漫才をするためには相方とのこのような関係も大切です

センスのいいネタと綺麗なオチ

いとこい漫才の中には,少し手直しすれば今やっても十分通用するネタが結構あります。ちゃんとストーリーがあって,センスもよく,オチが綺麗なネタだからです

いとしさんは自分でもネタを書いていましたが,ネタの多くは作家が書いていました。こういうネタを作るために,私は基本,「普段の二人の会話を漫才にする」ことをおすすめしています。これは単なるフリートークのような漫才ではなく,会話をちゃんとした「作品」に仕上げて,綺麗なオチをつけるということです。この方法で作れば,いとこい漫才に近いネタができると思います(詳しくはこちらの記事をご覧ください)

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❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

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