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漫才論| ⁸⁸M-1予選3回戦のEXITのネタがそれほど叩かれていない理由

M-1予選3回戦のEXITの漫才は,自分たちが売れていることや,自分たちが出ているCMやスポンサーをひたすらネタにしていました。"漫才"としては「邪道」と思われる危険がある挑戦的なネタで,「叩く人も結構いるのかな?」と思いましたが,批判的なコメントはかなり少数という印象です。その理由について書いてみました

M-1の予選に出ていること自体がすごい

ここまで売れていれば,M-1に出るメリットはあまりないような気がします。「人気があるだけでネタはつまらない」などと言われたりするリスクもありますし,漫才以外の仕事で忙しいと,「ネタを仕上げる」という点でも不利な状況にありますから,出ないほうがどう考えても安全です

それでもあえてM-1の予選に出るということ自体が,すごいことだと思います。それだけ「漫才」に対する思いがあるということなのかもしれません

「チャラい」というより「うまい」

EXITといえば,チャラ男キャラを全面に出した漫才をしていましたが,3回戦はもうほとんどチャラくありませんでした。むしろ,うまかったです。しゃべりも掛け合いも

しゃべり方も立ち姿も雰囲気も,結構普通にうまい漫才師になっていました。もしかしたら,「チャラ男ではない普通に近い漫才がやりたくて,今回M-1に出たのではないか」とちょっと思いました。その辺のところ,どうなのでしょうか?

スタイルの変化と安定のオチ

EXITの漫才スタイルは,兼近さんがボケで,りんたろー。さんがツッコミでしたが,今回のネタではボケとツッコミが途中から逆になっていました。この辺にも,「チャラ男キャラ頼みのワンパターンな漫才をやっていればそれでいい」などとは思っていないという気持ちがうかがえます

一方,変わっていないところもあります。それは,綺麗なオチです。オチが弱い漫才増えている中,EXITはこれまでもオチが綺麗な漫才をしてきました。「チャラ男漫才でありながらオチが綺麗」というのはちょっといびつなかんじもありましたが,今回のような正統派漫才に近いネタだとしっくりきます

勝手な未来予想

このように,今回のEXITのネタは,「ただの人気頼み・キャラ頼みで,CMを利用した奇をてらったネタ」というかんじではなく,"漫才師"としての下地がしっかりとしていて,そのうえで,多忙であるにもかかわらず挑戦的なことをしているという二人の姿勢が滲み出ていたので,批判的なコメントが少なかったのではないかと思います

もしこの路線でいくとすれば,「将来のEXITはめちゃくちゃ正統派な漫才をするようになるのではないか」という気さえしてしまいます。超正統派漫才好きの私としては,EXITのそういうネタもいつかみてみたいです

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