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日本は人間だけではなく社会システム全体が高齢化しているんじゃないの

台風15号の影響で千葉で起きた停電が一向に復旧しない。

現地の方の不安と困難はいかばかりかと思いを果たすも、祈ることしかできない身が情けない。

まだ2週間かかるという発表があったけれども、この時代に電気がない生活が通算で3週間も続いたらば、どうして良いかわからない。しかも雨だし。

東京電力も復旧を怠っているわけではなく、工事の手が回らないのが現状だという。その原因が、施設の老朽化らしい。

被害が広がった背景として、想定外の強風に加え、送電設備の老朽化も指摘されている。送電線の鉄塔は70年代に建てられたものが大部分を占める。倒壊し、10万戸の大規模停電につながった千葉県君津市の鉄塔は、72年に完成したものだった。

東電も原発事故の復旧に金がかかり、鉄塔の更新をしている金がないらしい。

これは当然、千葉だけの問題ではなく、昨年は関西で台風の影響からの復旧にやはり2週間かかっている。だったら、今回もそれくらいかかると言えばいいのに、なんで、すぐできそうなことばかり発表するのか。

#COMEMO #NIKKEI

同社の塩川和幸技監は13日夜の記者会見で「経験したことのない規模で倒木や設備損壊が発生した。台風の規模が今まで以上に大きかったことを考慮せず、過小な想定をしてしまった」などと釈明した。

技監というのは技術上のトップなので、その人が経験したことがない規模だというからには相当なものだとは思うが、それにしても「想定内」が狭すぎないだろうか。

最近の報道に思うのは、「想定の範囲を超えていた」と言えば済むのか、という問題だ。あなたたちの想定のレベルが低すぎて、私たちが不利益を被るのは何故なのか。

企業側に、技術者に、経営者に、政治家に、そして結局私たちに想像力が足りないだけなのではないか。そして準備を怠っていることの言い訳にしてるだけではないのか。

専門家は指摘する。

「実際には詳細な状況が把握できていない段階で被害を過小評価し、楽観的な見通しを乱発してしまった」と分析する。福島第1原子力発電所事故後の対応とも共通するとし「早期復旧を望む利用者に応えたいという思いも無意識に働いたのでは」

よく思われたいからね。人間は。「できます」とか言いたいから。

でも、結局、狼少年になってしまう企業のなんと多いことか。

国土交通相に就任した赤羽一嘉氏は、大規模自然災害について「発生のたびに100年に1度の規模だといわれるが、今後は毎年起きると思って対策を進める必要がある」と指摘する。

10年に一度の逸材が毎年出てくるプロ野球のドラフト会議とか、1000年に一度の美少女が毎年のように出てくるアイドルの世界のようなもので、もはや災害は100年に一度の規模だの、観測史上最高だのが頻発している中で、何を「想定」しておくべきなのかが問われるということだろう。

繰り返しになるが、これは当然、千葉だけの話でも、電力だけの話でもない。

インフラの老朽化は電力以外でも深刻だ。建設から50年以上が経過する施設の割合は18年3月時点で73万ある道路橋の25%、1万超のトンネルの20%、5千の港湾岸壁の17%に及ぶ。時間が経過すれば割合はさらに増える。33年には道路橋の6割超、トンネルでも4割が建設から50年を超える。

高度成長期に一気に完成したインフラが、80年代に更新して以来、21世紀になって更新していないものが多いということだろう。

それはまるで、青年期に鍛えた体を、壮年期にジムで少し戻したからといって、何もしていないままに定年を迎えようとしているわが身に似ているかもしれない。

この国は、人口構成だけの問題ではなく、インフラも含めた社会システム全体が高齢化していて、何か思い切らなければならない時代に入っているんじゃないの?


コンクリートから人へ、とか、公共工事の見直しとか言っているうちに、インフラの更新時期が過ぎてしまい、すっかり弱り果てた足腰でこれから戦えるのかどうか。そういうことのような気がする。


サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。