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本屋青旗 川崎さんを訪ねて

■自己紹介

みなさま、こんにちは。

今年の4月から藤原印刷に入社しました田川いちかです。

第一弾、第二弾を見て下さった皆様、記事をSNS等で拡散して下さった皆様、心から感謝いたします。この第三弾は、私が上京する前最後のインタビューでした。

詳しい私の自己紹介は第一弾の記事に書いているので、初めましての方はこちらからご覧頂けると幸いです♫

■九州の素敵な本屋を巡ります

私が福岡にいる間に九州の素敵な本屋の店主の方々に、インタビューさせて頂くプロジェクトがスタートしました。このプロジェクトは、本屋さんに実際に行って、話を伺い、その本屋さんにある藤原印刷が印刷した本を探します。そして私は、将来書店の方々に「藤原印刷が印刷している本だからから仕入れてみようか」と思って頂けるように、どのような基準で本を仕入れているのか、など店主の方々の目線で本をみる力を身に付けたいと考えています。

■第三弾はこのお店のこの方!

私がよく行く本屋青旗 Ao-Hata Bookstoreの店主である川崎さんをインタビューさせて頂きました!

「本屋青旗 Ao-Hata Bookstore」は、2020年10月に福岡市の薬院駅の近くにオープンしました。視覚文化を基軸としたアートブックやZINE、プロダクトを中心に取り扱い、それらに連動した展示も積極的に行っている本屋さんです。

私自身何度も伺ったことがあり、多くの写真家さんや海外の出版社さんとの出会いを下さるだいすきな本屋さんです。

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薬院駅の川沿いを歩いていると青色の壁面をした入口が現れます、、!本屋とは一見わからない外見ですが、壁にはしっかり”本屋 青旗”と書かれています。そして青い入口から入ると2階へ続く階段があります。初めて行ったとき「この階段を上った先にどんな世界が待っているのだろう」とわくわくしたのを覚えています、、!

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2階に上がると丸い窓が!その窓から店内が少し見えるようになっていて、、どきどきしますよね!展示によって、この丸い窓に描かれるデザインが変わるんです!

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店内に入ってすぐ右にアートブックが並べてあります。そして写真集のポスターや展示のTシャツ、トートバッグ、靴下も置いてあるんです、、!これがまたすごく良いんです!!本屋だけど、本だけに留まらず本や出版社に関連したものが購入できるのも魅力です。私は以前MACK社のトートバッグを購入したのですが、お気に入り過ぎて毎日のように使っています!

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壁一面に様々なサイズ・色・国のアートブックが並べてあります。福岡ではこれだけ多くのアートブックを直接みられる場所が少ないので、見慣れない光景です、、!

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店内の真ん中には大きな棚があります。その上にも多くのアートブックが並べてあり、一冊一冊、中をのぞきたくなります。。さらに行くたびに置いてある本が変わっているので、何度来ても滞在時間がついつい長くなってしまいます。。


■川崎さんへのインタビュー

私は、川崎さんには事前に4つ質問を考えていました。

 ・藤原印刷を知っていたか、また藤原印刷の印象を教えて欲しい

 ・本を仕入れた際や仕入れる際に印刷会社まで見るのか

 ・本を仕入れる基準はあるのか

 ・今後、藤原印刷に期待していること

藤原印刷を知っていたか、また藤原印刷の印象を教えて欲しい

 はい。知ってます。日下慶太さんのダンボールで作られた本(隙ある風景)をきっかけに知りました。それを見て、面白いことしてる会社だなと思いました。

 〇本を仕入れた際や仕入れる際に印刷会社まで見るのか

全ての本というわけではありませんが、誰がデザインしているのか、印刷会社はどこなのか、など奥付けまで全て見るときもあります。

 〇本を仕入れる基準はあるのか

あまりないです。。基本的には知っている作家さんや出版社の繋がりがある本などを辿っていきながら一冊一冊セレクトしています。うちは街の真ん中にあって毎回違ういろんなお客さんが出入りするような本屋ではなく、よく来てくれる方が多いです。その中には毎週来てくれる方もいらっしゃるので「これはあのお客さんがもしかしたら喜ぶかもしれない」と思ったり、今までの傾向からこの本はそれなりに売れそうだなと考えて仕入れている本もあります。既に入荷してて全然売れてないけど自分が好きな本だからまた入荷することもあります。なので自分がこうしたいというのも半分あるけど、それより大きい割合でお客さんがどんな本を購入するかによってお店の形は変わっていきます。売りたい本もあるし、売れる本もあるので潰れない程度に選んでます。

 〇今後、藤原印刷に期待していること

難しい印刷や製本を積極的に行っている印刷会社は福岡にあまりないのであったらいいなと思います。福岡でこだわった装丁の本作りたいという話が出たときに皆さんどうしているのかなと思います。なのでぜひ藤原印刷さんが福岡に支店をつくってもらえれば、、、。そして本を作るときは大体本番の印刷に立ち会ったりしますよね。うちで一度作品集を作った際に東京でデザイナーさんにお願いしたので、福岡でもできる場所があれば嬉しいです。


ここからは、私が個人的に気になったことを質問しました!

○本屋青旗をオープンするきっかけ

最初グラフィックデザインに関わる仕事をしてましたが、ぱっとしなくてやめようと思っていました。でも、グラフィックデザインやアートは好きなので、人が作ったもので商売しているという状態です。本屋さんいいかもと思い始めたのはオープンする一年前あたりからです。こういった本はオンラインで国内海外問わず買ったりしていたけど、あまり直接見れる場所が福岡になかった。そして、福岡はギャラリーなどはいくつかあるんですけど、このジャンルは福岡に来ないなというのはぼんやりとあって、今まで自分が見たかった本や展示をみられる場所を作って生活できるんだったらそんなに幸せなことはないなと思いました。でもその時には既に家族がいたので、東京の本屋さんなどに弟子入りすることが難しかったんです。なので最初から自分でやったほうが簡単かもしれないと思い、始めました。なので今でも"やってみてる"という状態が続いてます。

○展示について

あまり今まで福岡で展示をされていない方々に、こちらからオファーさせて頂いています。自分の中でこのジャンルの展示を福岡で見たいなというものがあったので、東京まで行かないと見れなかった展示を福岡でも見れるようにできたらいいなと思います。

○外観・内装

隠れようとして隠れたわけではなく、薬院あたりの立地で条件の良い物件を探したらここになったというだけです。お店始める前にこういう仕事やろうとすると内装や外観は肝だと思っていたので、気を使いました。ロゴはグラフィックデザイナーの田中せりさんにお願いをしたので、とても良いロゴになりました。

○お店の将来

ニッチな本ばかりをを集めているわけではありませんが、"ニッチな本屋さん"という立ち位置になっているので、こういう本が当たり前になるようになれば良いなと思っています。


■藤原印刷で印刷した本をご紹介

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①WATARU UCHIDAさん「COLORFUL

"広開本"という製本です。表紙の背と本体がくっついておらず本を開いた時に背の柔らかい本体が良く開き、表紙から背が離れるため奥までしっかり見えます。黒1色で内田亘さんの世界観が表現されています。

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②eri kawamuraさん 「touch of the urban skin 都市の肌理

"フランス装"という製本です。仕上がり寸法より5cmほど大きい普通の紙で仮製本のようにくるみ、表紙の背以外の3方を内側に折ってあります。写真家 川村恵理さんの写真を80ページフルカラーで楽しめます。

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③土谷未央(cineca)さん「She watches films. She tastes films.

縦300㎜×横230㎜と大きめの本です!スクラム製本という針金やホチキス留めやのりで綴じない製本です。紙がばらけないようにゴムバンド留めがしてありますが、そのゴムがアクセントになっていています。また表紙を直接触ってみると白い箔押しを3度も行っていて、表紙の紙の質感と白箔の違いも楽しめます、、!

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④町田ヒロチカさん「Let's Go Downtown まちがいさがし

”コデックス装”という製本で作られており、表紙のイラストと合わせるようにして糸色も蛍光オレンジというこだわりが製本から感じられる一冊です。そして、まちがいさがしがしやすいように180度開ける製本です。表紙と裏表紙を厚手の紙にすることで、ずっしりとした物質感のある印象がまた良いです。

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⑤piczoさん「nikki

"並製本"という製本で作られています。表紙に「印刷した写真(題せん)」を貼っており、表紙の文字の色やしおりであるスピン、見返しの色をオレンジ色で揃えているのでシンプルかつまとまりのある美しい写真集です。

■ひと休憩

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ここでコーヒーブレイクとして、私が川崎さんに持っていった「REC COFFEEの焼き菓子アソートとピスタチオのプリン」の話をします!本屋青旗から歩いて10分、薬院駅の近くにある「REC COFFEE」は私が普段よく友達と行くカフェです。ここで食べたピスタチオプリンがとても美味しかったので持っていくことにしました。REC COFFEEは最近東京に水道橋店と渋谷東店をオープンしたそうなので気になる方は是非行ってみてください!

■まとめ

福岡の薬院に突如現れた"本屋青旗"は、今まで福岡にはなかった本屋のスタイルを確立し、アートブックやグラフィックデザインに興味がある方の憩いの場であり、今まであまりこういった本に触れてこられなかった方の出会いのきっかけとなる本屋でした。そして、本屋青旗さんにはあっと驚くこだわりの詰まった製本をしている本がたくさんあるので、私も印刷会社の営業として本を作る方に寄り添いその要望に全力で応えていきたいです。

ぜひ"視覚文化"を味わいに本屋青旗さんに行って見てください、、!

そして入社してから1か月半が経ち、印刷や製本について少しずつ学んでいます。なので今回の「藤原印刷で印刷した本をご紹介」では装丁の説明をさせて頂きました!

また東京や関東地方でお気に入りの本屋ができましたら、インタビューしていきますので楽しみにお待ちください!お勧めの本屋さんがありましたら是非教えて下さい♫

最後まで読んでいただきありがとうございます。

【訪問先】

本屋青旗 Ao-Hata Bookstore

〒810-0022 福岡県福岡市中央区薬院3丁目7-15 2F

(田川いちか)

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