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イベントレポート『世界をひろげる 本のつくりかた(展)』

こんにちは。東京営業部の藤原章次です。

2022/2/1~3/6までの約1ヶ月間、SHIBUYA TSUTAYAさんとのコラボ企画「世界をひろげる 本のつくりかた(展)」を開催させて頂きました。今日は改めて振り返り、レポートを書いてみました。どうぞお付き合いくださいませ。

■狙い

国内でも有数の文化を発信する場所であるSHIBUYA TSUTAYAさん。印刷会社のPOP UPは史上初でした。読者にとって本は読むものであり、見るものですが、私たち印刷屋にとって本は製造物=プロダクトです。素材を選ぶまで、色が決まるまでなど至る所にお客様とのドラマが詰まっています。普段は届きにくく、感じにくい「製造工程の裏側」を感じてもらうことをPOP UPの目的としました。

よく「こだわりの本」と形容されますが、それは色なのか、紙なのか、加工なのかとこだわり方は千差万別。よりわかりやすくするため、また何度来ても楽しんでいただけるよう、「紙」「製本・加工」「印刷」と3つのテーマを設け、テーマごとに展示する作品群を変えていきました。

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展示には、書店の中に印刷工場らしさを感じてもらえるようインキを入れる缶を全面に敷き詰め、実際に工場内で撮影された映像を流しました。映像を制作して頂いたharu.さん、素敵な映像を本当にありがとうございました!


■テーマ「紙」

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こんな感じで、日本は世界と比べても紙の種類が豊富な国です。そして、その日本の印刷会社には大量の紙見本があり、私たちには馴染みのものですが、一般の方が見ることはそうは多くはありません。今回は実際に使用している紙の見本帳を展示しました。「これを見ているだけで楽しい」という声もいただきました。


■テーマ「製本・加工」

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テーマ「製本・加工」では、パートナー企業のコスモテックさんに協力いただき、堀之内出版様の『大洪水の前に』という書籍のカバーで使用した箔押し加工の実物を用意してしました。ラインナップとしては以下の3品。

①実際に使用した箔押しの金型(通常版)
②銀や青など箔押し用のフィルム
③上製本(ハードカバー)を解体した各パーツ

箔のフィルムなんて初めて目にする方ばかりで、とても珍しがっていただきました。


■テーマ『印刷』

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藤原印刷の本業である「印刷」では、6種類の実物をご用意。

①実際にオフセット印刷する際に使うアルミ版
②カラー(4色)印刷をCMYKに分解した見本
③インキ(実物)
④インキを練るヘラ
⑤色のターゲット見本のビール缶とそこに合わせたリーフレット
⑥特色の見本帳

インキの塊は印刷会社でも現場の社員しか触れることがありませんので、とても貴重な体験をして頂きました。ぷにぷにした触感がとても面白い!インキを初めて触った!との声を沢山頂きました。



■目録1700冊

多くの方にご来場頂きまして、心から御礼申し上げます。全49種類の本を展示・販売したところ、結果的には200冊以上も期間中に購入していただきました。正直、私の想像を遥かに超えた冊数でした。

さらに嬉しいことは、販売した全49種類の本のうち、48種類とほぼ全アイテムが最低1冊は販売されました。この中には数年前に発行した上映期間が終了した映画のパンフレットもあります。

人が本を買う際に「著者」「内容」が決め手になるのは当然ですが、今回の実績で、「紙」「印刷」「製本」の魅力を伝えることが買う決め手になる可能性があることが分かりました。

その要因を振り返ってみると、SHIBUYA TSUTAYAの担当の方からの言葉が思い浮かびました。「今回200冊以上も本を販売できたのは、間違いなくこの目録のおかげですね。」

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コロナ禍で展示販売期間中に藤原印刷の社員がお店に立って一つ一つの書籍を説明することができない状況でしたので、どうすれば紙・印刷・製本の魅力を感じてもらえるかを考え、目録を制作することを決めました。

内容は、展示・販売する全種類の本の詳細をこれでもか!というぐらいに記載しました。サイズ・ページ数・使用した紙・印刷した色・製本方法・チェックポイントなどなど盛り沢山。

レストランのコースでは、料理が運ばれた際にウェイターの方が説明をしてくださることがあります。素材は何か、どこの産地か、どんな調理法か、何を狙っているのか。この目録はまさにその役割を果たしていて、本という料理を存分に楽しんでいただくための情報が詰まったものです。

約1ヶ月の展示期間で1700冊以上お持ち帰りいただきました。

※この目録は期間終了後の現在もSHIBUYA TSUTAYAさんで在庫が無くなるまで配布して頂いています。


■最後にこの場を借りて感謝を

今回のコラボ企画展に協力して下さった全てのお客様、備品や目録などのデザイン・印刷・準備に協力してくれた社員方々、今回の企画展にご来場して下さった全ての皆様及びお客様の本を購入して下さった皆様に心から感謝致します。

そして、
藤原印刷の本社工場を撮影した映像を提供して下さった haru.さん、
展示方法のアドバイスを頂いたデザイナー 竹山香奈さん
企画展を命名してくれたコピーライター 大津裕基さん

3名の方の力が無ければ、今回の企画展は成立しませんでした。
改めて感謝致します。

これからも印刷会社の立場からお客様の本の魅力を伝え続けて、
1人でも多くの方に届くためのサポートをし続けたいと思います。

今年は日本中で藤原印刷コラボ企画展を実施していきたいと思いますので、楽しみにしていて下さい!



(藤原章次)

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