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MINOU BOOKS 石井さんを訪ねて

■自己紹介

みなさま、こんにちは。

今年の4月から藤原印刷に入社する田川いちかです。

第1回の大井さんへのインタビュー記事を見て下さった皆様、記事をSNS等で拡散して下さった皆様、心から感謝致します。私が思っていた以上に反響が大きく、とても驚きました..! 皆様からのコメントなど全て見させていただき、さらに読みたいと思って頂けるように努力していきます!未熟な私ではありますが、これからも読んでいただけるととても嬉しいです!

詳しい自己紹介は第1回の記事に書いているので、初めましての方はこちらからご覧頂けると幸いです♫

■九州の素敵な本屋を巡ります

私が福岡にいる間に九州にある素敵な本屋の店主の方々にインタビューさせて頂くプロジェクトがスタートしました。このプロジェクトは、本屋さんに実際に行って、話を伺い、その本屋さんにある藤原印刷が印刷した本を探します。そして私は、将来書店の方々に「藤原印刷が印刷している本だからから仕入れてみようか」と思って頂けるように、どのような基準で本を仕入れているのか、など店主の方々の目線で本をみる力を身に付けたいと考えています。

■第二弾はこのお店のこの方!

MINOU BOOKSの店主である石井勇さんを藤原印刷の藤原隆充さんに繋いでいただきインタビューをしました!

「MINOU BOOKS」は、福岡市内から車で約1時間、うきは市吉井町にある「暮らしの本屋」をコンセプトとした書店です。衣食住に関わる本からアートブックまで幅広いジャンルの本を揃え、店内にはゆったりとした時間が流れるカフェも併設されています。

私自身何度も伺ったことがあり、毎回素敵な本との出会いをくれるだいすきな本屋さんです。

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(MINOU BOOKSの外観)うきは市の町並みにマッチした外観。大きな窓ガラスからはたくさんの本が見えたら、ついつい吸い込まれてしまいますよね、、、!                    

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(カフェスペース)シンプルなカフェスペースは暖かい日差しが入り込みとても居心地が良く、何時間でも座ってたい空間なんです!

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​また、MINOU BOOKSの二階には「reed」という生活購買店があります。私がうきは市に来たら、必ず行くお店のひとつで一人暮らし用品のまな板・コップ・お箸・しゃもじなどを以前ここで購入しました♫ 石井さんのインタビュー後も行ったのですが、その際は「NISHIGUCHI KUTSUSITA」の靴下を2足購入しました!履き心地最高なので皆さんも是非!

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■石井さんへインタビュー

挨拶を終えると、お店のカフェで提供しているほうじ茶と手作りのクッキーを石井さんが出して下さいました。とっても美味しく、ゆったりと幸せな時間が流れる中、石井さんへのインタビューを始めました。

私は、石井さんには事前に5つ質問を考えていました。

 ・藤原印刷を知っていたか

 ・藤原印刷の印象を教えて欲しい

 ・本を仕入れた際や仕入れる際に印刷会社まで見るのか

 ・本を仕入れる基準はあるのか

 ・今後、藤原印刷に期待していること 

○藤原印刷を知っていたか

名前は知っていました!写真集を印刷されていたので目にしたことがあります。

○藤原印刷の印象を教えて欲しい

印刷技術などにこだわっている印象。独立系の出版社のような少部数で発行している本を多く印刷しているので、小回りが利く印刷会社という印象です。

○普段本を仕入れた際や仕入れる際にに印刷会社まで見るのか

正直そんなに見ないです...!この本すごく綺麗だなと思ったらたまに見るくらいです。

○本を仕入れる基準はあるのか

出版物は世の中にものすごい点数あるので、何か基準を設けて選ばないといけません。最初に「暮らしの本屋」というテーマを自分の中に決めて、衣食住からアートブックまでという括りを設けて、その範囲で選んでいます。また、お店が7年目になり、その間に来て頂いたお客さんが買って行った本にはすごく影響をもらいます。例えば、仕入れに迷っているときに、特定のジャンルの本が立て続けに売れたりすると、来てくれるお客さんがこの本を求めに来てくれてるんだったら、こういう本も置いていいのかなといった感じで選ぶこともあります。こういうことが6年間積み重なってきたので、自分がこの本を置きたいという考えもあるんですけど、それと同じくらい自分とは別の独立した「お店」という人格があって、このお店にはこの本があったら求めてくれる人がいるかもしれないという選び方にもなっています。例えば、うきは市は肉よりも野菜の方が多く取れるから、旬の野菜を使った料理本を多く仕入れたり、山や薬草の本なども多く置いています。

○今後藤原印刷に期待していること 

製本が綺麗だったり、紙にこだわることはどこまででも追求できるから面白いです。でも、文庫本のようなシンプルでスタンダードな本の中に「これ藤原印刷さんだよね」となるような印刷の仕方を新しく見つけることも面白いし、僕も見てみたいです。また、印刷という文化を認知してもらう活動を印刷会社さんに広くしてもらうことでその活動は本屋にも繋がっていくと思っています。電子書籍と紙の本は全くの別物であって、電子書籍のシェアが今後どんなに大きくなっても、紙の本は絶対に無くならない存在ですよね。紙の本でしかできないことはたくさんあって、その根っこに印刷がある。インターネットもパソコンもない環境でも印刷は可能ですし、今の時代にネット上で、誰からも管理されない状況で様々な文章や情報を印刷した本が作れるってものすごいことだと思います。そういうことがもっと多くの人に認知されて、印刷の価値を上げる活動をしていくことで、印刷された出版物を扱う場所としての本屋の価値も上がっていくと思っています。


ここからは、私が個人的に気になったことを質問しました。MINOU BOOKSの特徴のひとつは、新刊と古本が売られていることだと私は思います。同じ本でも新刊と古本があるんです。私は今までこのような本屋に入ったことがありませんでした。古すぎない古本が多くあり、私もここで何冊も古本を買ったことがあります。私にとってこの古本コーナーも楽しみのひとつです。私は伺う度になぜほぼ半額の値段の古本を売っているのか不思議でした。そこで、私は石井さんになぜ新刊と古本の両方置いているのか、どこから古本を仕入れているのか質問しました。

○なぜ古本と新書を売っているのか

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古本の取り扱いには想いがあります。でもまだあまり実現できてないんです。元々アメリカの文化が好きで前の仕事を辞めて本屋をやろうと考えたときに、いろんな本屋を見たいと思い、アメリカの西海岸の本屋を3ヶ月ほど周った時期がありました。アメリカの本屋の雰囲気は、とても自由で新刊と古本が一緒の本棚にあるんですよ。それが衝撃でした。お客さん自身が新刊で買うか古本で買うかを選択できるようになっていて、すごくいいなと思いました。このお店をオープンするときもこのような形にするか考えたのですが、お客さんが混乱してしまうと思い、断念しました。

他にもアメリカの本屋を見て、日本に帰って来て驚いたことがあります。それは、アメリカの本屋は新刊から昔の古本まで幅広くあるけど、日本の新刊書店に置かれている本は、多分ここ10年以内に発行された本がそのほとんどだったりする。改めて考えるとそれってすごいびっくりしますよね?本当は良い本だけど古いってだけで棚に無い本がたくさんある。そういう本も今後並べていきたい。

その想いもあって、1〜2年前に古本を始めました。「VALUE BOOKS」の方がたまたまお店に来てくれて、ご縁があって古本を卸してくれるようになりました。本当は本の買取もしたいけど、値段を付けたり、買い取った本を責任持って売るということは今の僕にはとてもハードルが高い。でも、本ってずっと読みたいと思う本もあれば手放していい本もある。また、年配の方の家に読まなくなった本がたくさんある。将来的には、そういう本を売る場所を作って本を地域の中でもっと循環させれたらいいなと思います。


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(左の手前の本棚に古本、右の本棚に新刊が並べてあります)

私がMINOU BOOKSで買った古本です!どの本も状態が綺麗でお気に入りの本たちです♫

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アメリカの西海岸の本屋から吸収された魅力が福岡県うきは市に通じているなんて、とても素敵ですね、、!

そして、MINOU BOOKSでも藤原印刷が印刷した本をたくさん見つけたので、その中の5冊を紹介します!

■藤原印刷で印刷した本をご紹介

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①三輪舎さん「鬼は逃げる

装丁、印刷がかなり凝っていて、本文は白い紙に黒いインクで刷っているだけなのに、真っ黒い紙に白文字の詩と真っ白い紙に黒文字のエッセイが印刷されてるように見えます。ウチダゴウさんの詩の世界と印刷の仕方がたまらなくマッチしています。

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②よはく舎さん「猫のミーラ 通常版

「きょう、フリーダは眉毛をそりました」という一行から始まるこの絵本は、読み終えた後ついつい読み返してしまいます。そして、すっかり井上奈奈さんの世界に引き込まれます。イラスト、言葉、内容、印刷、製本、紙、全てが美しく触り心地の良い絵本であり、猫や動物を愛する全ての人に捧げる本です。

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③Sunnyside Pressさん「Secret Rituals

世界各地の芸術家たちを訪ね、創作の場で自らに内在する美と向き合う表現者たちの多くの営みが写し出されている写真集です。表紙からすでに西山さんの写真の美しさに見惚れてしまいます。写真に合わせて計算され尽くしたシンプルな空間にいるような気持ちになる印刷と装丁です。


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④ミシマ社さん「ダンス・イン・ザ・ファーム

銀杏BOYZでギターリストとして活躍していた中村明珍さんが山口県周防大島に移住し、農業等をしながら暮らす生活を綴っています。本の帯にある「すべてをまたいで今を生きる、切実でおかしみあふれる日々のはなし。」という言葉でさらに読んでみたい気持ちになります。

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⑤書肆汽水域さん「芝木好子小説集 新しい日々

芝木好子さんの没後30年を記念して短編小説を再編集した作品集です。目を惹く色鮮やかな4種類の装丁は、どれも美しくどの色を選ぶか、とっても迷ってしまいます。覗き込むと見える風景のような表紙の作りは、本棚に置いても異彩を放っていました。

■ひと休憩

ここでコーヒーブレイクとして、私が石井さんに持っていった「糸島ミルクブランド ラングドシャ」の話をします!糸島は福岡県の最西部に位置しており、ドライブコースで、とても人気な観光地です。海があり、山があり、豊かな自然に恵まれた糸島牛を育てるのに最適な土地で作られたノンホモ牛乳を使ったやさしい甘さのラングドシャです!ラングドシャに外れはないので、皆さまにも是非!

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■まとめ

うきは市吉井町にひっそりとある本屋さんと思いきや、アメリカ西海岸の本屋さんのスタイルも取り入れたニュースタイルなMINOU BOOKS。古いもの新しいものの融合と西海岸うきは市という融合を見事に確立している背景には、石井さんの古本に対する思いや影響を受けたアメリカ西海岸の本屋があり、これだけと限定せずに様々な可能性を取り入れている寛容さをとても感じました。私も4月から社会人になりますが、探究心と寛容さを併せ持つ可能性を秘めた人になりたいです!そのために、今は日本で印刷や製本された本をよく読みますが、日本以外の国で印刷や製本された本にも興味を持って視野を広げていきたいです!

最後に、もし福岡に来る機会がありましたら、レンタカーを借りてうきは市まで行ってみてください!MINOU BOOKSはもちろんのこと、生活購買店「reed」から、とっても美味しいパン屋の「ぱんのもっか」、オリジナル雑貨の「四月の肴」まで魅力たっぷりなお店に徒歩圏内で行けるのです、、!福岡県民の私が自信を持っておすすめできる町です!是非行ってみて下さい!

次回もお楽しみに、、!

【訪問先】

MINOU BOOKS

〒839-1321福岡県うきは市吉井町1137

(田川いちか)

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