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小曽根真さんが弾くラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 が凄すぎた!!

去る、2022年7月16日に大阪のザ・シンフィニーフォールでピアニストの小曽根真さんがNHK交響楽団と演奏を行いました。

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小曽根さんとは、2017年9月にプラハでお仕事を一緒にさせて頂いたこともありドナウ川沿いのテラスで一緒に朝食をさせて頂いた事は、僕の中で本当に素敵な思い出となっております。

今回は指揮に尾高忠明さんを迎え、プロのピアニストも震え上がらせると云われる(笑)ラフマニノフのピアノ協奏曲 第二番を演奏されました。

小曽根さん自身も、この俗に言う『ラフ2』は、毎回演奏する度に難易度が増していくと仰っておりました。

あまりにも有名なこの曲は、フィギアスケーターの浅田真央さんがバンクーバーオリンピックで使用したり、映画『のだめカンタービレ』でも耳にされた方も多いと思います。

僕自身もこの『ラフ2』は大好きな曲であり、それをあのスーパーピアニスト小曽根さんが演奏されるという事で、この日が楽しみでずっと心を踊らせておりました。

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当日、小曽根さんがステージに現れると沢山の拍手で迎えられ、いよいよあの有名な伴奏が会場内に響き渡り、そこから壮大で雄弁な音の渦が溢れ出します。

数あるピアノの中で最高難易度とも言われるこのナンバーを演奏する小曽根さんの圧倒的な技術と表現力と包容力、音の一粒一粒がこんなにも煌めきながら連なり描かれていく情景に、始終心を奪われてしまいました。

全ての演奏を終え、会場が割れんばかりの拍手で包まれると小曽根さんがアンコール演奏を始めます。

おそらく小曽根さんのオリジナルと思われるブルース調のナンバーは、暖かく愛情に溢れ、それでいて隣で肩を抱き寄せ優しく語りかけ励ましてくれるような、とても素敵なナンバーでした。

会場全体がその音に包まれると、荒んだ日々の世界情勢の中でも心穏やかに過ごしていく強さと優しさを頂いた心持ちになりました。

本当に活躍されている小曽根さんですが、アメリカのバークリー音楽大学ジャズ作・編曲科を首席で卒業し、日本人としては初となる米CBSとレコード専属契約を結びアルバム『OZONE』で全世界デビューされたのは、有名な話しです。

その後は様々な世界的ミュージシャンとと共演を重ね、2003年にはアメリカ・グラミー賞にノミネートされると、世界的ジャズ・ピアニストとして様々な活動をされております。

音楽界のみならず、交友関係も幅広く映画監督の川瀬直美さんとも交流があり、本当にたくさんの貴重なお話を聞かせ頂いたのを覚えております。

そして2016年頃から、ジャズミュージックのみならずクラシック音楽にも挑戦され始めます。

この小曽根さんの挑戦は、音楽業界においては実は例を見ない取り組みでした。

長年、クラシックミュージックにとり組んできた音楽家がジャズに転向するケースはよくあります。

クラシックミュージックは当時の作曲者が残したスコアを元に、時代背景やコンセプトを正確に汲み取り再現する必要があります。

例えば、モーツアルトの曲は演奏者が独自の解釈で勝手なアレンジをしてしまうと国際モーツァルト財団から「それは、モーツアルトの曲ではありません」とお叱りを受けてしまいます。

逆にジャズとは即興性や、音の調和が破綻しそうでしないギリギリのラインを攻めたりする要素がスリリングで面白かったりしていて、同じ音楽でもクラシックとはまた違った魅力があり、多くのリスナーを惹きつけています。

このクラシックとジャズの特性上、忠実な再現性を求められるクラシック音楽に置いて、即興性などの強いジャズが身についてしまうとクラシックの世界に入るのは難しいと言われています。

小曽根さん自身もジャズを演奏するときはいつも、左足でリズムを刻んでいた為にクラシック界に入った際はそれを指摘され、その癖を直すのに随分と苦労されたと仰ってました。

近年では、小曽根さんはクラシック音楽のピアニストとしても大成功され、バーンスタイン、モーツァルト、ラフマニノフ、プロコフィエフなどの協奏曲でニューヨーク・フィル、サンフランシスコ響など国内外のオーケストラとも共演されています。

また、2020年春の緊急事態宣言中に自宅からライブ配信された『Welcome to Our Living Room』を53日間続けられ、世界中の人々を音楽の力で元気にしてくれました。

ジャズとクラシックの世界で、我々を音楽の魅力で楽しませてくれる小曽根ワールド。

小曽根さんがプラハで話してくれた言葉があります。

『クラシックでもジャズでも、肩肘をはらずに純粋に楽しんで欲しい』

僕が、「『音』を『楽しむ』と書いて、『音楽』ですもんね!」
というと、本当に嬉しそうに笑ってくれていたお顔が今も忘れられません。


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