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「サンダンス・インスティテュート/NHK賞」の支援プログラムに映画脚本が選出されました!!

「サンダンス・インスティテュート/NHK賞」の支援プログラム

今回、長編映画用に書き下ろした脚本『君と、巡りめぐる。』(英題:PRINCESS KALPA AND THE RABBIT)が、NHKとサンダンス・インスティテュート共同で行っている支援プログラムに選出して頂きました。

サンダンス・インスティテュートとは、アメリカの俳優・映画監督のロバート・レッドフォードが主宰する非営利団体であり、長年に渡り次世代を担う新しい映像作家の発掘と支援の為に援助を行っている機関です。

このプログラムにより、過去には第69回ベルリン国際映画で「観客賞」「Art House Cinema Award国際アートシアター連盟賞」のダブル受賞した『37 Seconds』(監督:HIKARI)、2017年のカンヌ映画祭で上映された『Oh Lucy!』(監督:平桝敦子)、NHKドラマとして放映された柳楽優弥・三浦春馬・有村架純出演の『太陽の子』(2021年映画化)などが映像化され、世界中で高い評価を得ています。

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その脚本制作の支援として、NHKさんが主催する脚本のワークショップが2022年8月2〜5日の計4日間、約20時間にわたり行われました。

ワークショップでは、同じく若手映像作家の宮瀬佐知子さん、板橋基之さんと共にサンダンス・インスティチュートが推薦するクリエイティブアドバイザーのジュラ・ガズダグさんを迎え、「about story telling」というテーマを基に講義を行いたくさんの指導やデュスカッション、そして助言を頂きました。

まずは、フェローの三人がそれぞれ、推奨する映画のお気に入りのシーンをピックアップし、「それが何故良いのか?」「カット割にどの様な意味があるのか?」「どの様な効果的な演出があるか」などを、絵コンテに起こしてプレゼンします。

僕は今回、自分の大好きな映画『チョコレートドーナッツ』の最後のシークエンスを題材にしました。

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これまで何度もこの映画を観て来ましたが、改めて最後のシーンを見直して絵コンテに起こした際は、今まで自分が気づかなかった演出やカット割に気付き、思わず「はっ」とさせられました。

その後、フェローの三人が描いたオリジナル映画脚本をジュラさんを交え、課題点をとことんまでディスカッションしていきます。

それぞれが持つ視点や感性で解釈されているのが、とても興味深い事であり自分の脚本が持つ問題点や課題が一つ一つクリアになっていきます。

こういったクリエイティブの場面で最も難しい問題は、明確な答えがないことでしょう。そのシーンが本当に必要なのか?話の最後をどのようにするべきなのか?ストーリーのどこを肉付けして、どこを削ぎ落とすべきかの答えはどこにもありません。それを考えていくと、堂々巡りに陥り、何が良くて悪いのかすら自分の判断では分からなく事があります。

特に作品における『作家性』においては、とてもバランスが必要とされると個人的には考えています。

作家性を全面的に押し出せば独りよがりで自分勝手な作品になり、逆に作家性が皆無な作品は退屈なものとなるでしょう。
このジレンマは作品を作る上で、いつも付き纏って来ます。

クリエイティブディレクターのジュラさんに、その点のアドバイスを求めると「問題は物語りに問うべきである」というアドバイスを頂きました。

このアドバイスは、自分が脚本を校正する際に最後まで指針となり、明確にストーリーをドライブさせていく事ができる様になりました。

横浜こどもホスピス「うみとそらのおうち」を訪ねる

4日間のワークショップを終えると、初稿の映画脚本の改稿を行います。その期間はわずか4週間程しかなく、すでに様々な問題が浮き彫りになっている状態で良作にまで校正するのは、とても高いハードルとなりました。

今回、脚本の校正にあたり、横浜こどもホスピス「うみとそらのおうち」の代表理事である田川尚登さんに貴重なお話を聴かせて頂き、実際に横浜こどもホスピスの施設を内覧させて頂く事ができました。

田川さんのお話を受けて、作品において新たに必要な視点や要素を再認識させて頂き、それを受け執筆活動を再開いたしました。

この場をかりまして、横浜こどもホスピスの田川尚登さんとスタッフの皆様には貴重なお時間とお話を聴かせて頂き誠にありがとうございました。

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脚本の改稿

改稿におけるテクニカルな部分は、ジュラさんから伝授して頂いた「リライト・テクニック(改稿の技術)」が本当に参考となりました。

ロジカルで効率的なこのメソッドに従い改稿を行うと「初稿⇨第二稿」の工程でブラッシュアップされた脚本に、物語の厚みとキャラクターの深みが生まれました。これはとんでもないメソッドを教わったと心のそこから感動しております(このメソッドは話すと長くなりますので、また別の機械に、、、)

そして、約四週間をかけて脚本を第四稿まで改稿し提出、サンダンス用に英語翻訳がされ、無事に提出となりました。

本当にギリギリまで追い込まれながら、なんとか期日まで書き上げる事が出来て、今は心底「ホッ」としております。

本作の私が取り扱う脚本では、小児がん患者とそのご家族が直面する医療制度やグリーフケアの問題をテーマにしており、それに当たり「こどもホスピス」の必要性と重要性を描きたいと考えております。

先進国の中でも高い医療技術と福祉システムを持つ日本では、こどもに対する医療体制や緩和ケアやグリーフケアに関して諸外国と比べて大きく遅れをとっているのが現状です。

現在も、日本には2万人もの生命の危機に脅かされたこどもたちがいます。

徐々に全国に広がっている「こどもホスピス・プロジェクトの輪」。少しでも、この作品がその支援の力になれればと思っています。

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