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今までとこれからのプフレとシャドウゲール好きに観てほしい魔法少女育成計画double shadow感想

 プフレとシャドウゲールのことが好きな人にも、これから作品に触れる人にも観てほしい朗読劇「魔法少女育成計画double shadow」は4月21日まで配信中なので未視聴の方はおすすめです。二日目の配信ではペチカとプフレとシャドウゲールのアニメ版キャラデザも観れます。

 以下感想。

「restartに繋げる公演」として

 エグゼクティブプロデューサーのサトウさんが「朗読劇はrestartに繋げる公演という側面もあったりします。」と2023年10月17日にツイートしており、今回の第3弾キービジュアルのタイトルロゴの下に「restart prequel series」と表記されていることからも、朗読劇第3弾はrestartの前日譚という側面があったことが窺える。その上で物語を見ると確かにdouble shadowは前日譚めいており、プフレとシャドウゲールのファンとして、原作シリーズのファンとして満足のいく内容だった。物語単体としても好きです。
 物語以外の細かい所だと第1~2弾の時にはなかった紗幕を使用することで血しぶきのシーン等でのアンサンブルの方々との噛み合い具合、幼少期お嬢と守のシーンや同じ光に照らされて生きてきたのシーンでの影の演出とより目で見て楽しめる朗読劇になっていたのがよかった。今後もし第4弾があったら引き続き紗幕があると嬉しい。

お嬢と護がお互いに向ける心情の成形

 庚江はいずれ人の上に立たねばならない。楽しい話し相手としては最適であってもビジネスの場でパートナーになる、となれば話は変わる。
 そう思い、だが結論を先送りにし続け、ここまできた。

double shadow 原作p.22

 食ってかかる彼女の顔を見て、再確認した。この反応はやはり面白い。あまり良い思い出ではない、と思える遊園地に郷愁を感じるのは単なるセンチメンタリズムではない。そこには庚江よりも楽しんでいる者がいた。だから庚江もそれなりに楽しかった。
「うん。わかってきた気がするな」

double shadow 原作p.45

「月が綺麗だ」

double shadow 原作p.104

 お嬢にとっていずれくる護と離れる可能性は先送りにしてきた問題だったため、どう結論付けるか明確に向き合うことはなく、魔法少女になったことでその可能性が本来想定していたものとは別の形で浮上&認識し、double shadowで描かれた心情の成形が発生したと捉えられる。護に対する自分の感情を自覚していき、月が綺麗だの段階で既に本編表現でいう所の「護さえいればなんだっていい」の核が確かなものになったと思う。

 シャドウゲール、魚山護は自分の仕事がなんであるかを理解している。宍岡守が焦がれ、しかし手に入れることのできなかった仕事だ。庚江を守る。

double shadow 原作p.106

 護も守を通して「庚江を守る」と決意を固めており、ゲロ掃除や顔面レンチと度々宍岡さんが怒りそうなことはやっちゃってはいるものの、「なにかあれば私を殺してください」の覚悟の決まりっぷりは宍岡さんも満足しそうな守護力を感じれる。restartとJOKERSで自分の名前の由来を思い出しているのは守との重なりもあるのではないかなと。以上の描写を経てdouble shadowはお互いの矢印が強くなる決定的な出来事と心情が描かれた前日譚の根底に基づく全体的に好きな物語だった。

朗読劇版ジップステップと原作ジップステップの決定的に異なる点

 朗読劇と原作のdouble shadowにはお嬢の内情描写、時間稼ぎして第三者の到着を待つ改変(これ好き)と幾つか違いがある中で特に原作を読んで驚いたのは、

・ジップステップがエーコを姉と知らないまま死亡する
・ジップステップがプフレとシャドウゲールの正体は庚江お嬢様と魚山護だと途中まで気付かず襲撃する
・ジップステップに対するプフレの台詞 

 と、主にジップステップ周りの描写が朗読劇と異なる点。
 原作を軸に考えると、「もしエーコを姉だと気付いていたら」「もし魚山護に鬱憤をぶつけて庚江お嬢様に本音を言ったら」とジップステップにとってのifの面を朗読劇版に感じた。
 原作と朗読劇どちらがジップステップにとってよい結末だったかは推し量れないものの、最愛のお嬢様に「ありがとう」と言われ、優しいお姉ちゃんに「ありがとう」と伝えられた朗読劇ジップステップは原作とはまた違った救いのある最期だったように見える。

 原作の改変というものには身構えてしまう性分で、今でもハードゴア・アリスの最期はアニメより原作の方が好きと思っているが、原液100%の原作の方がまほいくらしいと思う一方で朗読劇では「幼少期の庚江お嬢様との影踏みの思い出」「紗幕を活かした影の演出」と影踏みの魔法を活かした過去、演出。及び前島亜美さんによる「……どうして、言ったの? お嬢様の……前で」以降の演技は輪をかけて圧巻だったので朗読劇版のジップステップ周りの改変にはこれはこれでよかったと好印象を抱いてます。

double shadow要素が重なる描写

 restartでメルヴィルを警戒してスーパー温度計を作ったのは自分達も百人試験冒頭でステルス機能を使っていたからステルスに理解ある対策ができたのでは、limitedでお嬢が魔王パムに冷たい発言をしていたのは守を殺された私怨(「彼女は身内に手を出す者をけして許さない」)が含まれているのでは、ドラマCDで「お嬢って呼ばないと機嫌悪くなるじゃないですか、お嬢は」とあったのは宍岡守が「庚江お嬢様」「お嬢様」という呼称を使っていたから従者に同じ呼び方をされると護が守の代用みたいで嫌という理由も含んでいたのでは、QUEENSでプフレが車椅子の照明を使ってダーキュの影を大きくした戦法はエーコ&ジップステップ及び魔王パムの戦法を想起する。
 と各所でdouble shadow要素を連想してる。あくまで可能性であり、そうかもしれないねというだけの話。こういうの趣深い。

restartアニメのキャラデザ9人

 とてもよかった。特にチェルナー。ジェノサイ子も良い。追加分の6人キャラデザ全員可愛くて全員死亡することを考えると公式表現でいう贅沢さを改めて感じたのとあんなに可愛い魔法少女が鎌倉ハムステーキ程度の焼かれ具合になったり反射されたり自殺したりするのこれまた改めて凄い作品だとしみじみする。
 動いて喋るだけでも有難い、という心持ちはそれ以外を度外視してるような印象であまり好きではないけどあのキャラデザを見たら動いて喋るだけで有難いという感情も湧く。そして同時に既存のファン以外にも響くような良いアニメ化であってほしいと強く願ってる。満足したい。

全体的な感想

 エーコの声好き、魔王パムの戦闘モードの声よかった、あのアドリブが印象深い、朗読劇仕様のパチ筐体かっこいい、特典SSペーパーの感想、重版帯かわいい。他にも幾つかあるけれど大体Xで呟いたので割愛。
 朗読劇とても楽しかったです。携わった全ての関係者に感謝しております。機会があればまた現地で味わいたい所存です。ありがとうございました。


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