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スパダリ、オメガバ、男性妊娠。少子化日本でΩバースが流行るわけ。

わたしは固定(特に攻の鬼畜化と受の雌化)が地雷のリバ厨なので今まで一ミリも興味がなかったのですが、昨今流行りのオメガバースなるものを読んで、なかなか興味深かったので今日は感想を書こうと思います。

『Omega Universe』というのはAU=Alternative Universe(日本でいうところのパラレル)の一種で、世界観の説明についてはPixivのこの方の投稿が一番よく読まれているものかと思います↓。

尚、第二の性α、β、Ωの設定については書き手さんによって色んなマイナールールがあるので(そもそも、M/M fiction内でαが絶対攻!Ωが絶対受!と言いたいだけのガバガバルールなんだと思う)設定なんてあってないようなものだとは思いますが。

オメガバースは幾つかの要素があります。
①ヒート(発情期)がエロい
②運命の番
③男同士で子供が生まれる(男性妊娠)

④主人公はαとΩ(特にΩ)であり、βはその他大勢
⑤巣作り、子育て
個人的に、ほとんどのオメガバ読者は①のヒートのエロさとドロドロセッを目当てに読んでいると思います。
が、オメガバ好きは多分エロシーン使い回しの同じドロドロセッでも必ずオメガバを選ぶと思う。

なぜなら、オメガバは構造的にすっごくよく出来ているからです。
①見た目では分からない第二の性が存在する
②能力が優れ、社会的地位の高い者が多いαにだけΩのフェロモンが分かる
③運命の番が存在し、その絆は絶対である
④αはΩのフェロモンに逆らえず、すごい執着を示すスパダリ
⑤Ωの主な役目はヒートにセッする(子作り)こと
①と②で外見による評価を否定し、フェロモンというよく分からないものに魅力を還元。
③④⑤Ωは運命のスパダリに無条件に愛されて子作りするだけの存在。
あ〜〜、こういうのを求めてるんだなぁっていうのがすっごいわかりやすくていい。

特に容姿が優れず(女の容姿は年齢で決まるので、美人でもある程度歳を取っていて)、それでも運命のスパダリに愛されて子どもが欲しいなぁと夢見るようなタイプは該当作の原作のオタクじゃなくてもオメガバパロは大好きだと思う。
オメガバ好きっていうのは要するに、スパダリ好きなんです。
そして、スパダリに愛される受=自分が大好き
こういう左右固定組み合わせ固定で逆CP別CPノマCP絶許の固定厨買い専が多いと思う。
そういう人たちは結婚・出産・子育てという現実の代わりに同人誌という夢を買っており、同人誌=夢=生きがいなので糸目をつけないし、年齢層も高いので同じ作家を忠実に買い続け、軽率な移動もしない。
左右固定が多く、巧い作家が多く、供給の多いところで買い支える。が、彼女たち買い専の欲求や興味は
(男性)妊娠・出産・子育て
に向きがちなのでその辺のフォローが手厚くなるんだろうなぁと思います。(オメガバは愛好家がいて一定数売れるから)
そもそも、大手作家さんは大手作家になる能力がある時点でαだと思うんです。
だから、オメガバにこだわる必要ないというか、
「今回の新刊はオメガバにしてみました」
程度だと思うんですけど、買い専側には普段買わない作家でもオメガバなら買う人って絶対一定数いると思う。
(オメガバなら買わない人も一定数いるように)
オメガバを買う買い専はオタクでも狭義の腐女子でもなく、スパダリ創作に飢えたやや内向的な一般女性(内向的である結果少しオタク)だと思います。

同人誌の買い専の高齢化はこれからどんどん進んでくると思うし、そのうちオンリーやコミケに合わせてマイクロバス出してくれたり、デイルームに漫画や同人誌の本棚があって読み放題の腐婆ハウス(有料老人ホームの腐女子版)がビッグサイト近辺に多数建てられ海外腐女子も移住……という未来もあるかもしれません。女性は長生きですしね。
結婚しない女性が増えてその中に未婚高齢買い専になる層が一定数いて、しかも、
結婚しないまま40歳を迎えた人も多い団塊ジュニア世代は現在の出生数の二倍以上いる
のでオメガバや男性妊娠のこれからは手堅いと思います。

わたしが、オメガバ流行りで思い出したのは、この本に書いてあった『母性を処理する』という言葉です。

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オメガバ・男性妊娠・同性結婚・子育ては幼児化パロと根幹が一緒なんだと思います。
幼児化パロってショタコン(児ポ)的なものもありますが、特に受の幼児化の場合、(多くは大人の)男性としての受をリセットする為にされてるのかなぁと思います。
幼児化好きにとっての幼児化した受は自分であり、自分の持てなかった理想の子どもでもあるんじゃないかと。
子どもと自分を同一視してる辺りが危ういし(わたしの妄想だけど)、その辺が幼児化好きの幼児化好きたる所以なのかなぁと思わないでもないですが、
オメガバースを初めて読んで、オメガバ特有の社会構造に気づいたとき、わたしはわたしの書いたホモエロ小説を読んでTwitterをフォローしてきた40歳独身処女の非腐女子・微オタク女性のことを思い出しました。彼女は、わたしをフォローしてきた日にいきなりわたしに「人妻ですよね?」と話しかけてきて、
「結婚したい・子どもを持ちたい女の数に比べて、この人の子供が産みたいと思わせる男の数が少なすぎる」
と言っていました。(そして、旦那について根掘り葉掘り聞かれた)

日本で少子化が進むのは、彼女たちお姉様買い専に言わせれば日本には、
α=この人の子どもが産みたいと思わせる男
が少なすぎるっていうことなんでしょう。和製オメガバースの根底には、
日本人男性の多くはβである
βは男性にカウントされない
っていう不文律が内在しているような気がしてなりません。

よく考えたらわたしの周り(ことごとく既婚・子持ち)は
「この地球上には35億人も男がいるのにどうしてαを探しにいかないの?」
というタイプ(自己認識はαもβもΩもいる)か、
「子どもが欲しいならβ同士でも作れるじゃん。はい、出来た♡」
というタイプ(自己認識β)かのどちらかで、運命の番の登場を待っているΩみたいなタイプは(仲良くならないのもあるけど)まだ未婚だなぁと思いました。
まだまだ数は少ないけど、
「αの女に番うΩの男だっていていいでしょ?」
みたいなタイプ(自己認識α)もいますね。奥さんが働いて旦那さんが子育てしてる家族(奥さんが実業家や学校の先生などよく見る)。
ママ友にもいるけどすごいパワフルで生物としての構造が違うと思う。(さすがα!)

オメガバ世界観好きの女性って周りの男性に男性(オス♂)としての魅力がないと思ってる部分があるんじゃないかなというのはわたし個人の邪推ですけど、もし無意識にだとしてもそうだとしたらそれはかなり危険な思想で、若い子でオメガバ好きの人は気をつけた方がいいんじゃないかなと老婆心で心配してしまう。
オメガバ世界観というのは第二の性とαを中心とした社会制度という架空の設定に支えられていますが、現実にはそういうものはなく、
あなたはΩじゃないし運命の番となるスパダリαは存在しない
からです。

スパダリを愛でることもオメガバ創作を嗜むこともそれ自体は素敵なことだと思うんですが、ある時点で
自分がどうしたいか=自分の欲望
と向き合わないと気がついたら結婚適齢期すぎて、出産適齢期もすぎてる〜〜みたいになりかねない。
特に日本の場合、
オス♂としての魅力=経済力
という刷り込みがかなり強い(高度経済成長・バブル由来なのか、敗戦で経済力以外の男らしさを去勢されているのかは不明)ので少子化で経済が右肩下がりのこれからの日本は
ますますα男性不在=少子化が進む
という可能性があるかもしれない?(ないことを祈りますが)

書き手(描き手)の場合、母性もスパダリも母の子宮に忘れてきたような人も多い(だからこそ創作する)と思うんですけど、精神が健全な買い専は母数が多い上に人並みに母性もスパダリ欲求もある人が多いと思いんじゃないかな〜。とスパダリに経済力を求めないのは厨二病なんだなと最近気づいた系腐女子は思いました。


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