マレーシアの「多様性」に学ぶ日本でハッピーに生きる方法 #日本人はやめる練習がたりてない

今、仕事で「ダイバーシティ推進」に取り組んでいる。そのため「多様性」にまつわる記事をよく読むようになったのだが、最近noteで注目していたのが、マレーシアに7年在住の、野本響子さんという編集者&ライターの方。最初は無料の記事を読んでいたのだが、タイトルから気になった記事があり、これは読まねばと思い、マガジン購読に至った。

そして、その野本さんが『日本人は「やめる練習」がたりてない』という本を、2019年6月に上梓された。

気になっていたので、早速本を購入して読むと、マレーシアという、多様性溢れる文化を持つ社会のことを知っていくうちに、たくさんの学びや気づきがあった。

それを踏まえて、自分なりに、日本でハッピーに生きるため、常に意識していきたい3つのポイントをまとめてみた。

1. 怒らない、怒りに動かされない

【学び】
マレーシアは、マレー系、中華系、インド系が住む多民族国家。多言語、多宗教、多文化な社会には、「正解」がたくさんある。そのため、簡単に正しい、間違っているとは判断できないため、相手を尊重する姿勢が必要。

相手を公共の場で非難したら、咎められる社会のため、思うようにならないからと人前で相手を怒れば、サービスを提供してもらえなくなり、自分が損をするだけ。怒りで人を動かせない、むしろ感謝や優しさで人が動く社会だからこそ、他人に優しくなる。

【気づき】
日本には、多様性がないのではなく、多様性があることに気づいていないだけ。

日本も多様性があふれる社会にすでになっていて、「多様性教育」というのは、単純にその事実を認めて対応するだけなのかもしれない。

この一文に、目から鱗だった。

日本は、日本語しかない単一民族国家だから多様性がないという思い込みを、私を含め多くの日本人がしているのではないだろうか。また、以心伝心、言わなくてもわかる、空気を読む、ということが暗黙の了解とされてきた社会でもある。

しかし考えてみれば、日本は47都道府県あり、県により気候も食も方言も異なり、その違いでバラエティの長寿番組が成り立つような、いわば多文化国家なのではないか。さらに、少子高齢化した日本では、外国人労働者も年々増え、日本の様々な産業が、外国人によって支えられているのが現状だ。

また、長く続けることがよしとされてきた日本では職人、資格職、プロの世界が数多く構築されており、その各分野にもそれぞれ異なる文化があるのでは、と思う。

このように、すでに日本が多様性のある社会であることを認識できれば、自分の正しさが(文化の異なる)他人にとって、同じく正解とは限らないということがわかり、だからこそ、一人ひとり違う、相手を尊重することが重要であるということにも思い至るのではないだろうか。

違いを認め「人と違っていてよい」と認められたら、他人を怒ること自体ナンセンス、という考え方もでき、他人に優しくすることで、人を動かせるようになるのかもしれない。

【Action】
◉正解は100人100通り、おかしい!間違っている!とすぐに怒らない
◉怒りを排除して事実のみを伝え、感謝で相手に動いてもらう(敵に優しくする)
◉他人の怒りで自分が動かされないよう、相手の怒りの中から、事実だけを抽出して把握するよう心がける

2. 人任せにしない、自分で選ぶ

【学び】
マレーシアは発展途上国で、国も公的機関も、日本のようになんでもお膳立てしてくれるわけではない。そんな社会では、トラブルが当たり前で、そこで生きていくためには、さまざまな選択肢の中から、自分で判断して、自分で選び、その結果を受け止めて、自分の知見を蓄積し、それをアップデートしていくしかない。

社会や他人が、Wordのように「やっときました!」と自動的に整えてくれるわけではないのだから、自分から相手にどうしてほしいか伝え、また相手にどうしてほしいか聞いていく必要がある。

【気づき】
なんでも整っている社会(日本)では、何も考えず、国任せ、会社任せでも生きていけてしまうのだから、自分で選び、判断する力をつけたいのであれば、整っていない環境に身を置くことだ。

日本ではない新興国に行けないのであれば、自分でなにか新しいことを始めるなり、職場で何か新しいことにチャレンジするなりしたらよい。

トライ&エラーを自分でしないと前に進めない場に自分の身を置くことで、必然的に他人任せにはできず、自分の頭をフル回転せざるを得ない。

【Action】
◉一人で、イベントや学びの場に参加する
◉職場で、常に改善提案をする
◉新しいプロジェクトがあれば、参加する
◉周りに察してほしいと思わず、自分の思いや考えを、言葉にして相手に伝える
◉察して先回りしてやり過ぎず、時にはちゃんと相手のしてほしいことを、聞いてからやる

3. やってみる、新しい選択肢を創る

【学び】
マレーシアは「ハッピーじゃなければ居場所を変える」つまり、やめることが当たり前の社会。だからこそ、いつでも始められ、トライ&エラーでき、その結果、向き不向きがわかり、よりハッピーに生きられる。

マレーシアでは子どもの頃から、自分で選ぶ練習をたくさんすることができる。学校を変えるのも自由、学校でも、行事に参加するかどうか、係をやるかどうか、全て自分で選択することができる。その代わり、その結果も自己責任で受け入れなければならない。

またマレーシアのインターナショナルスクールでは「タレント・コンテスト」という、子供が自分のやりたいことを舞台上で表現するイベントがある。それに参加するしないも自由だし、何をやるか、誰とやるか、どうやるかも自分で決めることができる。

また、クラブ活動も毎年2〜3種類を自分で選ぶのが一般的で、毎年同じクラブ活動を続けることが推奨されていない。好きなこと、得意なことだけでなく、新しいことに挑戦する機会が与えられ、自分の向き不向きを判断することができる。

適性は、実際にやってみないとわからないため、大人でも、やってみて違う、となれば簡単に仕事をやめる。だから、プロフェッショナルがあまり求められず、副業は当たり前で、何歳からでも新しい仕事を始める人がいる。

【気づき】
日本は、「継続は力なり」という言葉があるように、学校も仕事も我慢して続けることがよしとされている。それは、基本的に、決められたことを続けるという選択肢しか用意されておらず、そこを外れた場合、ほかの選択肢がないということでもある。

しかし最近では、不登校の小学生YouTuberが話題になっていたり、学歴に関係なく、さまざまな事業で活躍されている方がいたりと、用意されている選択肢がないなら作ればいい、とばかりに新しい生き方を創り出している人がたくさんいる。YouTuberも、そうした新しい生き方のひとつなのではないだろうか。

日本人は、正解が用意された選択肢の中から選ぶという教育を受けてきた。しかし近年、世の中が凄まじいスピードで変化し、用意していた選択肢では対処しきれなくなってきている。それなら、自分に合うよう、自分で新しい選択肢を作ればいいのだ。

【Action】
◉組織に属しながら、得意なことをベースにやりたいことを提案し、これまでになかった新しい仕事、働き方を創る。それが苦手な経理やら営業やらを正々堂々他人に任せて、得意なこと、自分のスキルを活かしながら、ハッピーに生きられる道ではないか。
◉このチャレンジで「組織にいながら、自分に合った働き方を創る」という選択肢を、周りにも提示したい。

人生は、「可能性」という宝探し

最後に、本の中で紹介されていた、マレーシアでインターナショナル・スクールに通っている、野本さんの長男の言葉を紹介したい。

「自分にとって、ある活動が、おいしいかおいしくないか、全部トライして味を見極めることができるんだ。喩えれば、子供は草がたくさん生えている“可能性”という宝探しの場所にいるようなもの。本来は(やりたいことを探すのに)まわりの草をちょっとずつ刈って道を開くんだけど、これなら全方面の草を一気に刈ることができる。すると全ての道が見えるようになって、自分に本当に合っていることが見つかる。あるいは僕たちが普段シャベルを使って土を掘っているとしたら、この学校はショベルカーを使っているみたいな感じかな」

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