不当表示

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「この履歴書はなんだね」
「は?」
「とても信じがたいのだがね」
「そうか?」
「そうでしょうか、だろ」
「にほんご、ちょと苦手」
「とうきょうだいがくてつがくぶそつぎょうというのは詐称か」
「あ、学歴ね。それいみわからなかったので、ともだちにきいたね」
「せめて漢字で書け」
「かんじむつかしいよ」
「特技、どらいぶ。免許、なしって、おまえな」
「とくぎはいちりんしゃね。おまえできるか」
「できないよ」
「ははは。そーらみろ」
「もういいっ。こんなものはこーしてやるっ」
 面接官は履歴書をゴミ箱に叩き込んだ。
「で、おまえが我が社を志望した動機はなんだ」
「おたく、このあいだ、ニュースにでてたね。ぶたにくをぎゅうにくだって言いはって売ったって?」
「うるさいっ」
「ふとうひょうじどうしなかよくしましょうや」
「お断りだ。漢字も読めないやつにうちの仕事ができるか。日本語を勉強して出直してこい」
「ちぇっ」

(了)

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