自由労働

「ところで、君は祝日をいくつくらい言える?」
 面接の席上でそんなことを言われると、びっくりする。
「えー、みどりの日、文化の日、体育の日、天皇誕生日……」
「うちはねー、国の決めた祝日なんて信用してないの」
「は?」
「祝日は自分で決めていいってこと」
「じゃあ、4月23日」
「なにそれ」
「私の誕生日です」
「いいねえ、私誕生日。って具合にね、各自が勝手に祝日を決めて休む」
「あのー、年何日くらいですか」
「適当でいいよ」
「ずっと休んじゃったりして」
「そういうやつもいる」
「え、いるんですか」
「ずっと働いているやつもいる。そうやってバランスがとれているんだな」
「ところで、この会社の仕事はなんですか。委細面談って書いてあったんですが」
「仕事?」
「はい」
「自分でなにか見つけて、好きにやればいいんじゃない?」
「えーっ」
「できることはできるし、できないことはできないだろう」
「それはそうですが。じゃあ、あの給料は」
「それは仕事の成果次第」
 この会社、入ってもいいものかどうか。

(了)

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