名探偵はいずこ

 あまりの難事件に警部は頭を抱えた。
「誰でもいい。名探偵を呼んでこい」
 最初に来たのは目黒考次郎だった。
「君か、近頃評判の名探偵というのは」
「いえ、違います。私は目黒探偵です。目黒管内のことならなんでも解決できますが、それ以外はちょっと」
「帰ってよろしい。次」
「明治探偵です」
「次」
「明治探偵です」
「君、さっきも来ただろ」
「いえ、私は明治大学専門で」
「どっちでもよろしい。帰れ。空中百メートルで凍死したままてこでも動かない死体の謎を解明できる探偵はおらんのか」
「そういうことなら私にお任せを」
「誰だ君は」
「ハイテク探偵NASA男。NASAから流出した技術を使って、不思議をなんでも解決」
「じゃあ、やってみてくれ」
「このハイテク布を被せます。さあ、死体はもう誰にも見えません」
「誰が手品をやれといった。この事件はなかったことにしよう」

(了)

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