分別

 役人が信用できないということで、役所の機械化がどんどん進んだのはいいが、ギクシャク感は深まるばかりだ。
 たとえば、回覧板。いや、いまは回覧メールだが、言語明瞭意味不明な内容が増えている。
 いい例がゴミの分別だ。
 今週から「生きているゴミ」という項目が増えて、その内容としては、ゴキブリ、子ネズミ等とある。廃棄日は隔週水曜日。二週間の間に死んでしまえば、それは「死んだゴミ」になるのか。
 ちなみに、死んだゴミの内容は、死んだ人間、死んだ花、死んだ海、などがあり、元のデータベースを作った人間の気が狂っていたのではないかと思われる。
 かと思えば、ふつうのゴミの日などというのもあり、こうなるともう判じ物だ。機械が考えるふつうのゴミとはなにか。
 いい加減腹が立ってきた私は、ふつうのゴミの日に半死半生のネズミを捨ててみたが、これは通ってしまった。
 妻は私の顔をみて、
「半死半生の夫も通りそうだよね」
 と言った。

(了)

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