アップルパーティ

 友だちがiPadを買ったというので、アップルパーティを招集した。
 アップル好きの友人たちが集まってくる。
「ほら、指二本でズームできるじゃない? これ感動するよね」
 というと、友だちは、
「オレのたぁ違うなあ」
 と言って、指と指の間隔を広げた。
 iPadのサイズが一回りでかくなった。
 みんな、愕然として、でかいiPadを見つめている。
 どこで情報を仕入れたのか、すぐにティム・クックが飛んできた。
「ぜひその技術を売ってください」
「売れないんだなあ」
「うちの利益剰余金をバカにするんですか」
「金の問題じゃねえ。これは技術じゃないんだ」
「じゃあ、なんだっていうんです?」
「魔法だな」
 といって、友人が指と指の間隔を狭めると、iPadがiPhoneになってしまった。

(了)

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