坂本牛馬
土佐のローカルタレントに坂本牛馬という人物がいた。
バーニングプロの悪口を言ったために干されてしまい、一家離散。恨み骨髄に達し、ついに国家転覆を画策するようになった。ヤクザが芸能プロダクションをやっているような腐った国は滅びるべしという主張だ。
彼がまず考えたのは、宮崎大阪同盟だった。
宮崎へ行って、東国原知事に自分は天皇陛下の密命を受けているといった。
相手にされなかったので、大阪へ行って橋本知事に自分が自分が首相になったら大阪府に五兆円の援助金を出すと言った。
「なぜ相手にされんのじゃー」
牛馬は頭を抱え、千葉県に走った。
森田健作知事だけは真剣に耳を傾けてくれたが、話を聞き終わった森田知事は牛馬の肩をポンと叩き、「悔しいときは走るんだあ」といって、ふたりで九十九里浜をぶっ倒れるまで走った。
それで憑きものが落ちたようになり、
「海岸なら土佐にもあるぜよ」
と国元に帰ったという。
いまでも高知で「牛馬のように働く」というと、「バカみたいぜよ」と笑われるのはこいつのせいだ。
(了)
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