週一新聞
新聞配達のアルバイトが減っているというニュースを見て、そりゃそうだと思った。午前四時や五時に起きるなんて信じられない。
そこへタイミングよく配達所から電話がかかってきた。
「たいへん申し訳ないのですが」
と主人は言った。
「毎朝の配達が難しくなってきまして」
「人員確保ですか」
「人も集まらないんですが、高齢化が進みまして。まあ、その、いろいろと」
「そうでしょうねえ」
「まとめてもよろしいでしょうか。その分、値引きさせていただきますので」
「まとめる?」
「月曜日にその週の新聞をまとめて配達させていただく、ということなんですが」
「いや、それはさすがに。古い新聞をもらっても仕方ないし」
「いえいえ、古い新聞など、お届けしません。一週間分というのは、月曜日に、その週の新聞全部をお届けするということです」
「え。週の最初にその週の新聞をぜんぶくれるの?」
「ダメでしょうか?」
「それ、週刊でよくないですか?」
「新聞は日刊でないと困るとキオスクさんからきつく言われておりまして」「でも、明日のニュースなんてわかんないでしょうよ」
「予測します」
「適当なことを書くわけ?」
「有り体にいえば。間違っていたら、次の週に訂正しますので」
「ふーん。じゃ、いいや。まとめてください」
こうして私はまとめ新聞を読むことになったのだが、いうまでもなく月曜日の訂正記事が一番面白い。平身低頭、土下座の嵐である。
来年からは月一の配達になるそうなので、ますます楽しみだ。
(了)
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