老眼鏡2.0

「メガネの度数当てクイズー」
「クイズと言われても正解わからんがな」
「あんた、見分けつかんのか」
 百均で老眼鏡を買い溜めたため、家中にメガネが散乱してしまった。
 買ったばかりの時は1.0とか3.0とかといった度数のシールが貼ってあるが、邪魔なのですぐに剥がしてしまう。すると、もはや見分ける術はなくなってしまう。
「しいていえば、3.0は本の活字がよー見える。昔の文庫本の細かい文字でも大丈夫」
「2.0は?」
「まあまあ、なんでも見える。ふつうに本を読むにはこれが一番ええかな」
「1.0は」
「かけてもかけんでもあまり変わらん」
「買うなそんなもん」
「すまん」
「1.5」
「パソコンの画面を見るのにちょうどええ」
「2.5は」
「うーん」
「困るな」
「まあ、ちょっと暗くても本が読めるくらいかな」
「ややこしいな。ほな、これから本を開くから読めるか読めないかテスト。読めたら手を挙げて」
「はいこれ。これ。これ。これ。これ。全部読めるやないかー」
「あれー」
「どれかけても支障ないちゅうこっちゃ」
「ごめん。どうせ見分けつかんと思ってぜんぶ2.0にしてたの、忘れてた」

(了)

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